エンパグリフロジンがDPP-4阻害薬と比較して、 2型糖尿病患者の心血管イベントおよび心不全による入院のリスク低下と相関
- EMPRISEリアルワールドエビデンス研究の中間解析により、エンパグリフロジンは全死亡、心不全による入院、および透析を必要とする急性腎障害のリスク低下と相関することが示されました
- イスラエル、東アジアおよび欧州のデータが含まれるこのプール解析は、2021年6月25日の米国糖尿病学会(ADA)学術会議で初めて発表されました1
- EMPRISE研究は、EMPA-REG OUTCOME®試験を補完します
報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
当プレスリリースについて
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国 イーライリリー・アンド・カンパニーが2021年6月28日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントおよび慢性心不全、腎臓病のリスク減少に関連する効能・効果は取得しておりません。
2021年6月28日 ドイツ/インゲルハイムおよび米国インディアナポリス
EMPRISEリアルワールドエビデンス研究において、欧州、イスラエル、東アジアから得られたデータが発表され、エンパグリフロジンはDPP-4阻害薬と比較して、心血管アウトカムのリスク低下と相関することが明らかになりました。ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE:LLY)は本日、心血管系疾患既往の有無を問わない成人2型糖尿病患者13万人以上を対象とした研究の結果を発表しました。
- 全死亡の相対リスク減少(RRR)は45%
- 心不全による入院の相対リスク減少は29%
- 心筋梗塞、脳卒中、または全死亡を含む複合評価項目の相対リスク減少は33%1
これらの結果は、心血管系疾患既往の有無にかかわらず一貫していました。欧州、イスラエル、および東アジアの結果が第81回米国糖尿病学会(ADA)学術会議で発表されましたが、さらなる欧州の解析結果が2021年8月のESC総会で報告される予定です。
EMPRISE研究の結果から、エンパグリフロジンの安全性が改めて確認されました。エンパグリフロジンは急性腎障害のリスクと関連しておらず、解析によると、透析を必要とする急性腎障害の相対リスク減少率は51%でした。下肢切断や骨折のリスクは、DPP-4阻害薬と同様でした。また、糖尿病性ケトアシドーシスのリスクが上昇しましたが、これはエンパグリフロジンの既知の安全性情報と一貫した結果でした1。
本発表の筆頭著者である、テルアビブ大学サックラー医学部の教授兼副学部長のAvraham Karasik教授は、次のように述べています。「2型糖尿病を合併している場合、心不全による入院のリスクは最高5倍にまで上昇します。心不全は、患者さんのQOL(生活の質)と予後だけでなく、関連する医療費にも大きな影響を及ぼします。最新のEMPRISE研究の結果は、欧州、イスラエル、および東アジア全域のリアルワールドにおけるエンパグリフロジンの影響を明らかにし、エンパグリフロジンが2型糖尿病患者さんの心血管合併症の減少に貢献することを裏付けています」
2型糖尿病は、心血管系疾患の発症と死亡のリスクを高めます。世界では、2型糖尿病患者さんの2人に1人が心血管イベントで亡くなっており、米国のデータによると、糖尿病患者さんは、糖尿病のない人と比べて心不全を発症する可能性が2倍高くなります2,3。
ベーリンガーインゲルハイムのコーポレートバイスプレジデント、心血管代謝部門長Waheed Jamal(M.D.)は、次のように述べています。「EMPRISE研究は、幅広い患者さんを対象に広範な評価項目を検討し、2型糖尿病の治療におけるエンパグリフロジンの心血管リスク低減に関する貴重な知見をもたらします。これらの結果は、患者さんを力づける有望なニュースです。我々は引き続き、2型糖尿病や心不全のような心腎代謝疾患の患者さんの予後改善に向けて取り組んで参ります」
EMPRISEリアルワールドエビデンス研究の結果は、エンパグリフロジンが心血管系疾患既往の2型糖尿病患者において、代謝だけでなく心血管および腎臓へのベネフィットを示すことを明らかにしたEMPA-REG OUTCOME®試験の結果を補完します。EMPA-REG OUTCOME®試験では、プラセボと比較して、心不全による入院は35%、全死亡は32%、腎症の発現または悪化は39%、それぞれ相対リスクが減少しました4。
イーライリリーのメディカルアフェアーズ担当バイスプレジデントLeonard Glassは、次のように述べています。「EMPRISE研究の解析で認められたエビデンスについて、エンパグリフロジンの安全性が再確認されました。EMPA-REG OUTCOME®試験の発表から5年以上が経ちました。最新のEMPRISE研究の結果は、確固たるリアルワールドデータを補強し、世界の日常診療におけるエンパグリフロジンの有効性と安全性を明らかにするものです」
参考情報
EMPRISE研究について
EMPRISEリアルワールドエビデンス研究は、12カ国の2型糖尿病患者約382,000人を対象に、2型糖尿病治療におけるエンパグリフロジンの包括的な臨床への影響をDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬(2種類の実薬対照)と比較し、検討しています。EMPRISE研究の目的は、米国、欧州、イスラエル、東アジアにおける治療の有効性、安全性、医療資源の利用、医療費を評価することです1,5。
心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心腎代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます6。
心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては、心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系の健康状態を改善すれば、他の系にも好影響を与えます7,8。
両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。
心不全について
心不全とは、心臓が体中に十分な血液を送り出すことができず、酸素を含んだ血液の需要を満たせない状態、または満たすために血液量を増やさなければならず、肺および末梢組織に液体貯留(鬱血)が生じている状態の進行性の疾患であり、死亡に至る場合もあります9。心不全は、世界中で6,000万人以上が罹患しており、人口の高齢化が進むにつれて患者数が増加すると予測されます。心不全は糖尿病患者で大変多く見られますが10、心不全患者全体の約半分は糖尿病に罹患していません11。
エンパグリフロジンについて
エンパグリフロジン(ジャディアンス®)は、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体(SGLT2)阻害薬であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬です12,13,14。
EMPOWERプログラムについて
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPOWERプログラムを策定し、幅広い心腎代謝疾患における心血管および腎臓の主要な臨床アウトカムに対するエンパグリフロジンの影響を調べています。心腎代謝疾患は、世界の死因のトップを占め、年間2,000万人がこれらの疾患で死亡しています11。EMPOWERプログラムを通じて、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、相互に関連する心腎代謝疾患に関する知識を進歩させるために取り組んでいます。8つの臨床試験と2つのリアルワールドエビデンス研究から構成されるEMPOWERプログラムは、心腎代謝疾患の患者さんの予後向上を目指す両社のアライアンスによる長期的な取り組みです。世界で40 万人以上の患者さんが参加している同プログラムは、これまでにSGLT2阻害薬について実施された臨床試験プログラムの中で最も幅広く包括的なものとなっています。
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。
イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。
日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。
詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
https://www.lilly.co.jp
(日本イーライリリー)
This press release is issued from Boehringer Ingelheim Corporate Headquarters in Ingelheim, Germany and is intended to provide information about our global business. Please be aware that information relating to the approval status and labels of approved products may vary from country to country, and a country-specific press release on this topic may have been issued in the countries where Boehringer Ingelheim and Eli Lilly and Company do business. This press release contains forward-looking statements (as that term is defined in the Private Securities Litigation Reform Act of 1995) about clinical trials to evaluate empagliflozin as a treatment for adults with heart failure and reflects Lilly's current belief. However, as with any pharmaceutical product, there are substantial risks and uncertainties in the process of development and commercialization. Among other things, there can be no guarantee that future study results will be consistent with the results to date or that empagliflozin will receive additional regulatory approvals. For further discussion of these and other risks and uncertainties, see Lilly's most recent Form 10-K and Form 10-Q filings with the United States Securities and Exchange Commission. Except as required by law, Lilly undertakes no duty to update forward-looking statements to reflect events after the date of this release.
References
- Karasik A, et al. Effectiveness and Safety of Empagliflozin in Routine Care in Europe and East Asia: Results from the EMPagliflozin compaRative effectIveness and SafEty (EMPRISE) Study. Presented at: American Diabetes Association’s 81st Scientific Sessions; June 25-29, 2021, Washington DC, U.S.
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