スペソリマブの新規追加データ:膿疱性乾癬(汎発型)の急性期症状を臨床的に有意に改善

和訳リリース,
  • スペソリマブは、急性期の膿疱性乾癬(汎発型)[GPP]患者において膿疱や皮膚症状を迅速に消失させ、その有効性は12週以上持続1,2,3
  • 年齢、性別、人種、IL-36遺伝子変異の有無などの患者サブグループにおいても一貫した臨床的な改善2
  • スペソリマブは痛みや疲労感などのGPPの急性期症状も臨床的に有意に改善3
  • 2022年米国皮膚科学会(AAD)でEffisayilTM 1試験の新たな有効性および安全性データを発表

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が3 月28 日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。

2022年3月28日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは、ボストンで開催された2022年米国皮膚科学会(AAD)年次総会にてピボタルEffisayilTM1試験の新たなデータが発表されたことをお知らせします。

先頃ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌(NEJM)に掲載されたEffisayilTM1試験にて、スペゾリマブの単回静脈内投与を受けた急性期GPP患者は、プラセボ群と比較して、1週間以内に膿疱が有意に消失したことが示されました4。AADで発表されたデータによると、この効果は12週間以上持続し、12週間の試験期間終了後、84.4%の患者において膿疱が消失し、81.3%の患者において皮膚症状が消失またはほぼ消失したことが明らかになりました1

治験責任医師でアラバマ大学医学部皮膚科学科長  Boni Elewski博士(MD)は、次のように述べています。「GPPは、予測不能で、痛みを伴う、生命を脅かすおそれのある希少な皮膚疾患であり、多くの国において承認された有効な治療法がありません。本年のAAD年次総会で発表された研究結果は、スペソリマブの有効性が12週間以上持続することを示しており、スペソリマブが急性期GPPの負担に耐えながら生活する患者さんへ迅速にベネフィットを提供できる可能性を示すものです」

膿疱性乾癬(汎発型)[GPP:Generalized Pustular Psoriasis]は、生命を脅かすおそれのある希少な難治性皮膚疾患であり、尋常性乾癬とは区別されます。GPPの急性期症状は、クオリティオブライフに重大な影響を及ぼし、心不全、腎不全、敗血症などの生命にかかわる重篤な合併症を引き起こす可能性があります5

AAD年次総会で発表された追加データによると、スペソリマブ投与後に観察された迅速な皮膚症状の消失は、年齢、性別、人種、IL-36遺伝子突然変異の有無などのサブグループ間で概ね一致していました2。スペソリマブ投与後の痛み、疲労感、QOL、皮膚症状に関する患者報告アウトカムにおいて1週間で臨床的に有意な改善が認められました3

ベーリンガーインゲルハイムの炎症領域の臨床開発責任者 Kay Tetzlaffは、次のように述べています。「今回の追加データにより、GPP治療におけるファーストインクラス治療薬としてのスペソリマブの全体像を把握することができました。GPPの急性期症状は、患者さんの生活に身体的、精神的に大きな影響を及ぼします。当社は可能な限り早くスペソリマブを患者さんにお届けできるよう尽力しています」

スペソリマブは当局による審査が進行中です。スペソリマブはこれまでに、急性期GPPの治療薬として、米国、中国、台湾においてブレークスルーセラピーに指定されています。米国と中国において優先審査、米国、韓国、スイス、オーストラリアにおいて希少疾病用薬の指定を受け、また台湾では希少疾患指定およびファスト・トラックを取得しています。欧州医薬品庁(EMA)は、2021年10月にGPPにおけるスペソリマブの販売承認申請を受領し、現在、審査中です。

スペソリマブについて
スペソリマブは、GPPを含む複数の自己炎症性疾患の病因に関連することが明らかになっている免疫系のシグナル伝達経路であるインターロイキン36受容体(IL-36R)の作用を阻害する新規ヒト化選択的抗体です5,6,7。検出力のある無作為化プラセボ対照試験で、急性期GPPの治療として評価されたIL-36経路を特異的に標的とするファーストインクラスの化合物です。スペソリマブは、急性期GPPの発生を予防する維持療法薬として、また、掌蹠膿疱症(PPP)や化膿性汗腺炎(HS)などの他の好中球性皮膚疾患の治療薬としても研究が進められています8,9 。

EffisayilTM 1臨床試験について
Effisayil 1(NCT03782792)試験は、12週間にわたり、急性期GPP患者(N=53)をスペソリマブ 900 mgの静脈内投与群またはプラセボ群のどちらかに2:1の比率で無作為に割り付けて評価した第2相臨床試験です。主要評価項目は、 1週目の時点でGPP Physician Global Assessment(GPPGA)膿疱サブスコアが0であること(膿疱が見られないこと)でした。主な副次的評価項目は、1週目の時点でGPPGAスコアが0または1であること(皮膚症状が消失またはほぼ消失)でした4

1週目の時点で、膿疱なし(GPPGA膿疱サブスコアが0)を達成した患者の割合は、プラセボ群の6%に対し、スペソリマブ群で54%でした。さらに、1週間後に皮膚症状が消失またはほぼ消失(GPPGA合計スコアが0または1)を達成した患者の割合は、プラセボ群の11%に対し、スペソリマブ群で43%でした4

1週間後に有害事象を報告した患者の割合は、スペソリマブ群で66%、プラセボ群で56%でした。感染症を報告した患者の割合は、スペソリマブ群で17%、プラセボ群で6%でした(1週目)。重篤な有害事象は、スペソリマブ群の6%で報告されました(1週目)4

膿疱性乾癬(汎発型)[GPP:Generalized Pustular Psoriasis]について
GPPは、生命を脅かすおそれのある希少な難治性皮膚疾患であり、尋常性乾癬とは臨床的に区別されます5,10。GPPは、好中球(白血球の一種)が皮膚に集積することによって引き起こされ、痛みを伴う無菌性膿疱が全身に多発します10。臨床経過には幅があり、急性期症状の再発を繰り返す患者さんもいれば、症状が遷延して断続的に急性期が起こる患者さんもいます10。急性期GPPの重症度は人によって異なりますが、治療せずに放置すると、敗血症や多臓器不全などを引き起こし、場合によっては命にかかわります5。この慢性かつ全身性の疾患は、患者さんのクオリティオブライフに重大な影響を及ぼし、医療にとって負担となります11。GPPは、地域によって罹患率に差があり、男性よりも女性の方が、罹患率が高い傾向にあります5,12,13,14

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

 

References

  1. Elewski B, et al. Sustained treatment effect of spesolimab over 12 weeks for generalized pustular psoriasis flares; results from the Effisayil 1 study. Poster presented at AAD 2022 or Annual Meeting; March 2022; Boston.
  2. Burden D, et al. Efficacy of spesolimab for the treatment of GPP flares across prespecified patient subgroups in the Effisayil 1 study. Poster presented at AAD2022 or Annual Meeting; March 2022; Boston.
  3. Navarini A, et al. Clinically significant improvements in patient-reported outcomes (PROs) in patients with a generalized pustular psoriasis (GPP) flare treated with spesolimab. Poster presented at AAD 2022 or Annual Meeting; March 2022; Boston.
  4. Bachelez H et al. Trial of Spesolimab for Generalized Pustular Psoriasis. NEJM. 2021;385:2431-40.
  5. Crowley JJ, et al. A brief guide to pustular psoriasis for primary care providers, Postgraduate Medicine. 2021;133(3):330-344.
  6. Furue K, et al. Highlighting Interleukin-36 Signalling in Plaque Psoriasis and Pustular Psoriasis. Acta Derm Venereol. 2018;98:5–13.
  7. Bachelez H, et al. Inhibition of the Interleukin-36 Pathway for the Treatment of Generalized Pustular Psoriasis. N Engl J Med. 2019; 380:981-983.
  8. ClinicalTrials.gov. A Study to Test Whether Spesolimab Helps People With a Skin Disease Called Hidradenitis Suppurativa. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04762277. Accessed March 2022.
  9. ClinicalTrials.gov. A Study to Test Long-term Treatment With Spesolimab in People With Palmoplantar Pustulosis (PPP) Who Took Part in Previous Studies With Spesolimab. Available at https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04493424. Accessed: March 2022.
  10. Navarini AA, et al. European consensus statement on phenotypes of pustular psoriasis. JEADV. 2017;31:1792-1799.
  11. Hanna M, et al. Economic burden of generalized pustular psoriasis and palmoplantar pustulosis in the United States. Curr Med Res Opin. 2021. 37(5):735-742.
  12. Ohkawara A et al. Generalized pustular psoriasis in Japan: two distinct groups formed by differences in symptoms and genetic background. Acta Derm Venereol. 1996 Jan;76(1):68–71.
  13. Augey F, et al. Generalized pustular psoriasis (Zumbusch): a French epidemiological survey. European Journal of Dermatology. 2006; 16(6):669-673.
  14. Jin H, et al. Clinical features and course of generalized pustular psoriasis in Korea. The Journal of Dermatology. 2015; 42(7):674-678.

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