日本ベーリンガーインゲルハイム、 国内におけるオフェブ®カプセルの進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対する適応追加の承認取得 ―日本初の進行性線維化を伴うILDの治療薬―

日本/東京,

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

2020年5月29日 日本/東京
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、会長兼社長 トーステン・ポール)は、チロシンキナーゼ阻害剤/抗線維化剤「オフェブ®カプセル100mg・150mg」(一般名:ニンテダニブエタンスルホン酸塩、以下ニンテダニブ)について、2020年5月29日付で、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(Progressive fibrosing interstitial lung disease:進行性線維化を伴うILD)の効能・効果で国内における製造販売承認を取得しました。今回の承認は、国際共同第3相臨床試験(INBUILD®試験)1に基づくもので、オフェブ®は日本で初めて進行性線維化を伴うILDを適応として承認された治療薬となります。

海外においては、2020年3月に進行性線維化を伴うILDの唯一の治療薬として、世界で初めて米国で承認されました(米国で承認された効能・効果:Treatment of chronic fibrosing interstitial lung diseases [ILDs] with a progressive phenotype)。

間質性肺疾患(Intersticial lung disease:ILD)は、200を超える肺疾患を包含する大きなグループで捉えることができます2。ILD患者さんでは、ある時点において進行性の肺の線維化を呈すといった共通の特徴がみられる症例があります3。特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)は、こういった進行性の肺の線維化がみられる間質性肺疾患(進行性線維化を伴うILD)の代表的疾患です。IPF以外の進行性線維化を伴うILDでも、IPFに類似した臨床経過、すなわち、肺の線維化、肺機能の低下および生活の質(QOL)の悪化を引き起こし、早期死亡につながります4

ILD患者さんの18~32%に進行性の線維化がみられるとの報告があります5。進行性線維化を伴うILDには、関節リウマチ関連ILD(Rheumatoid arthritis-associated interstitial lung disease:RA-ILD)、全身性強皮症に伴うILD (Systemic sclerosis-interstitial lung disease :SSc-ILD)、混合性結合組織病に伴うILD(Mixed connective tissue disease:MCTD-ILD)などの自己免疫性ILD、ならびに特発性非特異性間質性肺炎(Idiopathic nonspecific interstitial pneumonia :iNSIP)および分類不能型特発性間質性肺炎(Unclassifiable IIP)などのIIPs、過敏性肺炎(Hypersensitivity Pneumonitis:HP)、じん肺などの職業環境性ILD、サルコイドーシスなど幅広い疾患が含まれます4。しかしながら、これら疾患の一つひとつは、多くが希少疾患に認定されるほど患者数が少なく、検証的な大規模臨床試験の実施が難しく、頑健なエビデンスを基に承認された薬剤がありませんでした。進行性線維化を伴うILDは、疾患が重篤であるにもかかわらず、効果的な治療選択肢がない、アンメットメディカルニーズの高い疾患であり、治療薬の開発が望まれていました6。このたび、INBUILD®試験において、進行性線維化を伴うILD患者さんに対するニンテダニブの有効性が検証され、安全性が確認されました。INBUILD®試験の結果に基づき、日本でも、「進行性線維化を伴う間質性肺疾患」を適応に、ニンテダニブが承認されました1

日本ベーリンガーインゲルハイムは、今回のオフェブ®カプセルの適応追加により、進行性線維化を伴うILD患者さんの呼吸機能の低下抑制に貢献するとともに、適正使用の推進に努め、今後もアンメットメディカルニーズに応えることで、患者さんのQOL向上に尽力して参ります。

ニンテダニブについて
ベーリンガーインゲルハイムが開発したニンテダニブは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)α、β、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1、2、3および血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする低分子チロシンキナーゼ阻害剤です。2020年5月現在、世界75カ国以上で発売されています。日本では、2015年7月に「特発性肺線維症(IPF)」を効能・効果として、製造販売承認を取得し、2019年12月に「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患」に対して追加適応を取得しました。ニンテダニブはIPFの疾患進行を遅らせることが検証されている抗線維化薬2剤のうちの1剤です7。抗線維化薬による治療は国際ガイドラインによってIPF患者への使用が承認・推奨されている薬物治療です7

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。

ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変えるような画期的な治療法を提供していきます。

詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
http://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)

References

  1. Flaherty K, et al. Nintedanib in Progressive Fibrosing Interstitial Lung Diseases N Eng J Med. Published 29 September, 2019. NEJM.org. DOI: 10.1056/NEJMoa1908681
  2. British Lung Foundation. What is pulmonary fibrosis? Available at: https://www.blf.org.uk/support-for-you/pulmonary-fibrosis/what-is-pulmonary-fibrosis [Accessed September 2019].
  3. Kolb M, Vašáková M. The natural history of progressive fibrosing interstitial lung diseases. Respiratory Research 2019:20:57.
  4. Cottin V, Hirani NA, Hotchkin DL, et al. Presentation, diagnosis and clinical course of the spectrum of progressive-fibrosing interstitial lung diseases. Eur Respir Rev 2018;27(150):pii:180076.
  5. Wijsenbeek M, Kreuter M, Fischer A, et al. Non-IPF progressive fibrosing interstitial lung disease (PF-ILD): the patient journey. Am J Respir Crit Care Med 2018;197:A1678.
  6. Flaherty KR, Brown KK, Wells AU, et al. Design of the PF-ILD trial: a double-blind, randomised, placebo-controlled phase III trial of nintedanib in patients with progressive fibrosing interstitial lung disease. BMJ Open Respir Res 2017;4(1):e000212.
  7. Kim DS.Acute exacerbations in patients with idiopathic pulmonary fibrosis. Respir Res. 2013;14:86.

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