左室駆出率が40%超の心不全患者において、エンパグリフロジンは慢性腎臓病の有無を問わず、一貫した心腎ベネフィットを示す ーEMPEROR-Preserved®試験の事前に設定された新たなサブ解析結果よりー
- EMPEROR-Preserved®第III相試験の新たなサブ解析において、エンパグリフロジンは、心血管死および心不全による入院の相対リスクを減少させ、腎機能の低下を遅らせることが明らかになりました1。
- エンパグリフロジンは、患者選択基準の下限であるeGFRが20 mL/分/1.73 m2までの腎機能にわたり、一貫してアウトカムを改善しました1。
報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
当プレスリリースについて
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国 イーライリリー・アンド・カンパニーが2021年11月5日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントおよび慢性心不全、腎臓病のリスク減少に関連する効能・効果は取得しておりません。
2021年11月5日 ドイツ/インゲルハイム、米国/インディアナポリス
EMPEROR-Preserved®第III相試験の事前に設定された新たなサブ解析により、エンパグリフロジンは、左室駆出率(LVEF)が40%超の成人心不全患者において、ベースライン時の慢性腎臓病の有無を問わず、主要評価項目である心血管死または心不全による入院のリスクを減少させました。また腎機能の低下を遅らせることが明らかになりました1。既報の通り、EMPEROR-Preserved®試験に登録された患者のうち、3分の2は左室駆出率が保持された心不全患者(HFpEF:LVEFが50%以上)であり、3分の1は、左室駆出率が軽度に低下した心不全患者(同40%超50%未満)でした2。ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE:LLY)は、本日、この結果が米国腎臓学会のKidney Week 2021において発表されたことを報告しました1。
EMPEROR プログラムの治験医師を務め、フランス・ロレーヌ大学の治療・心臓病学の名誉教授であるFaiez Zannad(M.D., Ph.D.)は、次のように述べています。「心不全と慢性腎臓病は、密接に関連しています。心不全患者さんの死亡リスクは、腎機能が低下するにつれて高くなります。慢性腎臓病の有無を問わず、深刻な心不全イベントを減少させ、腎機能の低下を遅らせるという一貫したベネフィットは、患者さんにとっても医師にとっても喜ばしいことです。この結果は、左室駆出率が保持された患者を含むこの心不全患者群において、広範な腎機能にわたり、エンパグリフロジンが好影響を与える可能性があることを示しています」
心不全患者の約半数が慢性腎臓病を合併しています3。これらが合併することにより、死亡率と入院リスクが上昇します3。世界で6,000万人以上が心不全に罹患しており、HFpEFはその半数程度を占めています4,5。現在までに、幅広い心不全に対して臨床的に有効であることが証明された治療薬はありません。
ベーリンガーインゲルハイムのコーポレートバイスプレジデント、心血管代謝部門長のWaheed Jamal(M.D.)は、次のように述べています。「慢性腎臓病と心不全が合併すると、左室駆出率が保持された心不全の複雑な管理がさらに難しくなります。今回の結果から、エンパグリフロジンが心腎代謝系全体に好影響をもたらす可能性があることが明らかになりました」
既報の通り、EMPEROR-Preserved®試験では、LVEF 40%超の心不全患者において、エンパグリフロジンは、主要評価項目である心血管死または心不全による入院のリスクをプラセボと比較して有意に減少させることが明らかになりました2。またエンパグリフロジンは、心不全による入院の初回および再発のリスクを有意に減少させ、腎機能の低下を遅らせました22。
EMPEROR-Preserved®試験では、試験登録の時点で被験者の半数(53.5%)以上が慢性腎臓病(eGFRが60 mL/分/1.73 m2未満、またはUACRが300 mg/g以上)を有し、9.7%は重症の腎障害(eGFR が30 mL/分/1.73 m2未満)を有していました1。EMPEROR-Preserved®試験の事前に設定された新たなサブ解析結果から、患者全体で見られたベネフィットが、慢性腎臓病の有無を問わず一貫していることが明らかとなりました1。エンパグリフロジンは、eGFRが20 mL/分/1.73 m2までの腎機能にわたり、一貫して心血管アウトカムを改善し、腎機能の低下を遅らせました1。エンパグリフロジンは、ベースライン時の腎機能の程度によらず、忍容性を示しました1。
イーライリリー・アンド・カンパニーの製品開発部門バイスプレジデントのJeff Emmick(M.D., Ph.D.)は、次のように述べています。「今回の結果は、心不全と慢性腎臓病を合併している多くの患者さんにとって、重要な節目となります。この相互に関連した複雑な疾患に対する治療選択肢を必要としている人は大勢います。エンパグリフロジンの第III相EMPA-KIDNEY試験などを通じて、引き続き腎機能障害の患者さんのアンメットニーズに対応するべく、研究を進めていきます。同試験の結果は、来年に得られる見込みです」
エンパグリフロジンは現在、血糖コントロール不十分な成人2型糖尿病患者の治療薬として承認されています6,7,8。また、欧州と米国では、成人の左室駆出率が低下した心不全患者の治療薬としても承認されています6,7。現在、心筋梗塞後の心不全リスクが高い患者を対象に、エンパグリフロジンが心不全による入院や死亡に及ぼす影響を検討する試験が進行中です9。また、慢性腎臓病へのエンパグリフロジンの影響を検討する試験も進行中です10。
参考情報
EMPEROR慢性心不全試験11,12について
EMPEROR(EMPagliflozin outcomE tRial in patients with chrOnic heaRt failure:慢性心不全の患者を対象にしたエンパグリフロジンのアウトカム試験)慢性心不全の臨床試験プログラムは、2型糖尿病合併または非合併の左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)患者または左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者を対象に、エンパグリフロジンの1日1回投与による治療をプラセボと比較検討する以下の2つの第Ⅲ相無作為化二重盲検試験で構成されます。
- EMPEROR-Reduced試験 [NCT03057977]:左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)の成人患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性を評価します。
- 主要評価項目:判定心血管死または判定HHF(心不全による入院)の最初の事象までの時間
- 患者数:3,730人
- 試験完了:2020年
- EMPEROR-Preserved試験[NCT03057951]:左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)の成人患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性を評価します。
- 主要評価項目:判定心血管死または判定HHF(心不全による入院)の最初の事象までの時間
- 患者数:5,988人
- 試験完了:2021年
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EMPOWERプログラムについて
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPOWERプログラムを策定し、幅広い心腎代謝疾患における心血管および腎臓の主要な臨床アウトカムに対するエンパグリフロジンの影響を調べています。心腎代謝疾患は、世界の死因のトップを占め、年間2,000万人がこれらの疾患で死亡しています13。EMPOWERプログラムを通じて、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、相互に関連する心腎代謝疾患に関する知識を進歩させるために取り組んでいます。9つの臨床試験と1つのリアルワールドエビデンス研究から構成されるEMPOWERプログラムは、心腎代謝疾患の患者さんの予後向上を目指す両社のアライアンスによる長期的な取り組みです。世界で40 万人以上の患者さんが参加している同プログラムは、これまでにSGLT2阻害薬について実施された臨床試験プログラムの中で最も幅広く包括的なものとなっています。
心不全について
心不全とは、心臓が体中に十分な血液を送り出すことができず、酸素を含んだ血液の需要を満たせない進行性の状態であり、死亡に至る場合もあります14。酸素を含んだ血液の需要を満たすために、血液量を増やさなければならず、その結果、肺および末梢組織に液体貯留(鬱血)が生じます15。心不全は、世界中で6,000万人以上が罹患しており、高齢化が進むにつれて患者数が増加すると予測されます4,5。心不全は糖尿病患者で大変多く見られますが16、心不全患者全体の約半分は糖尿病に罹患していません17。
心不全には様々な種類があります。 左心不全の患者さんには、左室駆出率が低下している患者さんもいれば、左室駆出率が保たれている患者さんもいます。左室駆出率は、左心室が収縮するごとに送り出される血液量の左心室容積に対する割合です18。 心臓が弛緩すると、心室に血液が満たされます。
- 左室駆出率が保持された心不全は、左心室が十分に弛緩できず、十分な血液が入らないために、身体に送り出される血液量が少なくなる状態です18。
- 左室駆出率が低下した心不全は、左心室が十分に収縮せず、血液を送り出すポンプとしての力が弱くなることで、身体に送り出される血液量が少なくなる状態です18。
多くの心不全患者さんには、息切れや疲労感が現れ、生活の質(QOL)が大きく低下します19。また、心不全患者さんは腎機能障害を有することが多く、これも予後に悪影響を及ぼします20。
心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心腎代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます5,13。
心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては、心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系の健康状態を改善すれば、他の系にも好影響を与えます21,22,23。
両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。
エンパグリフロジンについて
エンパグリフロジン(ジャディアンス®)は、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体(SGLT2)阻害薬であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬です6,7,8。
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。
イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。
日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。
詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
https://www.lilly.co.jp
(日本イーライリリー)
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References
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