新しいSARS-CoV-2中和抗体が臨床段階に

和訳リリース,
  • ケルン大学病院(UKK)、マールブルク大学(UMR)、ドイツ感染症研究センター(DZIF)およびベーリンガーインゲルハイムが、新型コロナウイルス感染症の治療・予防薬候補の共同研究を実施
  • BI 767551(DZIF-10c)は、前臨床研究で有望なウイルス中和特性を示した強力な抗SARS-CoV-2抗体
  • 第1相/第2a相臨床試験では、BI 767551を静脈内投与および吸入により投与し、安全性と薬物動態、抗ウイルス作用を評価。最初の患者登録を開始

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が12月18日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。

2020年12月18日 ドイツ/ケルン、マールブルク、ブラウンシュヴァイク、およびインゲルハイム
ケルン大学病院(UKK)、マールブルク大学(UMR)、ドイツ感染症研究センター(DZIF)およびベーリンガーインゲルハイムは、新しいSARS-CoV-2中和抗体であるBI 767551の第1相/第2a相臨床試験を開始したことを発表しました。ウイルス学、免疫学、および臨床研究におけるUKK、UMR、DZIFの専門知識と、治療抗体の開発・製造におけるベーリンガーインゲルハイムの知見を結集し、新型コロナウイルス感染症に対する新たな治療・予防薬候補としてとしてBI 767551を開発しました。

ウイルス中和抗体は、ワクチンや薬物治療薬以外の介入策を補完し、SARS-CoV-2に対する重要な防衛線になると期待されています。軽症から重症までの感染症患者に対する治療オプションとして、また、感染リスクや重症化リスクが高い人々に対する予防策として、研究が進められています。吸入によってBI 767551を肺に直接送達することにより、気道をウイルス感染から迅速に保護できる可能性があります。

この新規抗体BI 767551は、UKKで新型コロナウイルス感染症から回復した患者の血液サンプルに由来するものです。その後、UMRでSARS-CoV-2中和について研究され、ベーリンガーインゲルハイムと共同でさらなる開発が進められています。臨床試験は、ケルン大学病院のFlorian Klein教授とGerd Fätkenheuer教授がリードし、ベーリンガーインゲルハイムが抗体を提供します。ケルン大学病院ウイルス研究所長兼ドイツ感染症研究センターの主任研究員であるFlorian Klein教授は、「BI 767551の開発を通じて、効果的な新型コロナウイルス感染症予防・治療オプションの提供を目指します」と述べています。

マールブルク大学ウイルス研究所長兼ドイツ感染症研究センター新興感染症コーディネーターのStephan Becker教授は、次のように述べています。「モノクローナル抗体は、SARS-CoV-2などの新しいウイルスに対する有望な選択肢です。この抗体が新型コロナウイルス感染症に対して有効であることが明らかになれば、その知見は、現在および将来の感染症大流行の対応に役立つ可能性があります。この抗体の開発に協力することができ、嬉しく思います」

ベーリンガーインゲルハイムのイノベーションユニット担当取締役、Dr. ミシェル・ペレは、「全身投与と吸入投与を組み合わせた革新的なSARS-CoV-2中和抗体の提供を目指し、パートナーと協力してBI 767551の開発に貢献することができ、たいへん光栄です」と述べています。

第1相/第2a相臨床試験(NCT04631705、NCT04631666)では、抗体の安全性と薬物動態、抗ウイルス作用について評価を行います。第1相では、抗体を1回の静注または吸入で被験者に投与します。十分な忍容性が認められれば、以降の段階の検証的試験が実施されます。

ケルン大学病院(UKK)について
ケルン大学病院は、病床数1,570床以上を有する最大規模の病院です。高度な医学教育と優秀な医療および患者治療で知られると共に、重要な研究所とも見なされています。63,000人の入院患者を含め、年間375,000人以上の患者の治療にあたっています。ケルン大学病院は、11,000人近くの職員が勤務するケルン最大の雇用主の1つであると共に、ドイツ最大の医療センターの1つでもあります。

マールブルク大学(UMR)について
マールブルク大学(UMR)は、ヘッセン州で最も歴史ある大学です。1527年に設立され、合計16学部、約24,000人の学生に、幅広い研究テーマについて高度な教育を提供しています。マールブルク大学では、高病原性ウイルスなど、高い関心を集める社会課題を取り扱っています。詳細については、www.uni-marburg.de/enをご覧ください。

ドイツ感染症研究センター(DZIF)について
ドイツ感染症研究センター(DZIF)には、35の組織から500人を超える医師と科学者が集まり、感染症の予防・診断・治療に対する新たなアプローチの開発に共同で取り組んでいます。DZIFの科学者は、基礎研究の結果を臨床応用に戦略的につなげることを目指しています。このプロセスは、トランスレーショナル研究と呼ばれています。詳細については、https://www.dzif.de/enをご覧ください。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。

ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変えるような画期的な治療法を提供していきます。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

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