ベーリンガーインゲルハイムとClick Therapeutics社、統合失調症の治療に貢献する新規デジタル治療CT-155の開発・販売に関する提携契約を締結

和訳リリース,
  • 今回の提携では、効果的かつ関心の高いデジタルセラピーの開発におけるClick Therapeutics社の専門技術と、神経精神疾患治療薬の臨床開発におけるベーリンガーインゲルハイムの専門知識を組み合わせ、アンメットメディカルニーズを抱える患者さんのためにデジタルイノベーションを模索するベーリンガーインゲルハイムの取り組みを強化
  • 両社は、統合失調症患者が一定の良好な臨床アウトカムを達成できるよう支援することを目的として、処方に基づくデジタルセラピーの開発および販売に取り組む
  • ベーリンガーインゲルハイムはCT-155に関するグローバルな独占的権利を取得し、Click Therapeutics社は前払金と開発資金に加えて臨床・薬事・販売マイルストーンを受け取る権利を有することとなり、同社に対する取引総額は5億ドルを超え、さらに段階的なロイヤリティも含まれる。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月11日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。

2020年9月11日 ドイツ・インゲルハイムおよびニューヨーク州ニューヨーク
ベーリンガーインゲルハイムとClick Therapeutics社は本日、処方に基づくデジタルセラピーの開発および販売に関して提携契約を締結したことを発表しました。統合失調症患者における認知機能障害および社会的機能低下の軽減を目的として、Click社独自のエンゲージメントプラットフォームを通じて提供される認知および神経行動学的機構を活用します。提携両社は、互いの専門知識を結集して新しいモバイルアプリケーションCT-155を開発し、臨床的に検証された複数の治療介入策を組み合わせて、統合失調症患者が行動を修正し、単独または薬物治療との併用で、良好な臨床アウトカムを達成できるよう支援します。両社による提携は、統合失調症患者に役立つツールとリソースを提供することを目指すものです。この疾患には、心理社会的介入を伴う治療が不足していることから、依然として大きなアンメットニーズが残されています。

ベーリンガーインゲルハイムのコーポレート・シニア・バイスプレジデント兼 中枢神経系(CNS)・網膜症・エマージング領域医薬品責任者のJan Stefan Scheld(M.D)は、次のように述べています。「ベーリンガーインゲルハイムでは、デジタル技術は患者さんを助けるための有望で新しい方法であると考えています。処方に基づくデジタルセラピーの発展に向けて、Click Therapeutics社と提携することを嬉しく思います。これにより、統合失調症患者さんにより良い治療を提供できるようになると期待しています」さらに、ベーリンガーインゲルハイムのCNS疾患研究ディレクターのCornelia Dorner-Ciossek(Ph.D.)は、次のように述べています。「CT-155は、当社のCNSパイプラインポートフォリオに対する有望な追加要素です。これは、患者さん中心という当社のアプローチを反映するとともに、行動修正が神経細胞の良好な変化を引き出して、幅広いソリューションにつながっていくということを示すエビデンスでもあります。さらに、ベーリンガーインゲルハイムの統合失調症パイプライン化合物とともに処方され、患者さんの薬物療法の効果を高める可能性を秘めています」

統合失調症は、全世界における障害の原因の上位15位の中のひとつであり、患者全体の約半数が精神面、行動面の健康障害を併発します1。統合失調症は、深刻な精神衛生障害であり、患者さんの現実認識を変化させ、考え方、感じ方、行動に影響を及ぼします。統合失調症と診断された患者さんでは、認知機能障害,社会的機能低下及び陰性症状などに対する治療が不十分なため、機能的な障害が生じることがあります2。治療ガイドラインでは、1人ひとりに合った心理社会的介入治療を推奨していますが、このような介入へのアクセスは限られています2,3。新規のデジタルセラピーのオプションを提供することにより、患者さんの治療へのアクセスが大きく改善し、クオリティオブライフにプラスの影響がもたらされる可能性があります。

Click Therapeutics社CEOのDavid Benshoof Klein氏は、次のように述べています。「ベーリンガーインゲルハイムとの提携により、神経精神疾患の新規治療オプションの臨床開発と世界的販売における同社の豊富な経験を活かし、当社のデジタルセラピーソフトウェアの有効性と到達範囲を向上させることができます。ベーリンガーインゲルハイムとともにピボタル臨床試験でCT-155を評価し、FDAおよび国際的な規制当局の承認を取得し、この処方に基づくデジタルセラピーソフトウェアの単独での臨床効果、または従来の薬物治療との併用での臨床効果を明らかにしていきたいと考えています」

ベーリンガーインゲルハイムは、神経精神疾患患者さんのために新しいソリューションを見つけ出すことの重要性を認識しています。革新的なCNS研究プログラムの一環として、ベーリンガーインゲルハイムは、脳の病態生理を研究し、神経精神疾患の症状の原因となる脳の神経回路の欠陥を特定するための新しい方法を開発し、適用してきました。認知行動療法の原則に基づいたデジタルイノベーションと、根本原因にある症状に対処する薬理学的ソリューションを組み合わせることは、臨床試験を進展させ、神経精神疾患患者の生活を改善するための鍵となります。本日発表された提携は、デジタル治療を患者さんと医療提供者にとって意義のある新たな治療カテゴリーとして確立する機会を両社にもたらします。

提携契約の条件に基づき、Click Therapeutics社は主に研究開発活動を担い、ベーリンガーインゲルハイムによる世界的な販売活動をサポートします。

Click Therapeutics社は、提携契約の条件に基づき、前払金と研究開発活動資金に加えて臨床・薬事・販売マイルストーンを受け取り、取引総額は5億ドル超となります。さらに、Click Therapeutics社は、CT-155の世界での年間売上高に対する段階的なロイヤリティも受け取ります。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。

ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変えるような画期的な治療法を提供していきます。

Click Therapeutics社について
Click Therapeutics社は、アンメットメディカルニーズを抱える患者さん向けに、処方医療としてソフトウェアの開発および販売をしています。認知および神経行動メカニズムを通じて、Click社のDigital Therapeuticsは個人の中での変化を促し、単独で、あるいは生物医学的治療と併用で使用するよう設計されています。Clickometrics®適応データサイエンスプラットフォームは、常にユーザー体験を個人化し、エンゲージメントとアウトカムを最適化します。画期的な臨床試験に続き、Click社の業界トップクラスの禁煙プログラムは、幅広い保険支払者、医療関係者、企業を通じて全米で提供されています。Click社は、大うつ病(MDD)、急性冠症候群(ACS)、慢性疼痛、不眠症、COPD、肥満など、負担の大きいさまざまな治療領域にわたり、Digital Therapeuticsの幅広いパイプラインを進展させています。詳細については、ClickTherapeutics.comをご覧ください。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

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