新型コロナウイルス感染症および将来のコロナウイルスの脅威に備えた治療薬の開発を加速するため、欧州最大のイニシアチブが始動
- 欧州の革新的医薬品イニシアチブ(IMI)が支援するCARE(Corona Accelerated R&D in Europe:欧州における加速化されつつあるコロナ研究開発)は、急務となっている新型コロナウイルス感染症に対する治療選択肢となる創薬・開発を目指す同様の取り組みの中で最大の事業
- このイニシアチブは、新型コロナウイルス感染症および将来のコロナウイルスの脅威に対応し、既存の治療薬を当面の対応として転用した緊急の活動に加え、感染症の長期的な理解を深め、治療薬の開発を進めることが目的
- CAREコンソーシアムでは、学術界、非営利研究機関、および製薬会社による37のチームが一流の専門知識とプロジェクトを包括的な創薬エンジンに集結し、新型コロナウイルス感染症に関する研究開発を加速する
報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が8月18日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。
2020年8月18日 ベルギー/ブリュッセル
急務となっている新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2に対する治療薬の創薬・開発を目指し、革新的医薬品イニシアチブ(IMI)の官民パートナーシップが支援する新たなコンソーシアム、CARE(Corona Accelerated R&D in Europe:欧州における加速化されたコロナ研究開発)が本日、始動しました。総額7,770万ユーロの支援を受けているCAREは、欧州連合(EU)から寄付金、また欧州製薬団体連合会(EFPIA)に加盟する11社およびIMI関連パートナー3社から寄付金および現物での支援を受けています。CAREは、ベルギー、中国、デンマーク、フランス、ドイツ、オランダ、ポーランド、スペイン、スイス、英国、および米国の37パートナーが集結した5カ年計画であり、VRI-Inserm(フランス・パリにあるフランス国立保健医学研究所)、ヤンセンファーマスーティカN.V.社(ジョンソン・エンド・ジョンソンのヤンセン ファーマシューティカル カンパニーズの1社)、およびタケダ・ファーマスーティカル・インターナショナル AG(スイス・チューリッヒ)が主導しています。このコンソーシアムは、2020年2月より進められているパートナーの新型コロナウイルス感染症プロジェクトを統合しています。
CAREコンソーシアムの一員として、ベーリンガーインゲルハイムは、ウイルス中和抗体の開発に注力するコンソーシアムのワークストリームをリードします。さらに、従来のHIVおよびHCVポートフォリオから抗ウイルス分子を提供し、分子ライブラリを完全にスクリーニングし、候補低分子化合物を提供します。
VRI-Insermエグゼクティブディレクターであり、CAREコーディネーターであるYves Lévy教授は、次のように述べています。「新型コロナウイルス感染症は、ヒトの健康に対する今世紀最大の世界的脅威であり、全世界の科学界が力を合わせ、これまでにない方法で対応する必要があります。CAREでは、この意欲的なプロジェクトに参加するそれぞれのチームの科学的知識の範囲を超えて、37のパートナーを1つの連合にまとめ、現在の新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対する治療薬の開発を目指す大規模な5カ年計画として、それぞれの専門知識とノウハウを集積します。IMIから提供された財政支援のおかげで、この計画を実行することができ、心から感謝しています」
新型コロナウイルス感染症には承認されたワクチンはなく、また治療選択肢も限られており、現在も継続するパンデミック状況の中、毎日多くの症例や死亡例が報告されています。CAREは、これまでにはない共同研究の精神のもと、すべての関連分野から革新的で経験豊富な研究者を集め、ゲイツ財団の支援するCOVID-19 Therapeutics Accelerator、MANCO*1 、SCORE*2 、ECRAID*3 ネットワークなど、他のイニシアチブとのシナジーや補完性を最大化し、現在の新型コロナウイルス感染症のパンデミックおよび将来のコロナウイルスの脅威に対するソリューションの提供を加速します。本プロジェクトでは、研究所での試験を経て、有望な医薬品候補をヒトでの臨床試験に進めていきます。
*1 Monoclonal Antibodies against 2019-New Coronavirus
*2 Swift Coronavirus therapeutics Response
*3 European Clinical Research Alliance on Infectious Diseases
ベーリンガーインゲルハイムの創薬研究担当コーポレートシニアバイスプレジデント兼グローバル責任者のクライブ・ウッド(Clive R. Wood, Ph.D.)は、次のように述べています。「CAREコンソーシアムは、オープンサイエンスとコラボレーションの力を社会奉仕に活かすことを目指しています。学術界、産業界のパートナーと共に、これまでにない協力の精神で、新型コロナウイルス感染症やその他の深刻なコロナウイルス感染症の未曾有の脅威に対し、迅速に、そして果敢に取り組みます」
CAREプロジェクトリーダーであり、ヤンセンファーマスーティカN.V.社のシニアサイエンティフィックディレクター、グローバルパブリックヘルス・新興病原体担当研究開発リーダーのMarnix Van Loock氏は、次のように補足しました。「このたびCAREコンソーシアムを始動し、他の主要エキスパートと共同で、SARS-CoV-2や、大流行を引き起こす可能性のあるその他コロナウイルスに対する新薬の特定に取組みます。このイニシアチブの一環として、新型コロナウイルス感染症に関するレガ医学研究所(ルーヴェン・カトリック大学)との共同研究から得た知見を応用し、転用を目指して数千種類の既存の医薬品化合物ライブラリのスクリーニングを実施したいと考えています」
Takedaのグローバル研究外部化担当ディレクターのKumar Saikatendu(Ph.D.)は、次のように述べています。「このような危機に際して、複雑な問題を解決するために、欧州でトップクラスの科学者集団が協力するのは、素晴らしいことです。新型コロナウイルス感染症は、私たち世代にとって、一生に一度しか経験しないような科学的な試練です。CAREでは、現在および将来のコロナウイルス感染症の大流行に備えて、良好な安全性プロファイルを有する効果的な治療薬を生み出すべく取り組んでいます。迅速に行動し、適時に貢献していきたいと考えています」
新型コロナウイルス感染症に対する包括的で短期的・長期的対応
CAREは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対して、良好な安全性プロファイルを有する効果的な治療薬を生み出し(ドラッグ・リポジショニング)、SARS-CoV-2ウイルスに対し特別に設計された新しい薬剤や抗体を開発することを目的としています。
コンソーシアムは、3本の柱に基づいています。
- 候補物質を臨床試験へ段階的かつ迅速に進めることを目指し、パートナーから提供された化合物ライブラリのスクリーニングとプロファイリングを行うドラッグ・リポジショニング
- SARS-CoV-2および将来的なコロナウイルスターゲットに対する化合物候補のコンピュータを用いたスクリーニングとプロファイリングによる、低分子化合物の創薬
- 完全ヒトファージおよび酵母ディスプレイ、ヒト化動物モデルの免疫化、患者のB細胞、およびコンピュータデザインを使用した、ウイルス中和抗体の創薬
これらの柱と密接に関連する取り組みとして、包括的な医薬品化学研究、システム生物学研究、3本の柱から得られた分子の前臨床・臨床評価を通じた候補化合物の改良に注力する取り組みがあります。システム生物学研究では、ウイルスの病理生理学を調査し、ウイルス感染症の各段階とヒトの免疫応答の相互作用についての理解を深めます。これにより、治療薬の開発を示す疾病マーカーを特定し、CAREが開発した新薬を評価する臨床試験の設計と第1相および第2相試験のモニタリングを改善します。
CAREについて
CAREは、学術界、研究センター、中小企業(SME)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)参加企業、IMIパートナーによる新しい官民パートナーシップです。合計37のパートナー組織が参加しています。VRI-InsermのYves Lévy教授がアカデミックコーディネーターを務め、ジョンソン・エンド・ジョンソンのヤンセン ファーマシューティカル カンパニーズのMarnix Van LoockがEFPIAプロジェクトリーダー、TakedaのKumar Saikatenduがプロジェクト共同リーダーを務めます。プロジェクトパートナーは、11の学術機関(KUL、GUF、AMU、UzL、UU、EDI-IVI、UHAM、UEDIN、TiHo、JU、LUMC)、5の公的研究機関(Inserm、CHUV、CEA、HZI、SERMAS)、7の中小企業(IT、EVF、EXSCI、NUVISAN、SCIFEON、ENYO、AIB)、11のEFPIAメンバー(Janssen、Takeda、Pfizer、Abbvie、BI、Merck KgaA、BAG、Novartis、Astellas、Servier、AiCuris)、3のIMI2パートナー(BMGF、UNIVDUN、GHDDI)です*。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。
ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。
ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変える画期的な治療法を提供していきます。
IMIについて
IMIは、患者さんのために、より有効かつ安全な医薬品の開発を加速することを目的とする欧州最大の官民イニシアチブです。IMIは、共同研究プロジェクトを支援し、業界および学術界のエキスパートのネットワークを構築して、欧州における製薬イノベーションを推進しています。IMIは、欧州連合(EU)と欧州製薬団体連合会(EFPIA)の共同事業です。
謝辞
本プロジェクトは、助成契約番号101005077の下で、IMIの2共同事業(JU)から資金提供を受けています。JUは、欧州連合(EU)Horizon 2020研究・イノベーション計画、EFPIA、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、世界健康薬品研究開発センター、ダンディー大学から支援を受けています。
For further details please visit: http://imi.europa.eu/
詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)
パートナーリスト
- (Coordinator) VRI-Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale (Inserm) FR
- (Project Leader) Janssen Pharmaceutica NV (Janssen) BE
- (Project co-Leader) Takeda Pharmaceuticals International AG (Takeda) CH
- Commissariat à l'énergie atomique et aux énergies alternatives (CEA) FR
- Centre Hospitalier Universitaire Vaudois (CHUV) CH
- Eurovacc Foundation (EVF) CH
- Exscientia Limited (EXSCI) UK
- Goethe University Frankfurt (GUF) DE
- Helmholtz-Zentrum für Infektionsforschung GmbH (HZI) DE
- Uniwersytet Jagiellonski (JU) PL
- Katholieke Universiteit Leuven (KUL) BE
- Academisch Ziekenhuis Leiden (LUMC) NL
- Servicio Madrileno De Salud (SERMAS) ES
- Nuvisan ICB GmbH (NUVISAN) DE
- Scifeon ApS (SCIFEON) DK
- Université d’Aix Marseille (AMU) FR
- The University of Edinburgh (UEDIN) UK
- University of Hamburg (UHAM) DE
- Universitaet zu Luebeck (UzL) DE
- Universiteit Utrecht (UU) NL
- Eidgenoessisches Departement des Innern (EDI-IVI) CH
- Inserm Transfert SA (IT) FR
- AbbVie Inc. (ABBV) US
- Astellas Pharma Europe BV (ASTELLAS) NL
- Bayer AG (BAG) DE
- Boehringer Ingelheim (BI) DE
- University of Dundee (UNIVDUN) UK
- Enyo Pharma SA (ENYO) FR
- Bill & Melinda Gates Foundation (BMGF) US
- Global Health Drug Discovery Institute (GHDDI) CN
- Novartis Pharma AG (NOVARTIS) CH
- Pfizer Ltd. (Pfizer) UK
- Merck KGaA (Merck) DE
- University of Veterinary Medicine Hannover (TiHo) DE
- Ai-biopharma (AIB) FR
- AiCuris Anti-infective Cures GmbH (AiCuris) DE
- Institut de Recherches Internationales Servier (Servier) FR