日本ベーリンガーインゲルハイム、国内初の特発性肺線維症における患者さんと担当医師の意識調査を実施 -医師と患者さんの間で、治療に対する認識のギャップが存在-

日本/東京,

報道関係者向け情報
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2020年3月17日 日本/東京
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(代表取締役会長兼社長 トーステン・ポール)はこのたび、神戸市立医療センター西市民病院(院長 有井滋樹) 冨岡洋海副院長兼呼吸器内科部長との共同研究グループによる特発性肺線維症(IPF)患者さんを診る医師とその患者さんを対象に「特発性肺線維症(IPF)診療における患者と医師の相互理解:わが国におけるIPF患者と担当医師の意識調査」を行い、その結果、医師と患者さんとの間に治療に対する認識のギャップが存在することが明らかになりました。これはIPFを診療する医師とその患者さんに対する国内初となる意識調査であり、診療における相互理解の向上に役立つものです。

この研究内容は医学雑誌「呼吸臨床」に掲載されました1

IPFは肺胞にできた傷の修復のためにコラーゲンなどの繊維が蓄積して間質が固くなる病気です。徐々に悪化し、進行すると肺が膨らみにくくなり、咳が出たり、酸素が取り込めず息苦しくなったりします。また、IPF患者さんの死亡原因の約40%が急性憎悪によるもので、IPFの進行にともなって急性憎悪の発現頻度が高まることから、病気を進行させないことが重要といわれています。

【調査結果のサマリー】

  • 治療薬があることや治療費の助成制度について、患者さんは診断時の重要な説明と捉えている
  • 医師が意図した通りに説明内容は患者さんに伝わっていない
  • 患者さんは早期に治療を開始し、今までと同じ生活をすることを重視
  • IPFと診断された患者さんは「不安」と「驚き」を感じ、その後インターネットで検索

今回の調査によると、IPFの診断時における説明内容として、患者さんは「治療薬があること(56%)」のほか、「疾患の特性『予後が悪い(51%)、不可逆性の病気である(50%)』」、「治療費の助成制度の存在(49%)」を重要と捉えていた一方、医師の側は「疾患の特性『急性増悪の可能性(52%)、予後が悪い(41%)、不可逆性の病気である(41%)、進行性の病気である(36%)』」および「検査の必要性(30%)」を特に重視しており、治療薬や治療費については重要度の認識が低い結果でした。また、医師から受けた説明に対し、ほとんどの患者さんがわかりやすいと捉えていましたが、重要な内容であるにもかかわらず、「初期は無症状であっても進行する(41%)」、「急性増悪により呼吸機能が急激に悪化し、予後に大きな影響を与える可能性があること(48%)」などは患者さんの印象に残っていないことも示され、必ずしも医師の意図した通りに説明内容が伝わっていない現状が明らかになりました。

さらに、抗線維化療法に関する医師による説明については、40%の患者さんが「早期に抗線維化薬による治療を始めることが望ましいこと」を「とても重要である」と回答したのに対し、医師の回答では15%でした。また、35%の患者さんが「通院治療であるため、仕事や家事への影響が少なく今までと同じ生活ができること」を「とても重要である」と回答したのに対し、医師の回答では11%で、医師と比べて患者さんは早期に治療を開始し、今までと同じ生活をすることを重視する傾向がみられました。

多くの患者さんは診断後に自身で疾患、治療に関する情報収集を行っており、その過半数はインターネットから情報を得ていましたが、IPFに関する情報は必ずしも最新でなかったり、十分に情報が記載されていないことから、患者さんに対する正確で信頼のおける情報提供が求められることも指摘されています。

日本ベーリンガーインゲルハイムは今回の調査結果に基づき、医師および患者さんへ疾患とその治療法に関する正しい情報の提供を様々なチャネルを通してさらに推進していく所存です。

特発性肺線維症(IPF)の治療薬について
ベーリンガーインゲルハイムが開発したニンテダニブは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)α、β、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1、2、3 および血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする低分子チロシンキナーゼ阻害剤です。日本では、2015年7月に「特発性肺線維症(IPF)」を効能・効果として、製造販売承認を取得し、2019年12月に全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対して追加適応を取得しました。ニンテダニブはIPFの疾患進行を遅らせることが実証されている抗線維化薬2剤のうちの1剤です2。抗線維化剤による治療は国際ガイドラインによってIPF患者への使用が承認・推奨されている薬物治療です2

ベーリンガーインゲルハイムについて
ヒトと動物の健康を改善することは、研究開発主導型の製薬企業ベーリンガーインゲルハイムの使命です。私たちは治療選択肢が存在せず、未だ十分な治療法が確立していない疾患に焦点を合わせ、患者さんが健やかな生活を確保できる革新的な治療法の開発に専念しています。アニマルヘルスでは、先進的な病気の予防と早期発見・早期治療に注力しています。

ベーリンガーインゲルハイムは世界におけるトップ20製薬企業の1つで、1885年の設立以来、株式を公開しない企業形態を維持しています。約50,000人の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品の3つの事業分野において、革新的な製品開発を通した価値の創出に日々取り組んでいます。2018年度、ベーリンガーインゲルハイムは約175億ユーロの売上高を達成しました。研究開発費は約32億ユーロとなり、売上高の18.1%に相当します。

株式を公開しない企業形態の特色を生かし、ベーリンガーインゲルハイムは世代を超え、長期的な成功を重視しています。したがって、私たちは、研究活動において、自社のリソースに加えて、オープンイノベーションと戦略的アライアンスを重視し持続的な成長を目指しています。ベーリンガーインゲルハイムは、私たちが関連するあらゆるリソースを尊重し、人類と環境に対する責任を果たしていきます。

詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
http://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)

References

  1. 冨岡洋海, ほか.特発性肺線維症(IPF)診療における患者と医師の相互理解:わが国におけるIPF患者と担当医師の意識調査(第2報)呼吸臨床第4巻3号 論文番号e00098
    なお、調査のレポートは以下のURLよりご覧になれます。
    https://kokyurinsho.com/lungdisease/e00098/
  2. Kim DS.Acute exacerbations in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.
    Respir Res. 2013;14:86.

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