神戸医薬研究所がイベントを通じて、 学生に希少疾患を知る機会を提供

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「希少・難治性疾患」と聞いてピンとくる方は、どれくらいいるでしょうか?患者数が少なく、治療法も確立されていない疾患を、希少・難治性疾患(Rare Disease)と呼びます。アメリカのGARD(Genetic and Rare Diseases Information Center)によると、この希少・難治性疾患の数は7000以上存在すると報告されています*。我が国、日本では患者数が5万人に満たない病気=希少疾患と定義されています**。これは、日本の人口1億2550万人の0.04%に満たない割合になります。1万人に4人未満という罹患率では、身近なところに希少疾患の患者さんがいなければ、私たちはその存在に気付くことは少ないでしょう。

* Genetic and Rare Diseases Information Center公式HPより **厚生労働省公式HPより

希少疾患について知ってもらうこと、これがまず第一歩

日本ベーリンガーインゲルハイム(以下BI)は2022年5月、Rare Disease Day日本事務局を運営する特定非営利活動法人、ASridと協力して「希少疾患の未来を共に考え、共に創る -RDD×SD4G- リコチャレ2022」というオープンスクールを神戸医薬研究所で開催しました。BIでは2021年より「Sustainable Development – for Generations (SD4G: 世代をまたぐ持続可能な開発)」 に取り組んでおり、この柱の1つ、「More Health=医療へのアクセスに貢献」をその目的としました。今回、神戸医薬研究所にお迎えしたのは、大阪明星学園 明星高等学校(大阪府)、神戸海星女子学院(兵庫県)、鶴岡工業高等専門学校(山形県)から12名の生徒たち。「知る・感じる・楽しむ」をコンセプトに、生徒の皆さんに研究所ラボツアーや患者さんの疾患を体感頂くセッションを実施。希少・難治性疾患と共に生きる方々のために何ができるかを、研究員らと一緒に考えてみる機会を提供しました。

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希少疾患の疑似体験を通じて、患者さんの気持ちに寄り添う

今回、希少疾患として取り上げたのは、指定難病の全身性強皮症と、併発疾患の間質性肺疾患。生徒たちは、特殊な手袋をはめて硬化した皮膚を、さらにストローをくわえて間質性肺疾患による呼吸の苦しさを疑似体験。シャツのボタンを留める、絆創膏を貼る、靴紐を結ぶといった簡単な動作に挑戦してもらいました。すると生徒たちは悪戦苦闘し、「長時間続けると苦しくなる」、「うまくいかなくてもどかしい思いをした」といった率直な感想も。その後の患者さんのためにできることを考えるセッションでは、「スタンプ式絆創膏」や「自動で靴紐が結べる靴」などの新しいアイデアが挙げられました。また、「いかにもサポート用品という雰囲気ではなく、デザイン性にも優れたものだと良い」といった患者さんの視点に立ったアイデアなど、闊達な意見交換がなされました。

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「もっと長くディスカッションしたかった!」生徒たちの熱い思いも

今回のイベントは、内閣府男女共同参画局が中心に推進する、リコチャレ(理工チャレンジ)の取り組みとして、BIでは初めて実施しました。参加した生徒たちは、聞きなれない希少疾患についての知識を得ただけでなく、患者さんの苦しみや不便さを身をもって体験したことで「自分たちにできることがないか」を考える良い機会になりました。終了後のアンケートでは、「疑似体験を通して患者さんの思いを考え、あったらいいなと思うものを考えられたので、今後困っている人と出会ったときなどに役立つのではないかと思いました」「また来年もできたらいいなと思います」など、ポジティブな回答を得られました。BIでは希少疾患をはじめ、医薬品の研究開発・製造に関心を持ってもらえるようなイベントを、学生たちに向けて今後も実施して行きます。

希少疾患に関する参考動画:RDD2022特別番組「こどものきもち かぞくのきもち」

このイベントを共催したASridでは、希少・難治性疾患の認知向上のために、毎年2月最終日を「Rare Disease Day」としてキャンペーンを実施しています。その一環で2021年より制作している特別動画「こどものきもち かぞくのきもち」をご紹介します。