日本ベーリンガーインゲルハイム、統合失調症の認知機能障害(CIAS)の国際共同第3相臨床試験で、国内における患者登録を開始

日本/東京,
  • 新規グリシントランスポーター1阻害薬のBI425809 は、FDAのブレークスルーセラピー指定を取得
  • 第3相臨床試験ではバーチャルリアリティ機能的能力評価を組み込む

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

2021年10月19日 日本/東京
日本ベーリンガーインゲルハイム(本社:東京都品川区、代表取締役 医薬事業ユニット統括社長:シャシャンク・デシュパンデ、以下「日本ベーリンガーインゲルハイム」)は、統合失調症の認知機能障害(Cognitive Impairment Associated with Schizophrenia:CIAS)の国際共同第3相臨床試験(CONNEX試験プログラム)に、国内で最初の患者さんが登録されたと発表しました。このプログラムは、統合失調症患者さんを対象に新規グリシントランスポーター1阻害薬であるBI 425809を26週間投与した際の有効性と安全性を評価する3つの第3相臨床試験から構成され、成人の統合失調症患者さんの認知機能の改善を評価することを主な目的としています。

BI 425809は、統合失調症患者さんの認知機能の改善を示した第2相試験の結果を基に1、CIASの治療薬として米国食品医薬品局(FDA)により、ブレークスルーセラピー指定を取得しています。

多くの日常的な活動において、認知機能障害は統合失調症患者さんにとって大きな負担となっていますが、現時点では、CIASについて承認された薬物療法はありません2

ベーリンガーインゲルハイムの中枢神経系(CNS)・網膜症・エマージング医薬品責任者のVikas Mohan Sharma博士(M.D.)は次のように述べています。「認知は、問題解決、記憶、注意など、日常生活の基本的なものです。だからこそ、認知機能低下に対するソリューションを見つけ出すことは、ベーリンガーインゲルハイムのメンタルヘルス研究における重点分野となっています。今回のブレークスルーセラピー指定は、統合失調症患者さんのための新規治療薬が緊急に必要とされていることを示しています。従来の治療アプローチを革新的な技術と組み合わせることにより、メンタルヘルス疾患の負担を緩和し、このような疾患の患者さんが自分の生活、大切な人、そして社会とより意味のあるつながりを持てるように標的治療薬を開発しています」

日本ベーリンガーインゲルハイム医薬開発本部長のDr. レネ・サイトウイシカワは次のように述べています。「統合失調症における認知機能の改善には大きなアンメットニーズがあります。CONNEX試験プログラムに参画くださる約60施設の日本の医療機関の先生方、治験チームの皆様のご協力のもと、日本も海外と同時進行で治療薬開発を進めて参ります。認知機能の向上を通じ、それぞれの患者さんが治療ゴールとしている家事、学業、就労など基本的な日常生活の向上に貢献できることを期待しています。」

CONNEX試験プログラムについて
CONNEXは、統合失調症患者さんにおける認知機能の改善に関してBI 425809の安全性と有効性を評価するために設計された第3相臨床試験プログラムです。このプログラムは、CONNEX-1試験、CONNEX-2試験、CONNEX-3試験の3件の臨床試験から構成されており,日本はCONNEX-1および2に参加しています。これらの試験はすべて、26週間にわたり、統合失調症患者さんを対象にBI 425809の1日1回投与の有効性と安全性を評価する第3相無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験です。主要評価項目は、Measurement and Treatment Research to Improve Cognition in Schizophrenia (MATRICS) Consensus Cognitive Battery (MCCB)の総合複合Tスコアのベースラインからの変化です。

幅広いCONNEX試験プログラムの一環として、バーチャルリアリティ機能的能力評価(Virtual Reality Functional Capacity Assessment Tool:VRFCAT)も使用します。これは、重要な副次的評価項目として、患者さんの日常生活における習慣的な自立した動作を評価するものです。VRFCATは、FDAの臨床アウトカム評価認定プログラム(Clinical Outcome Assessment Qualification Program)に認められており、臨場感のあるインタラクティブな環境で主要な手段的日常生活動作(iADLs)を刺激し、基本的な機能的能力の低下を感度よく検出することができます。

BI 425809は研究中の化合物であり、厚生労働省、その他の規制当局の承認はまだ取得していません。その安全性と有効性は、まだ確立されていません。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

References

  1. Fleischhacker WW, Podhorna J, Gröschl M, et al. Efficacy and safety of the novel glycine transporter inhibitor BI 425809 once daily in patients with schizophrenia: a double-blind, randomised, placebo-controlled phase 2 study. Lancet Psychiatry. 2021;8(3):191-201. doi:10.1016/S2215-0366(20)30513-7
  2. Van Rheenen TE, Lewandowski KE, Lipschitz JM, Burdick KE. Conducting clinical studies targeting cognition in psychiatry: guiding principles and design. CNS Spectr. 2019;24(1):16-21. doi:10.1017/S1092852918001074

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