急性心筋梗塞後の心不全による入院と死亡に対するジャディアンス®(エンパグリフロジン)の影響を評価する第3相EMPACT-MI試験の結果を発表

和訳リリース,

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国 イーライリリー・アンド・カンパニーが2024年4月6日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。)、慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。)です。

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

2024年4月6日 ドイツ/インゲルハイム、米国/インディアナポリス – 
エンパグリフロジンの第3相試験であるEMPACT-MI 試験では、複合主要評価項目である心不全による初回入院または全死因死亡までの期間の解析において、エンパグリフロジンはプラセボに対して10%の相対リスク低下を示したものの、有意差は見られませんでした1,2。一般的に心臓発作として知られている急性心筋梗塞の患者に対して発症後14日以内に投与を開始したところ、安全性は、これまでに検討した患者集団で認められた安全性プロファイルから新たな知見は報告されませんでした1,2 。試験計画書で規定した探索的解析を行った結果、エンパグリフロジンはプラセボとの比較で心不全による初回入院までの期間については23%、心不全によるすべての入院については33%相対リスク減少を示しました1,2 。ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE: LLY)によるEMPACT-MI試験の詳細な結果は、第73回米国心臓病学会( American College of Cardiology’s 2024 Scientific Session & Expo、ACC 2024)にて発表されました2。結果の発表はデューク臨床研究所(Duke Clinical Research Institute:DCRI)と共同で行われ、The New England Journal of Medicine誌に同時掲載されました2

ベーリンガーインゲルハイムのヒューマンファーマビジネスユニット担当取締役カリン・ブルヨン(Carinne Brouillon)は、次のように述べています。「エンパグリフロジンについては、慢性心不全、慢性腎臓病や2型糖尿病など幅広い患者集団を対象として、心不全による入院の低減効果を評価する臨床試験を6件行っており、今回の結果は今まで蓄積されてきたエビデンスに新たな知見を加えるものとなりました。私たちはこれからも、心臓、腎臓、代謝系に影響を及ぼし、互いに密接に関連している疾患群である心腎代謝疾患に苦しむ患者さんやご家族の転帰改善を目指し、全力を尽くしてまいります」

第3相EMPACT-MI試験は、急性心筋梗塞による入院後14日以内の成人患者6,500名以上を対象に、標準治療に加えてエンパグリフロジン 10mgまたはプラセボを1日1回投与し、比較しました。主要評価項目は、最長26カ月間の追跡期間中の心不全による初回入院または全死因死亡までの期間としました。慢性心不全の既往がない患者さんを組み入れの基準とし、2型糖尿病と慢性腎臓病の有無を問わず対象としました1,2

イーライリリー・アンド・カンパニーの製品開発部門バイスプレジデントのジェフ・エミック(Jeff Emmick)M.D., Ph.D.は、次のように述べています。「急性心筋梗塞の治療は大きく進歩したにもかかわらず、急性心筋梗塞は現在も心不全の最大の原因です。心不全や、心筋梗塞後に高頻度で発生する合併症の発症リスクを下げる治療が求められていますが、このニーズは未だ満たされていません。しかしながら、慢性心不全の成人患者さんにおいては、エンパグリフロジンは心血管死と心不全による入院のリスクを低減する重要な治療法であることが立証されており、世界各地の数多くの患者さんのニーズを満たす可能性があります」

EMPACT-MI は、 EMPOWER プログラムの一部として行われた試験です。EMPOWERは、2型糖尿病、慢性心不全、心筋梗塞や慢性腎臓病をはじめとする様々な心腎代謝疾患の患者さんにおける主な評価項目に対するエンパグリフロジンの影響の探索を目的に、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーが立ち上げたプログラムです。これらの相互に関連する心腎代謝疾患の患者数は世界で10億人以上にのぼり、世界の死因の上位を占めます3

以上

参考情報

EMPACT-MI試験について
EMPACT-MI (EMPAgliflozin for the prevention of Chronic heart failure and morTality after an acute Myocardial Infarction:急性心筋梗塞後の慢性心不全の発症および死亡に対するエンパグリフロジンの影響を評価する試験)は、多施設共同無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照優越性試験で、心筋梗塞発症後の成人患者における全死因死亡と心不全による入院に対するエンパグリフロジンの効果を検討する試験です1,2。慢性心不全の既往がない患者さんを組み入れ基準とし、2型糖尿病と慢性腎臓病の有無を問わず対象としました1,2 。EMPACT-MI試験には、22カ国より6,500名以上の成人患者が参加しました。試験参加者は、急性心筋梗塞による入院後14日以内にエンパグリフロジン 10mg群またはプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられ、標準治療に加えてエンパグリフロジンまたはプラセボの1日1回投与を受けました。EMPACT-MI試験は、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーによる資金提供の下、デューク臨床研究所(DCRI)との共同試験として実施し、解析と報告を行います1,2

心不全について
心不全とは、心臓が全身に十分な血液を送り出すことができず、酸素を含んだ血液の需要を満たせない状態、またはこの需要を満たすために血液量を増やさなければならず、肺および末梢組織に液体貯留(鬱血)が生じている状態をもたらす進行性で消耗性の疾患であり、死亡に至る場合もあります4,5 。心不全は、欧州では1,500万人、世界では6,000万人以上が罹患しており、高齢化が進むにつれて患者数が増加すると予測されます6,7 。心不全は糖尿病患者で大変多く見られますが、心不全患者全体の約半分は糖尿病に罹患していません8

心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心腎代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます3

心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては、心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系の健康状態を改善すれば、他の系にも好影響を与えます9,10,11

両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。

EMPOWERプログラムについて
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPOWERプログラムを策定し、幅広い心腎代謝疾患における心血管および腎臓の主要な臨床アウトカムに対するエンパグリフロジンの影響を調べています。心腎代謝疾患は、世界の死因のトップを占め、年間2,000万人がこれらの疾患で死亡しています。EMPOWERプログラムを通じて、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、相互に関連する心腎代謝疾患に関する知識を進歩させるために取り組んでいます。9つの臨床試験と2つのリアルワールドエビデンス研究から構成されるEMPOWERプログラムは、心腎代謝疾患の患者さんの予後向上を目指す両社のアライアンスによる長期的な取り組みです。世界で70 万人以上の患者さんが参加している同プログラムは、これまでにSGLT2阻害剤について実施された臨床試験プログラムの中で最も幅広く包括的なものの1つとなっています。

エンパグリフロジンについて
エンパグリフロジン(ジャディアンス®)は、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体2(SGLT2)阻害剤であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬です12,13。エンパグリフロジンは、血糖マネジメントが不十分な成人で2型糖尿病のある方の治療薬として承認されています。また、世界各国で、成人の左室駆出率を問わない慢性心不全患者の治療薬**と慢性腎臓病治療薬**として、承認されています14
**日本において慢性心不全もしくは慢性腎臓病に対する治療薬として承認されているのは、ジャディアンス®錠10mgであり、効能・効果は、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。)および慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。)です。

デューク臨床研究所について 
デューク大学医学部に属するデューク臨床研究所(DCRI)は、世界最大の学術臨床研究組織です。革新的な研究を通じて、患者ケアを改善するための知見を発展させ、共有することを使命としています。同研究所は、先駆的な多国籍臨床試験を実施し、大規模な国内患者症例登録を管理し、画期的なアウトカム研究を実施しています。DCRIの研究は、小児から高齢者まで、プライマリーケアからサブスペシャリティ医療まで、ゲノミクスからプロテオミクスまで、多分野にわたります。またDCRIは、研究機関による世界最大かつ最古の心血管データベースであるデューク心血管疾患データバンクの拠点となっています。同データバンクは、設置から40年以上、臨床上の意思決定に貢献しています。

ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、世代を超えて生活を変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出を目指しています。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的かつサステナブルな視点を維持しています。ヒト用医療用医薬品とアニマルヘルスの2つの事業分野において、53,000人以上の社員が世界130ヵ国以上で事業を展開しています。

イーライリリー・アンド・カンパニー(リリー)について 
リリーは世界中の人々のより豊かな人生のため、科学に思いやりを込めて、革新的医薬品を創り出す製薬会社です。約150年にわたり、リリーは患者さんの人生を変えるような発見や開発を続け、今日では世界中で年間5,100万人以上の患者さんに医薬品を提供しています。糖尿病治療における変革に加え、肥満症やアルツハイマー病への継続的な挑戦、自己免疫疾患へのソリューション提供、そして最も治療の困難ながん(癌)を管理可能な疾患に変えること。こうした世界で最も重要とも言える健康課題の解決を目指し、リリーの科学者たちはバイオテクノロジー、化学、遺伝子医学を駆使して一刻も早く患者さんに医薬品をお届けできるよう、開発に取り組んでいます。この世界の多様性を反映した革新的な臨床試験や医薬品へのアクセス改善を含め、「世界中の人々のより豊かな人生への貢献」という使命を胸に、リリーはさらなる健康な世界の実現に向けて、一歩ずつ歩みを進めてまいります。リリーの詳細については、Lilly.comLilly.com/newsをご覧ください。

日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。

詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
https://www.lilly.com/jp
(日本イーライリリー)
 

Intended audiences
This press release is issued from Boehringer Ingelheim Corporate Headquarters in Ingelheim, Germany and is intended to provide information about our global business. Please be aware that information relating to the approval status and labels of approved products may vary from country to country, and a country-specific press release on this topic may have been issued in the countries where Boehringer Ingelheim and Eli Lilly and Company do business. 

This press release contains forward-looking statements (as that term is defined in the Private Securities Litigation Reform Act of 1995) about Jardiance®and reflects Lilly's current belief. However, as with any pharmaceutical product, there are substantial risks and uncertainties in the process of development and commercialization. Among other things, there can be no guarantee that future study results will be consistent with the results to date or that Jardiance® will receive additional regulatory approvals. For further discussion of these and other risks and uncertainties, see Lilly's most recent Form 10-K and Form 10-Q filings with the United States Securities and Exchange Commission. Except as required by law, Lilly undertakes no duty to update forward-looking statements to reflect events after the date of this release. 

References
1 EMPACT-MI full data presentation, presented on 6 April 2024 at the American College of Cardiology (ACC) Congress 2024 Scientific Session & Expo. 
2 Butler, J. et al. Empagliflozin after Acute Myocardial Infarction. N Engl J Med, online publication on April 6, 2024, at NEJM.org. DOI: 10.1056/NEJMoa2314051.
3 Schechter M, et al. Cardiovasc Diabetol,2022: 21:104.
4 American Heart Association. What is Heart Failure? Available at: https://www.heart.org/en/health-topics/heart-failure/what-is-heart-failure. Last accessed: April 2024.
5 American Heart Association. Types of Heart Failure. Available at: https://www.heart.org/en/health-topics/heart-failure/what-is-heart-failure/types-of-heart-failure. Last accessed: April 2024.
6 Lippi G, Sanchis-Gomar F. Global epidemiology and future trends of heart failure. AMJ. 2020;5:15
7 Kenny HC, Abel ED. Heart Failure in Type 2 Diabetes Mellitus. Circ Res. 2019;124(1):121-41.
8 Dunlay SM, Givertz MM. Aguilar E, et al. Type 2 Diabetes Mellitus and Heart Failure: A Scientific Statement From the American Heart Association and the Heart Failure Society of America. Circulation. 2019;140:e294-e324.
9 Usman M, et al. Chronic Kidney Disease and Type 2 Diabetes. Arlington (VA): American Diabetes Association; 2021. DOI: 10.2337/db20211.
10 Thomas M, Cooper M, Zimmet P. Changing epidemiology of type 2 diabetes mellitus and associated chronic kidney disease. Nat Rev Nephrol. 2015;12:73-81.
11 García-Donaire A, Ruilope M. Cardiovascular and Renal Links along the Cardiorenal Continuum. Int J Nephrol. 2011:975782.
12 Leon M, Maddox M. Diabetes and cardiovascular disease: Epidemiology, biological mechanisms, treatment recommendations and future research. World J Diabetes. 2015;6(13):1246–58.
13 Jardiance® (empagliflozin) tablets. European Product Information, approved April 2020. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/jardiance-epar-product-information_en.pdf. Last accessed: April 2024.
14 Jardiance® (empagliflozin) tablets, U.S. Prescribing Information. Available at: http://docs.boehringer-ingelheim.com/Prescribing%20Information/PIs/Jardiance/jardiance.pdf. Last accessed: April 2024.

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