ベーリンガーインゲルハイム、2020年の業績を発表 コロナ禍にありながら、好調なビジネスの勢いを維持

和訳リリース,
  • 新型コロナウイルス感染症治療薬の開発に対する積極的な研究開発活動
  • 2020年度の研究開発投資総額は7%増の37億ユーロ(約4,506億円、売上高に占める割合は18.9%)
  • コロナ禍にもかかわらず、好業績を達成
  • 2021年の展望:前年同期比でわずかな売上増加の見通し

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が3月24日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。

2021年3月24日 ドイツ/インゲルハイム 
ベーリンガーインゲルハイムは、十分な治療法がない疾患に対する革新的な医薬品および治療法を研究するため、2020年は大幅に研究開発投資を増額し、特に、新型コロナウイルス感染症関連の治療薬候補に関する研究を加速させました。グループ会社全体として前年同期比7%増を上回る37億ユーロ(約4,506億円)を研究開発に投資しました。これは、研究開発主導型の製薬企業である当社の136年の歴史の中で、年間投資額としては最高額となります。

ベーリンガーインゲルハイム取締役会会長フベルトゥス・フォン・バウムバッハは、次のように述べています。「当社は緊急性を認識し、2020年度第1四半期の早い時期に、新型コロナウイルス感染症治療方法の研究開発を開始しました。世界中の多くのパートナーとの協力は、現在も進行中です。私たちの社員は、新型コロナウイルスと戦うために尽力し、私たちの医薬品を患者さんや動物に確実にお届けし、医師への支援を継続しました。2020年の私たちの成果は彼らの努力の結果です」

ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器疾患やウイルス学など、さまざまな治療領域に関する幅広い知識を元に、新型コロナウイルス感染症を治療するためのソリューションを模索する複数のプロジェクトに取り組んでいます。2020年12月、当社は、ケルン大学病院、マールブルク大学、ドイツ感染症研究センターと共同で、感染部位で新型コロナウイルスをブロックする可能性のある新たな治療および予防の選択肢として吸入により投与された、初めてのSARS-CoV-2中和抗体・BI 767551の第1相/第2a相臨床研究を開始したことを発表しました。新型コロナウイルス感染症に対するその他の取り組みとして、BI767551との併用の可能性があるSARS-CoV-2抗体の研究開発、ウイルスの複製を阻害する低分子化合物、微小な血栓(血塊)を防止するための治療の開発が挙げられます。

コロナ禍にありながら、堅調な業績を達成
2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響が各所で見られたにもかかわらず、ベーリンガーインゲルハイムにとって好調な一年でした。すべての部門が売上高と営業利益に貢献しました。前年同期比3%増の195億7,000万ユーロ(約2兆3,831億円)の売上高を記録しました。為替変動の逆風は大きな影響を及ぼし、現地通貨ベースでは、売上高は前年同期比5.6%増でした。

高い収益性での成長と流動性保持を重視
グループの営業利益は、46億2,000万ユーロ(約5,626億円)に増加しました(2019年度同期37億8,000万ユーロ、約4,603億円)。売却による1回限りの利益も営業利益に寄与しました。税引後利益は、前年同期比12.5%増の30億6,000万ユーロ(約3,726億円)となりました(2019年度同期27億2,000万ユーロ、約3,312億円)。営業活動によるキャッシュフローは、6億1,900万ユーロ(約754億円)増の39億6,000万ユーロ(約4,822億円)となりました(2019年度同期33億4,000万ユーロ、約4,067億円)。2020年末の時点における自己資本比率は47%でした(2019年度同期44%)。

財務担当取締役のミヒャエル・シュメルマーは、次のように述べています。「困難な状況の中で、2020年度に良好な成果を達成したことを大変嬉しく思います。人、ペット、産業動物の健康への貢献という面でも、事業業績の面でも、意欲的な目標を達成しました。これにより、研究開発投資をさらに拡大すると共に、特にデジタル技術・データ技術、オンコロジーの分野で特定した長期的な計画にも投資を行うことが可能となります」

有形資産への投資を高いレベルで継続
2020年度に当社は、オーストリア・ウイーンのバイオ医薬品の大規模生産施設(LSCC)やドイツ・ビーベラハの新しいバイオ医薬品開発センター(BDC)を含め、10億5,000万ユーロ(約1,279億円、[2019年度同期10億7,000万ユーロ、約1,303億円])を有形固定資産に投資しました。有形固定資産への支出は、新型コロナウイルス感染症によって建設作業が部分的に遅れたため、史上最高額であった2019年に比べて微減しました。

対象を絞ったM&Aによってポートフォリオを補完
ベーリンガーインゲルハイムは、ポートフォリオを選択的に拡充するため、2020年度に複数の買収を完了しました。7月、当社は、馬およびペット向けに最先端の幹細胞製品を開発・製造する、ベルギーの獣医学バイオテクノロジー企業、Global Stem cell Technology社(GST社)の買収を発表しました。9月、中国を拠点にペットに対する医療サービスを専門に提供するNew Ruipeng Groupの株式を取得しました。12月、当社は、スイスのバイオテクノロジー企業、NBE-Therapeutics社の全ての株式を取得したことを発表しました。同社は、抗体薬物複合体に重点を置いて臨床段階の研究を行い、免疫刺激iADCTMプラットフォームを用いたがん標的療法の発展に取り組んでいます。この買収により、包括的なオンコロジー開発ポートフォリオの一部として、治療困難な固形がんを有する患者さんに対するベーリンガーインゲルハイムの重点的取り組みに新たな側面が加わります。

医療用医薬品-すべての地域で堅調に成長
医療用医薬品の売上高は、現地通貨ベースで前年同期比5.8%増の144億2,000万ユーロ(約1兆7,560億円、売上高合計の74%)となりました。すべての地域が医療用医薬品の好業績に貢献しました。米国は、医療用医薬品事業の収益に関して、今期もベーリンガーインゲルハイムで最大の市場となりました。米国の売上高は、現地通貨ベースで前年同期比3.4%増の56億6,000万ユーロ(約6,892億円)でした。EUCAN地域(欧州、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)の売上高は、現地通貨ベースで前年同期比6.0%増の45億9,000万ユーロ(約5,589億円)となりました。中国を含む新興市場の売上高は、現地通貨ベースで前年同期比10.4%増の28億4,000万ユーロ(約3,458億円)となりました。日本の売上高は、現地通貨ベースで前年同期比6.2%増の13億3000万ユーロ(約1,620億円)となりました。

心血管疾患と代謝疾患の治療薬は、呼吸器疾患の治療薬と共に、引き続き売上高に対して最も大きな割合を占めました。食事療法や運動療法に加えて使用される、2型糖尿病治療剤のジャディアンス®は、引き続き医療用医薬品事業の収益を最も牽引し、24億8,000万ユーロ(約3,020億円)の売上高を記録しました(2019年度同期21億5,000万ユーロ、約2,618億円)。ジャディアンス®は、心血管疾患既往の成人2型糖尿病患者の心血管死のリスクを低減させる報告があります。オフェブ®は、今期に初めて当社第2位の収益要因となり、売上高は、現地通貨ベースで前年同期比41%増の20億6,000万ユーロ(約2,509億円)となりました(2019年度同期14億9,000万ユーロ、約1,814億円)。オフェブ®は、特発性肺線維症(IPF)、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)の治療薬として、また一部の国では進行性線維化を伴う間質性肺疾患の治療薬として承認されています。

医療用医薬品への重点的な研究開発投資
医療用医薬品事業への研究開発投資は、32億8,000万ユーロ(約3,994億円、売上高の22.8%)に達しました。研究プロセスの全段階にわたり、100件程度のプロジェクトが進行中です。目標は、これらのプロジェクトの75%が、該当する有効成分クラスまたは新規治療領域において最初の分子化合物となることです。また、その50%以上にブレークスルーとなる可能性があります。医療用医薬品事業における研究開発は、心血管代謝疾患、腫瘍領域、呼吸器疾患、免疫領域、中枢神経系疾患および網膜の健康を重点領域にしています。

アニマルヘルス-競合の激しい市場で好業績を達成
ベーリンガーインゲルハイムは、アニマルヘルス市場で動物用ワクチンおよび医薬品におけるリーディングカンパニーの一つであり、産業動物およびコンパニオンアニマル分野で大きな存在感を示しています。2020年、アニマルヘルス事業は、競争が激化する市場で好業績を達成し、現地通貨ベースで前年同期比5%増の41億2,000万ユーロ(約5,017億円)の売上を達成しました。特に、豚およびペット用寄生虫駆除薬が堅調で、期待を上回る結果となりました。2020年、中国におけるアフリカ豚コレラの発生状況が減少に転じ、豚領域での改善が見られました。その結果、豚用ワクチンインゲルバック サーコフレックス®の売上高は、現地通貨ベースで前年同期比14.9%増の2億6,400万ユーロとなりました(約321億円、[2019年度同期2億3,800万ユーロ、約290億円])。アニマルヘルス事業における売上トップは、引き続き、犬用の寄生虫駆除薬ネクスガード®で、現地通貨ベースで前年同期比12%増の8億400万ユーロ(約979億円)でした。

バイオ医薬品受託製造-業界トップクラスのプロバイダ
ベーリンガーインゲルハイムは、その製品ポートフォリオと顧客ベースの両面において、バイオ医薬品製造におけるリーディングカンパニーです。製薬企業および革新的バイオ医薬品企業の上位20社のうち60%が、ベーリンガーインゲルハイム・バイオエクセレンスTMのブランド名で知られる、ベーリンガーインゲルハイムのバイオ医薬品受託製造事業のクライアントです。バイオ医薬品事業の売上高は、現地通貨ベースで前年同期比6.6%増の8億3,700万ユーロ(約1,019億円)となりました。

2021年の展望:売上高(比較ベース)は、前年同期比でやや増加する見通し
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が続いている中、一部の主要市場で価格に対する圧力が高まり、業界の状況が困難になりつつあることにより、2021年度のベーリンガーインゲルハイムの業績に影響が生じることが予想されます。承認済みのワクチンと現在承認手続き中の他の医薬品が新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの抑制につながるものと想定することで、処方薬市場の堅調な成長が期待されます。2021年度については、調整後の売上高が前年同期比でやや増加すると予想しています。

2020年度のアニュアルレポートは、下記をご参照ください。
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com/

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

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