ベーリンガーインゲルハイムのnerandomilastがピボタル第3相臨床試験FIBRONEER™-IPFの主要評価項目を達成

和訳リリース,
  • FIBRONEERTM-IPF試験のトップラインデータにおいて、開発中の化合物であるnerandomilastは主要評価項目(52週時の努力肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量(mL))を達成
  • FIBRONEERTM-IPF試験は、特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis : IPF)を対象とする過去最大規模の臨床試験であり、30カ国以上の330以上の施設で患者登録を実施1,4
  • 有効性および安全性に関する本試験の詳細な結果は、2025年上半期に発表の予定
  • ベーリンガーインゲルハイムは、IPF治療薬としてのnerandomilastの新薬承認申請を、米国食品医薬品局(FDA)をはじめとする世界各国の保健当局に提出予定
報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
 
当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月16日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。
 
2024年9月16日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは本日、FIBRONEERTM-IPF試験において、nerandomilast群がプラセボ群に対して、52週時の努力肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量(mL)という主要評価項目を達成したことを発表しました。FVCは、呼吸機能を測定する基準です1

この結果に基づき、ベーリンガーインゲルハイムは、特発性肺線維症(IPF)治療薬としてのnerandomilastの新薬承認申請を、米国食品医薬品局(FDA)をはじめとする世界各国の保健当局に提出する予定です。FDA2022年に本剤をIPFに対するブレークスルーセラピーとして指定しています2
 
ベーリンガーインゲルハイムのグローバル疾患領域責任者であるIoannis Sapountzisは、次のように述べています。「IPFを対象とした第3相試験で主要評価項目を達成したのは、この10年で初めてです9。今回の発表により、この疾患の研究における当社の長い歴史において次のステップを踏み出したことになります。IPFは患者さんにとって、大きなアンメットニーズがあります。私たちは、主な間質性肺炎の1つであるIPFに対してさらなる治療選択肢を開発すべく、引き続き研究活動を進めてまいります」
 
Nerandomilastは、開発中の経口ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害剤であり、まだ製造販売承認は取得していません。したがって、安全性と有効性はまだ確立されていません3。本剤は、FIBRONEERTMグローバルプログラムの一環として開発されており、本プログラムにはIPFを対象とするFIBRONEERTM-IPF試験4と、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(progressive fibrosing interstitial lung diseases:PF-ILD)/進行性肺線維症(progressive pulmonary fibrosis : PPF)を対象とするFIBRONEERTM-ILD試験5の2つの第3相臨床試験が含まれます。

FIBRONEERTM-IPF試験(NCT053210694について
本試験は、特発性肺線維症(IPF)を対象とし、52週以上にわたりnerandomilastの有効性と安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。

主要評価項目:52週時における努力肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量(mL
 

主な副次的評価項目:

  • 試験期間中に複合エンドポイントとして設定した、IPFの初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院または死亡のいずれかが生じるまでの期間

参加者は、3つの試験群に無作為に割り付けられます。そのうち2つの群は、異なる用量のnerandomilast錠を12回服用します。プラセボ群は、プラセボ錠を12回服用します。プラセボ錠は、nerandomilast錠と同様の形状ですが、有効成分を含んでいません。

本試験は30カ国以上1で実施され、1,177人の患者が無作為に割り付けられました。

FIBRONEERTM臨床試験プログラム4,5について
FIBRONEERTMプログラムには、第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験であるFIBRONEERTM-IPF試験(NCT05321069)とFIBRONEERTM-ILD試験(NCT05321082)が含まれます。それぞれ特発性肺線維症(IPF)と進行性肺線維症(PPF)を対象として、52週以上にわたってnerandomilastの有効性、安全性および忍容性を評価する試験です。

FIBRONEERTM-IPF試験の被験者は、52週以上にわたり、12回、用量9mgまたは18mgnerandomilast、またはプラセボの経口投与を受けました1Nerandomilast 18mg12回投与の用法用量は、第2相臨床試験の結果を基に決められました1Nerandomilast 9mg12回投与の用法用量は、低用量におけるベネフィット・リスクプロファイルの評価と、用量ー反応関係および曝露ー反応関係のデータを提供するために追加されました1

両試験とも、主要評価項目は52週時の努力肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量です。主な副次評価項目は、試験期間中に複合エンドポイントとして設定した、IPFまたはPF-ILD/PPFの初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院または死亡のいずれかが生じるまでの期間です4,5

Nerandomilastについて
NerandomilastBI 1015550)は、開発中の経口の優先的ホスホジエステラーゼ4BPDE4B)阻害剤で、特発性肺線維症(IPF)および進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)/進行性肺線維症(PPF)の治療薬候補として研究が進められています2。この化合物は治験段階の薬剤であり、まだ製造販売承認を取得していません。本剤の有効性と安全性はまだ確立されていません。

NerandomilastFDAにより、 20222月にIPFの治療薬としてブレークスルーセラピーに指定されました2

Nerandomilastの有効性、安全性および忍容性は、IPF患者(n=147)を対象とする第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で検討されました。主要評価項目は、12週時の、呼吸機能の測定基準である努力肺活量(FVC)のベースラインからの変化量でした3

特発性肺線維症(IPF)および進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)/進行性肺線維症(PPF)について
特発性肺線維症(IPF)は、より患者数の多い進行性線維化を伴う間質性肺疾患(ILD)の1つです。IPFの症状には、労作時の息切れ、長引く空咳、胸部不快感、疲労感、虚弱があります。IPFは希少疾患と考えられていますが、世界中で約300万人が罹患しています6,7。この病気は、主に50歳以上の男性に多く見られます6

IPFに加え、特定の線維化を伴うILDでは、PF-ILD/PPFと呼ばれる進行性の表現型を呈することがあります。IPF以外のILDでは、PF-ILD/PPFは、呼吸器症状の悪化、病勢進行の生理学的エビデンスや画像所見によるエビデンスによって定義されます8

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の健康に取り組むバイオ製薬企業です。研究開発において業界トップクラスの投資を行い、アンメットメディカルニーズの高い分野で画期的な治療法の開発に注力しています。1885年の創業以来、ベーリンガーインゲルハイムは株式を公開しない独立した企業形態により長期的な視点を維持し、バリューチェーン全体にサステナビリティを組み込んだ活動を行っています。より健やかでサステナブルかつ公平な未来を築くため、53,500人以上の社員が130ヵ国以上で事業を展開しています。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.com/jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)

 

References
1 Richeldi L, et al. (2023) Design of a phase III, double-blind, randomised, placebo-controlled trial of BI 1015550 in patients with idiopathic pulmonary fibrosis (FIBRONEER-IPF). In: BMJ Open Respir Res. 2023; 10(1): e001563.
Boehringer Ingelheim (2022) FDA Grants BI 1015550 Breakthrough Therapy Designation for Idiopathic Pulmonary Fibrosis. Accessed August 2024. Available at: https://www.boehringer-ingelheim.com/us/human-health/lung-diseases/pulmonary-fibrosis/fda-grants-bi-1015550-breakthrough-therapy.
3 Richeldi L, et al. (2022) Trial of a Preferential Phosphodiesterase 4B Inhibitor for Idiopathic Pulmonary Fibrosis. In: N Engl J Med 2022;386:2178-2187. 
4 Boehringer Ingelheim (2024) A Study to Find Out Whether BI 1015550 Improves Lung Function in People With Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF). Accessed August 2024. Available at:  https://clinicaltrials.gov/study/NCT05321069.
5 Boehringer Ingelheim (2024) A Study to Find Out Whether BI 1015550 Improves Lung Function in People With Progressive Fibrosing Interstitial Lung Diseases (PF-ILDs). Accessed August 2024. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05321082?tab=results. 
6 European Lung Foundation (2023) IPF - Idiopathic Pulmonary Fibrosis. Accessed August 2024. Available at: https://europeanlung.org/en/information-hub/factsheets/ipf-idiopathic-pulmonary-fibrosis/ 
7 Koudstaal T, Wijsenbeek MS. Idiopathic pulmonary fibrosis. Presse Med 2023; 52(3):104166.
8 Cottin, V. Am J Respir Crit Care Med 2023; 207(1):11-13. 
9 King TE Jr et al (2014) A phase 3 trial of pirfenidone in patients with idiopathic pulmonary fibrosis. In: N Engl J Med 2014:370:2083-2092.

 

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