ペットを犬糸状虫症（以下フィラリア症）から守る方法を知っていますか？

フィラリア症とはどんな病気でしょうか？

ディロフィラリア・イミティス（Dirofilaria immitis）は一般にフィラリアと呼ばれる細長い線虫で、動物の肺動脈や、ときには心臓にも住み着きます。心不全などの重い病気を引き起こし、死に至ることもあります。一旦フィラリア症を発症すると治療は難しく、また損傷した肺や心臓の病変部位は治りません。そのため、フィラリア症は治療よりも予防の方が大切な病気なのです。

どんな動物がフィラリアに感染しますか？

フィラリアの主な宿主はワンちゃんですが、ネコちゃんにも感染することがあります。ほかには、フェレットやピューマ、ライオン、コヨーテ、キツネ、オオカミ、さらにごくまれに人間にも感染することがあります。蚊が動物を刺すことによって、フィラリアの幼虫が蚊を介して動物の体内に侵入し、ワンちゃんの場合は約6カ月かけて幼虫がその体内を移行し、最終的に肺動脈に到達して約30cmの成虫へと成長します。

フィラリアはどのように広がりますか？

フィラリアは蚊が媒介します。蚊がフィラリアに感染している動物の血を吸うときに、その血液中に存在するミクロフィラリアと呼ばれる「フィラリアの子供」も一緒に蚊の体内に吸引されます。そしてこの蚊の体内で「フィラリアの子供」は約14日で感染力をもった感染幼虫に成長します。この感染幼虫を保有した蚊が他の動物を刺すと、幼虫はその動物の体内に侵入し、ワンちゃんなどの場合はそこでフィラリアは成虫になります。

フィラリアはワンちゃんやネコちゃんの体内に数年にわたって住み着くこともあり、フィラリア症として目に見える形で発症するまでの間、徐々に肺や血管にダメージを与えることもあります。

フィラリア症は世界中で問題となっている病気ですが、熱帯のような高温多湿な気候のほうが、蚊に刺されるリスクが高いため、感染幼虫が蚊から動物へと伝播する可能性が高くなります。

注意すべき兆候にはどのようなものがありますか？

フィラリア症の兆候に気づくことが早期診断につながり、重症化からペットを守ることができます。しかし、その兆候を見つけるのが難しい面もあります。

肺動脈や心臓への寄生後ごく早期の段階、または寄生しているフィラリアの数が少ない場合、ペットは健康そうに見えて何の症状も現れないことがあります。やがて病気が進行すると、極度の疲労や無気力な様子、食欲不振、眠気、そのほか運動を嫌がったり、呼吸が荒くなったりする等の症状が現れます。さらにひどくなると、咳が出たり、呼吸が苦しくなったり、さらには呼吸器疾患だけでなく心不全を起こすこともあります。

ネコちゃんやワンちゃんのフィラリア症を予防するためにできることは何でしょうか？

日本国内で承認されたフィラリアの予防薬を、きちんと定期的に使用することで、フィラリアの幼虫がペットの体内で成虫になる前に死滅させ、ワンちゃんやネコちゃんをフィラリア症から守ることができます。同時に、早期または定期的な検査をすることで、フィラリア症の重症化リスクを減らすことができます。ペットが感染しているかどうかは動物病院の血液検査で調べることが出来ます。検査結果が陽性だった場合には、獣医師さんがその状態に応じた最善の治療を行ってくれるでしょう。

フィラリアはペットの健康に深刻なダメージを与える可能性があり、体内で一度成虫になってしまうと、その駆除は容易ではありません。獣医師さんの指示に従って適切なフィラリア症の予防薬を使用しましょう。大切な家族であり、親友でもあるペットの行動をよく観察して、病気の兆候に気づいてあげたいですね。そして不安なときには、獣医師さんに早めに相談してください。

文はグローバルのコンテンツをベースに翻訳したものです