EMPA-REG OUTCOME®試験の新たな解析により、心血管疾患既往の2型糖尿病患者において、エンパグリフロジンは初回および再発の心血管イベントリスクを減少させる

和訳リリース,
  • 心血管疾患既往の2型糖尿病患者において、エンパグリフロジンは、プラセボと比較して、3P-MACE、心不全による入院、および全ての原因による入院を含む心血管イベントの全イベント(初回および再発)のリスクを減少させました。この新たな解析結果は、Lancet Diabetes & Endocrinology誌に掲載されました。
  • 2型糖尿病患者における心血管イベントの再発は、臨床的、社会経済的に大きな負担となります1。初回および再発を含む全ての心血管イベントを評価することにより、心血管イベントの総合的な負担を推定することができます。

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国 イーライリリー・アンド・カンパニーが2020年11月17日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントおよび腎臓病のリスク減少に関連する効能・効果、慢性心不全の適応は取得しておりません。

2020年11月17日 ドイツ/インゲルハイム、米国/インディアナポリス
EMPA-REG OUTCOME®試験の新たな事後解析では、心血管疾患既往の2型糖尿病患者において、標準治療に上乗せしたエンパグリフロジンは、プラセボと比較して、初回および再発の心血管イベントリスクを低下させました。心血管イベントには、3P-MACE(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、または心血管死の複合エンドポイント)、心不全による入院、および全ての原因による入院が含まれます。ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE:LLY)が発表した本解析結果は、Lancet Diabetes & Endocrinology誌に掲載されました2

解析の筆頭著者であり、University of Texas Southwestern Medical CenterおよびParkland Health and Hospital Systemの内科学教授であるDarren McGuire博士(M.D., M.H.Sc.)は、次のように述べています。「アテローム性動脈硬化症の既往を有する2型糖尿病患者さんでは、心血管系の合併症を発症するリスクが高まり、入退院を繰り返すことで生活の質(QOL; Quality of Life)が損なわれるとともに、その結果として、医療費の増大に影響を及ぼすと考えられます。臨床試験で一般的に解析される初回の入院だけでなく、再入院を含めた全ての入院イベントを考慮することにより、治療の最終的な影響を評価できます。今回の新たな解析により、この衰弱させる合併症が原因で再発イベントを起こす患者さんに対して、エンパグリフロジンによる長期治療の影響についての理解が深まります」

既報の通り、EMPA-REG OUTCOME®試験では、心血管疾患既往の2型糖尿病患者において、エンパグリフロジンは心血管死の相対リスクを38%減少させ、3P-MACEの相対リスクを14%減少させました3

この新たな探索的解析では、エンパグリフロジンを標準治療に上乗せすることで、以下の全イベント(初回および再発)の相対リスクがプラセボと比較して減少することが明らかになりました2

  • 3P-MACEが22%
  • 心不全による入院が42%
  • 全ての原因による入院が17%
  • 致死的・非致死的心筋梗塞(一般に心臓発作と呼ばれる)が21%
  • 冠動脈疾患イベント(心筋梗塞と冠動脈血行再建術の複合)が20%

ベーリンガーインゲルハイムのコーポレートバイスプレジデント、心血管代謝部門長のWaheed Jamal(M.D.)は、次のように述べています。「今回の新たな解析結果により、心血管死、および全死亡のリスクを減少させるという、エンパグリフロジンの有効性に関するこれまでのエビデンスが補強されます。実際に、心血管疾患既往の2型糖尿病患者さんの入院およびアテローム性動脈硬化症関連のアウトカムに対して、エンパグリフロジンが好影響を及ぼすことが新たに示唆されました」

イーライリリー・アンド・カンパニーの糖尿病事業部製品開発部門バイスプレジデントのJeff Emmick(M.D.,Ph.D.)は、次のように述べています。「ベーリンガーインゲルハイムとリリーは、エンパグリフロジンが心疾患を有する2型糖尿病患者さんの健康アウトカムをどのように改善し、治療ギャップをどのように満たすことができるかを引き続き探索していきます。EMPOWERプログラムは、これまでに世界中の患者さん377,000人以上が参加しているSGLT2阻害薬に関する心血管臨床試験プログラムの1つであり、その詳細な結果を発表できるのを心待ちにしています」

参考情報
EMPA-REG OUTCOME®(NCT01131676)試験について3

EMPA-REG OUTCOME®は、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の国際共同試験で、42カ国から心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病の患者7,000人以上が参加しました。

試験では、標準治療にプラセボを上乗せした群とエンパグリフロジン(10 mgまたは25 mg 1日1回)を上乗せした群とで、長期の心血管安全性を評価しました。標準治療については、血糖降下薬と心血管治療薬(高血圧やコレステロール降下薬など)が使用されていました。主要評価項目は、心血管死、非致死的心筋梗塞、または非致死的脳卒中が最初に起こるまでの期間として定義されました。

EMPA-REG OUTCOME®試験におけるエンパグリフロジンの安全性プロファイルは、それまでの試験で得られた結果と一貫していました。

EMPOWERプログラムについて
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPOWERプログラムを策定し、幅広い心腎代謝疾患における心血管および腎臓の主要な臨床アウトカムに対するエンパグリフロジンの影響を調べています。心腎代謝疾患は、世界の死因のトップを占め、年間2,000万人がこれらの疾患で死亡しています4。EMPOWERプログラムを通じて、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、相互に関連する心腎代謝疾患に関する知識を進歩させるために取り組んでいます。臨床試験とリアルワールドエビデンス研究を含む9つの試験から構成されるEMPOWERプログラムは、心腎代謝疾患の患者さんの予後向上を目指す両社のアライアンスによる長期的な取り組みです。世界で377,000人以上の患者さんが参加している同プログラムは、これまでにSGLT2阻害薬について実施された臨床試験プログラムの中で最も幅広く包括的なものになります。

EMPOWERプログラムには以下の試験が含まれます。

  • EMPEROR-Reduced試験:左室駆出率が低下した慢性心不全の患者を対象とし、心血管死または心不全による入院に対するエンパグリフロジンの有効性と安全性の評価を目的とした試験5
  • EMPEROR-Preserved試験:左室駆出率が保持された慢性心不全の患者を対象とし、心血管死または心不全による入院に対するエンパグリフロジンの有効性と安全性の評価を目的とした試験6
  • EMPULSE試験:急性心不全で入院した患者を対象とし、臨床アウトカムおよび患者報告アウトカムの改善についてエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験7
  • EMPACT-MI試験:2型糖尿病合併の有無を問わない急性心筋梗塞後の患者を対象とし、全死亡および心不全による入院に対するエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験8
  • EMPA-KIDNEY試験:慢性腎疾患の患者を対象とし、腎疾患の進行および心血管死に対するエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験9
  • EMPERIAL-Reduced試験:左室駆出率が低下した慢性心不全の患者を対象とし、運動耐容能と患者報告アウトカムに対するエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験10
  • EMPERIAL-Preserved試験:左室駆出率が保持された慢性心不全の患者を対象とし、運動耐容能と患者報告アウトカムに対するエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験11
  • EMPA-REG OUTCOME®試験:心血管疾患の既往を有する2型糖尿病患者を対象とし、心血管死を含む主要心血管イベントに対するエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験3
  • EMPRISE研究:日常診療におけるエンパグリフロジンの心血管イベントリスクに対する有効性、安全性、医療資源利用、医療費をDPP-4阻害薬と比較評価することを目的とした非介入研究12,13

2型糖尿病と心血管疾患について
糖尿病は、インスリンというホルモンが適切に産生されない、または働きが悪くなった場合に起こる慢性疾患です14。糖尿病患者は全世界で4億6,300万人以上、このうち2億3,200万人以上が未診断であると推定されています14。また、糖尿病患者は2045年までに7億人まで増えると予想されています14。2型糖尿病は、最も頻度の高い病型です14
糖尿病は、高血糖、高血圧、肥満などを伴うため、心血管疾患は主要な合併症であるとともに、糖尿病と関連する主要な死因であり15、全世界の2型糖尿病患者の死因の約50%が心血管疾患です16

心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心血管代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます4

心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系統で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系統の健康状態を改善すれば、他の系統にも好影響を与えます17,18

両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。

エンパグリフロジンについて
エンパグリフロジン(ジャディアンス®)は、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体2(SGLT2)阻害薬であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬です19,20,21

血糖値が高い2型糖尿病患者にエンパグリフロジンを投与し、SGLT2を阻害することで、過剰な糖を尿中に排出させます。さらに、塩分(ナトリウム)を体外に排出させ、循環血漿量を低下させます。エンパグリフロジンによる体内の糖・塩分・水の代謝変化が、EMPA-REG OUTCOME®試験で確認された心血管死の減少に寄与する可能性が示唆されています22

ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。

ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変えるような画期的な治療法を提供していきます。

イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。

日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。

詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
https://www.lilly.co.jp
(日本イーライリリー)

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References

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  9. ClinicalTrials.gov. EMPA-KIDNEY (The Study of Heart and Kidney Protection With Empagliflozin). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03594110. Accessed November 2020.
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  11. ClinicalTrials.gov. A phase III randomised, double-blind trial to evaluate the effect of 12 weeks treatment of once daily EMPagliflozin 10 mg compared with placebo on ExeRcise ability and heart failure symptoms, in patients with chronic HeArt FaiLure with preserved Ejection Fraction (HFpEF) (EMPERIAL – preserved). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03448406. Accessed November 2020.
  12. Kim DJ, Sheu WH-H, Seino Y, et al. Cardiovascular Effectiveness and Safety of Empagliflozin in Routine Care in East Asia: Results from the EMPRISE study. Presented at IDF Congress 2019. 2-6 December 2019, Busan, Korea.
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