GioTagアップデート研究の最終解析: EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者における、 アファチニブからオシメルチニブへのシークエンシャル治療は実現可能な治療選択肢 -アジア人サブグループで有望な結果も

和訳リリース,
  • アファチニブに続いてオシメルチニブを投与するシークエンシャル治療では、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者において37.6カ月の全生存期間(OS)中央値を示す
  • アジア人患者のサブグループにおけるOSは44.8カ月であり、Del19変異陽性アジア人患者では45.7カ月に達する
  • GioTagアップデート観察研究の結論はFuture Oncologyに掲載1

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月2日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。

2020年9月2日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは、GioTagアップデート研究の最終解析結果を発表しました。本研究は、リアルワールド、レトロスペクティブの観察研究です。第一世代および第二世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)に対する最も一般的な耐性メカニズムであるT790M獲得遺伝子変異を有するDel19/L858R EGFR遺伝子変異陽性(EGFR M+)の非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、初回治療のアファチニブ後にオシメルチニブを投与する治療法を評価しました。この結果から、解析に含まれる患者203人において、アファチニブに続いてオシメルチニブを投与するシークエンシャル治療により、全生存期間(OS)中央値が37.6カ月(90%信頼区間[CI]): 35.5–41.3)、治療成功期間(TTF:Time to Treatment Failure、 アファチニブに続きオシメルチニブを投与するシークエンシャル治療 の期間)が27.7カ月(90% CI: 26.7–29.9)に達しました1

またアジア人患者のOS中央値は44.8カ月(90% CI: 37.0–57.8)、Del19変異陽性患者では41.6カ月(90% CI: 36.9–45.0)となりました。これらの患者群のTTF中央値は、それぞれ37.1カ月(90% CI: 28.1–40.3)、30.0カ月(90% CI: 27.6–31.9)でした1。Del19陽性のアジア人患者31人におけるOS中央値は45.7カ月(90% CI: 38.2–57.8)、TTFは40.0カ月(90% CI: 36.4–45.0)となりました1。このTTFの結果は、アファチニブに続きオシメルチニブを投与するシークエンシャル治療により、これら特定の患者サブグループにおいて化学療法を開始する前に、長期にわたって分子標的薬で治療を継続できる可能性を示唆しています。

一般的なランダム化臨床試験では登録対象から除外されたり、少数しか組み込まれることがない患者サブグループにおいても、臨床効果は一貫していました。これらのサブグループのOS中央値は、安定した脳転移を有する患者群では31カ月(90% CI: 19.5–45.0)、65歳以上の患者群で36.9カ月(90% CI: 33.0–44.8)、ECOG PSが2以上の患者群で32カ月(90% CI: 24.5–34.5)でした1。これらの患者群のTTF中央値は、それぞれ22.2カ月(90% CI: 16.8–29.9)、27.3カ月(90% CI: 20.4-31.3)、22.2カ月(90% CI: 16.0–26.5)でした1

Krankenhaus Nord, Klinik Floridsdorfの腫瘍内科医で、GioTagアップデート研究の研究調整医師であるDr. Maximilian J. Hochmairは、次のように述べています。「今回、報告されたリアルワールドデータは、アファチニブとオシメルチニブを用いたシークエンシャル治療のOSに関するこれまでで最も綿密に実施された解析です。GioTag研究の最終結果はこれまでの解析結果を裏付けるものであり、アファチニブに続いてオシメルチニブを投与するシークエンシャル治療は、リアルワールドのT790M遺伝子変異を有する幅広いEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者さんに対する現実的かつ有効な治療戦略となる可能性があります」

ベーリンガーインゲルハイムのコーポレートバイスプレジデント、オンコロジーメディシン部門のグローバルヘッドであるDr. Victoria Zazulinaは、次のように述べています。「EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者さんの化学療法の開始時期を遅らせるためには、一次治療の先を見据えた治療オプションの検討が重要です。この目的に向けて、GioTagアップデート研究の最終データは、特にアジア人患者群とDel19変異陽性の患者群において、アファチニブに続いてオシメルチニブを投与するシークエンシャル治療を支持しています」

GioTagアップデート研究について
GioTagアップデート研究は、第一世代および第二世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)に対する最も一般的な耐性メカニズムであるT790M獲得遺伝子変異を有するEGFR遺伝子変異陽性(EGFR M+)の非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、初回治療のアファチニブに続いてオシメルチニブを投与する治療法を評価したリアルワールド、レトロスペクティブ観察研究です。同研究は、オーストリア、カナダ、イスラエル、イタリア、日本、シンガポール、スロベニア、スペイン、台湾、米国の10カ国で実施されました(NCT03370770)。データの収集期間は、2017年12月から2019年12月まででした。早期の打ち切りを避け、綿密なデータを得るため、登録基準は10カ月以上前にオシメルチニブの投与を開始した患者に限定されました。1施設当たり最大15人の患者が登録されました。データは、ベーリンガーインゲルハイムが直接アプローチした施設(n = 77、38%)か、またはカーディナルヘルス社(米国オハイオ州)から提供された電子医療データ(n = 126、62%)から収集しました。記録された患者の観察データの品質保証として、参加患者の約30%についてソースデータの検証を行いました。本研究の主な制約として、レトロスペクティブ方式のため、選択バイアスが存在する可能性があります。もう1つの制約として、比較対照群がないため、結果の解釈が限定されます。

ベーリンガーインゲルハイムのがん治療における取り組み
がんは、私たちの人生から多くを奪っていきます。それは、愛する人たちや貴重な時間も奪っていきます。ベーリンガーインゲルハイムオンコロジー部門は、がん治療に真摯に取り組み、患者さんに希望をもたらすべく努力を続けています。がんの治療法確立を目指す、多様なサイエンスコミュニティとの連携を通し、患者さんの生活を一変させるためのブレークスルーを目指しています。画期的なファースト・イン・クラスの治療をもたらすことを目的とし、私たちは肺および消化器がんに焦点をあてています。イノベーションへの私たちの取り組みは、これまで肺がん治療に先駆的な進歩をもたらしました。より広範ながんとの闘いに挑むため、がん細胞を直接標的とする治療法と腫瘍免疫を介した治療およびそれらの合理的な併用アプローチを進展させています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。

ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変えるような画期的な治療法を提供していきます。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

References

  1. M J Hochmair et al. Sequential afatinib and osimertinib in patients with EGFR mutation-positive NSCLC: final analysis of the observation GioTag study. Future Oncology. (2020) https://www.futuremedicine.com/doi/full/10.2217/fon-2020-0740

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