アファチニブの投与を受けているuncommon mutation(まれなEGFR遺伝子変異)を有するNSCLC患者の臨床アウトカムをまとめた新規データベースを公開

和訳リリース,
  • アファチニブの投与を受けている、uncommon mutation(まれなEGFR遺伝子変異)を有する進行性/転移性NSCLC患者の臨床アウトカムをまとめた新しいデータベースが公開され、世界中の臨床医が利用可能に
    URL:www.uncommonEGFRmutations.com
  • Journal of Thoracic Oncology(JTO)に掲載されたNSCLC患者693例のプール解析により、多く見られるuncommon mutationに対するアファチニブの有用性が裏付けられる

報道関係者向け情報
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当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が3月16日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。

2020年3月16日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは、上皮増殖因子受容体(EGFR)のuncommon mutation(まれなEGFR遺伝子変異)を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する最適な治療を検討する際の重要情報を臨床医に提供するため、患者アウトカムをまとめたデータベースを立ち上げたことを発表しました。このデータベースには、アファチニブの投与を受けている患者から得られた利用可能なすべてのデータが含まれています。

Journal of Thoracic Oncology(JTO)に掲載されたNSCLC患者693例のデータから、多く見られるuncommon mutationに対するアファチニブの有用性が示されました。これまでにEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)の投与を受けたことがない患者におけるアファチニブの治療成功期間[TTF]中央値は、主要なuncommon mutation(10.8カ月、95% CI:8.1–16.6、奏効率[ORR]:60.0%)、compound mutation(複数のEGFR遺伝子変異の複合変異)(14.7カ月、95% CI:6.8–18.5、77.1%)、その他のuncommon mutation(4.5カ月、95% CI:2.9–9.7、65.2%)でした。奏効期間(DoR)中央値は、それぞれ17.1カ月、16.6カ月、9.0カ月でした。エクソン20挿入変異を有する患者のアウトカムは不均質で、TTFが4.2カ月(95% CI:2.8 - 5.3)であり、完全奏功の患者が3%、投与期間3年以上の患者が5%となっています1

本プール解析は、uncommon mutationを有し、40カ国以上において臨床試験、Compassionate UseまたはExpanded Access Program(人道的見地からの未承認薬剤アクセスプログラム)、第IIIb相試験、非介入試験、およびケースシリーズ/ケーススタディの一環としてアファチニブの投与を受けているNSCLC患者693人のグローバルな臨床アウトカムデータに基づいています。変異には、29%の主要なuncommon mutation[G719X、L861Q、およびS768I]、25%のT790M、21%のエクソン20挿入変異、13%のその他のuncommon mutation、12%のcompound mutationが含まれ、検索可能な新規データベース(www.uncommonEGFRmutations.com)から閲覧できます。

LUX-Lung試験の事後解析では、多く見られるuncommon mutationに対するアファチニブの臨床効果が明らかになり、今回の新規データは、この解析における過去の調査結果を裏付けています2。これまでのEGFR -TKI前向きランダム化試験のうち、uncommon mutationを有する患者を組み入れていたのは、IPASS試験(ゲフィチニブ)3、NEJ002試験(ゲフィチニブ)4、LUX-Lung 2、3、および6試験(アファチニブ)5,6のみです。

筆頭著者である国立台湾大学病院腫瘍科のDr. James Chih-Hsin Yangは、次のように述べています。「EGFR 遺伝子変異陽性のNSCLC患者 のうち多ければ23%が分類される『uncommon mutation』に関する前向き臨床データは比較的不足しているため、効果的な治療決定に妥協が強いられるおそれがあります。LUX-Lung試験の事後解析結果に加え、このプール解析の結果は、uncommon mutationを有するNSCLC患者さんへの治療薬として、アファチニブが優先的に選択されることを支持しています。また、uncommon mutationのデータベースは、新たなデータが明らかになるたびに更新されており、この患者のサブ集団の治療を前進させるための、貴重な臨床上の意思決定ツールとなります」

ベーリンガーインゲルハイムの固形腫瘍学部門のグローバルヘッドであるDr. Victoria Zazulinaは、次のように述べています。「これらの新たな複合データは重要かつ内容の濃いものであり、アファチニブがcommon mutation(一般的なEGFR遺伝子変異)の一次治療薬として認められていることに加え、uncommon mutationを有する患者さんにとって意義のある治療選択肢であることを確かなものにします。この検索可能な新規データベースが、さまざまな種類のuncommon mutationの患者さんの臨床上の決定や治療の選択に役立つ情報を提供できることを期待しています」

論文にまとめられたuncommon mutationのデータは、検索可能なオンラインデータベース(www.uncommonEGFRmutations.com)から入手できます。このデータベースは、世界中の臨床医および非臨床医がアクセスすることができ、新たなデータが明らかになるたびに更新されます。

ベーリンガーインゲルハイムのがん治療における取り組み
がんは、私たちの人生から多くを奪っていきます。それは、愛する人たちや貴重な時間も奪っていきます。ベーリンガーインゲルハイムオンコロジー部門は、がん治療に真摯に取り組み、患者さんに希望をもたらすべく努力を続けています。がんの治療法確立を目指す、多様なサイエンスコミュニティとの連携を通し、患者さんの生活を一変させるためのブレークスルーを目指しています。画期的なファースト・イン・クラスの治療をもたらすことを目的とし、私たちは肺および消化器がんに焦点をあてています。イノベーションへの私たちの取り組みは、これまで肺がん治療に先駆的な進歩をもたらしました。より広範ながんとの闘いに挑むため、細胞指向性療法のパイプライン、免疫腫瘍治療および理論的な併用アプローチを進展させています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ヒトと動物の健康を改善することは、研究開発主導型の製薬企業ベーリンガーインゲルハイムの使命です。私たちは治療選択肢が存在せず、未だ十分な治療法が確立していない疾患に焦点を合わせ、患者さんが健やかな生活を確保できる革新的な治療法の開発に専念しています。アニマルヘルスでは、先進的な病気の予防と早期発見・早期治療に注力しています。
ベーリンガーインゲルハイムは世界におけるトップ20製薬企業の1つで、1885年の設立以来、株式を公開しない企業形態を維持しています。約50,000人の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品の3つの事業分野において、革新的な製品開発を通した価値の創出に日々取り組んでいます。2018年度、ベーリンガーインゲルハイムは約175億ユーロの売上高を達成しました。研究開発費は約32億ユーロとなり、売上高の18.1%に相当します。
株式を公開しない企業形態の特色を生かし、ベーリンガーインゲルハイムは世代を超え、長期的な成功を重視しています。したがって、私たちは、研究活動において、自社のリソースに加えて、オープンイノベーションと戦略的アライアンスを重視し持続的な成長を目指しています。ベーリンガーインゲルハイムは、私たちが関連するあらゆるリソースを尊重し、人類と環境に対する責任を果たしていきます。

詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
http://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)

References

  1. Yang JC, Schuler M, Popat S, Miura S, Heeke S, Park K, Märten A, Kim ES, Afatinib for the Treatment of Non-Small Cell Lung Cancer Harboring Uncommon EGFR Mutations: A Database of 693 Cases, Journal of Thoracic Oncology (2020), doi: https://doi.org/10.1016/ j.jtho.2019.12.126.
  2. Yang JC, Sequist LV, Geater SL, et al. Clinical activity of afatinib in patients with advanced non-small-cell lung cancer harbouring uncommon EGFR mutations: a combined post-hoc analysis of LUX-Lung 2, LUX-Lung 3, and LUX-Lung 6. Lancet Oncol. 2015;16:830-838.
  3. Mok TS, Wu YL, Thongprasert S, et al. Gefitinib or carboplatin-paclitaxel in pulmonary adenocarcinoma. N Engl J Med. 2009;361:947-957.
  4. Maemondo M, Inoue A, Kobayashi K, et al. Gefitinib or chemotherapy for non-smallcell lung cancer with mutated EGFR. N Engl J Med. 2010;362:2380-2388.
  5. Wu YL, Zhou C, Hu CP, et al. Afatinib versus cisplatin plus gemcitabine for first-line treatment of Asian patients with advanced non-small-cell lung cancer harbouring EGFR mutations (LUX-Lung 6): an open-label, randomised phase 3 trial. Lancet Oncol. 2014;15:213-222.
  6. Sequist LV, Yang JC, Yamamoto N, et al. Phase III study of afatinib or cisplatin plus pemetrexed in patients with metastatic lung adenocarcinoma with EGFR mutations. J Clin Oncol. 2013;31:3327-3334.

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