エンパグリフロジン、リアルワールドエビデンス研究において成人2型糖尿病患者の心不全による入院リスクを DPP-4阻害薬に比べ50%、GLP-1受容体作動薬に比べ30%低減
- エンパグリフロジンはメディケア⋆利用者において、DPP-4阻害薬と比べ、全死亡相対リスクが40%低減 ⋆アメリカの公的な医療保険制度
- EMPRISE研究の最終解析データは、EMPA-REG OUTCOME®試験の知見を補う内容1
報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
当プレスリリースについて
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国 イーライリリー・アンド・カンパニーが2022年6月6日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)であり、心血管イベントおよび腎臓病のリスク減少に関連する効能・効果は取得しておりません。なお、慢性心不全に対する治療薬として承認されているのは、ジャディアンス錠®10㎎です。
2022年6月6日 ドイツ/インゲルハイム、米国/インディアナポリス
リアルワールド研究であるEMPRISE (EMPagliflozin compaRative effectIveness and SafEty) の米国の2つの解析結果から、エンパグリフロジンは、成人2型糖尿病患者さんの治療で日常的に用いられる2つのクラスの血糖降下薬と比較して、心不全による入院リスクを低下させることが示されました2,3。 相対リスクは、ジペプチジルペプチダーゼ-4 (DPP-4) 阻害薬との比較で50%、グルカゴン様ペプチド1 (GLP-1) 受容体作動薬との比較で30%低下しました2,3。ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー (NYSE:LLY)は、本結果をニューオリンズで開催された2022年米国糖尿病学会議(American Diabetes Association Scientific Sessions)にて発表しました。
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院薬剤疫学・薬剤経済学部門およびハーバード大学医学部内科准教授で共同研究者であるElisabetta Patorno, M.D., Dr.P.H.は次のように述べています。「心不全は、2型糖尿病の患者さんのうち、最大で30%にみられる疾患です。そのため、2型糖尿病の治療にあたる医療従事者にとっては、心血管系に対して効果を発揮することが立証されている治療法を日常診療で使えることが極めて重要となります。 5年間のEMPRISE研究で得られた研究結果は、エンパグリフロジンが心不全による入院リスクと死亡リスクを低減させることを示すものであり、成人2型糖尿病患者さんや医療従事者にとって励みとなるデータといえます」
また、本研究では、エンパグリフロジンがメディケア利用者の全死亡の相対リスクをDPP-4阻害薬と比較して40%低下させることが示されました。 EMPRISE研究の対象患者全体を対象とした心筋梗塞または脳卒中の複合評価項目の解析では、エンパグリフロジンではDPP-4阻害薬と比較してリスクが12%低下しました3。
心筋梗塞、脳卒中および全死亡のリスクは、GLP-1受容体作動薬とエンパグリフロジンで同様でした。エンパグリフロジンとリラグルチド(GLP-1受容体作動薬)およびその他のGLP-1受容体作動薬全般との比較を心血管疾患の有無別に行ったところ、いずれの項目についても結果は同様でした2。
エンパグリフロジンについては、心血管疾患既往の成人2型糖尿病患者を対象にプラセボと比較したランドマーク試験であるEMPA-REG OUTCOME®試験において心不全による入院の相対リスクが35%低下することが明らかにされていますが、今回の米国におけるエンパグリフロジンの使用状況を5年間にわたり評価したリアルワールドEMPRISE研究の結果は、EMPA-REG OUTCOME®試験の結果を補う内容です。 またEMPA-REG OUTCOME試験では、エンパグリフロジンはプラセボに比べ、心血管死の相対リスクを38%低下させることが明らかにされています。1,4
ベーリンガーインゲルハイムコーポレートバイスプレジデント、心血管代謝部門長Waheed Jamal M.D.は次のように述べています。「心不全による入院は、患者さんの生活の質(QOL)に甚大な影響を及ぼし、入院を繰り返すほど転帰が悪化します。 EMPRISE研究の解析により、エンパグリフロジンが他の薬剤と比べて2型糖尿病の患者さんの心不全による入院率や全死亡を低下させる可能性が示されました。 世界中の6,000万人に及ぶ心臓・代謝疾患の患者さんにとって、喜ばしいデータといえます」
EMPRISE研究の所見は、エンパグリフロジンで確立されている安全性プロファイルを確認する内容でした。 エンパグリフロジンはDPP-4阻害薬に比べ、急性腎障害の相対リスクを低下させました。 糖尿病性ケトアシドーシスによる入院の相対リスクについては上昇しました。これは、エンパグリフロジンの既知の安全性情報と概ね差異のない結果でした。下肢切断、骨折、腎がんおよび膀胱がんのリスクは、同程度でした2,3。
リリーのメディカルアフェアーズ担当バイスプレジデントであるLeonard Glass, M.D., F.A.C.E.は、次のように述べています。「実臨床の場で治療を受けている50万人近くの成人患者さんの情報を網羅した米国でのEMPRISE研究の最終データを発表できたことを嬉しく感じています。 私たちは、治療におけるアンメットニーズを満たすことを目指した活動をしており、本研究は、心・代謝性疾患の患者さんへの長年にわたるコミットメントを強化する活動です。強固な臨床試験プログラムに加え、今回のEMPRISE研究で得られた結果は、日常診療におけるヘルスアウトカムの向上にエンパグリフロジンが役立つ可能性を示しています」
参考情報
EMPRISE研究について
EMPRISE研究は、EMPA-REG OUTCOME試験を補う研究として、日常診療におけるエンパグリフロジンの有効性と安全性をDPP-4阻害薬およびGLP-1受容体作動薬との比較で評価するデータを得る目的で2016年に開始されました。4
EMPRISE研究の米国でのデータの最終解析では、心血管疾患の既往例と非既往例を含む50万人近くの成人患者におけるエンパグリフロジンの5年間の使用状況を評価しました。研究実施期間は2014~2019年で、 第1の解析ではエンパグリフロジンまたはDPP-4阻害薬による治療を開始した23万人以上の成人患者を含め(各群115,116人)第2の解析 ではエンパグリフロジンまたはGLP-1受容体作動薬による治療を開始した26万人以上の成人患者を含めました(各群130,408名)2,3。
アジアとヨーロッパを含むEMPRISE研究では、世界の様々な地域での日常診療におけるエンパグリフロジンの使用状況に関して国際的な視点から知見を得る予定です。
米国におけるEMPRISE研究は、ボストンのハーバード大学医学部ブリガム・アンド・ウィメンズ病院薬剤疫学部門の研究者らの主導で行われました。 この研究は、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院とベーリンガーインゲルハイムの共同研究の一部です。
心不全について
心不全とは、心臓が体中に十分な血液を送り出すことができず、酸素を含んだ血液の需要を満たせない進行性の状態であり、死亡に至る場合もあり、酸素を含んだ血液の需要を満たすために、血液量を増やさなければならず、その結果、肺および末梢組織に液体貯留(鬱血)が生じます5,6。心不全は、欧州では1500万人以上、世界中で6,000万人以上が罹患しており、高齢化が進むにつれて患者数が増加すると予測されます7,8。心不全は糖尿病患者で大変多く見られますが、心不全患者全体の約半分は糖尿病に罹患していません9,10。
心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心腎代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます。
心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては、心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系の健康状態を改善すれば、他の系にも好影響を与えます11,12,13。
両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。
エンパグリフロジンについて
エンパグリフロジン(ジャディアンス®)は、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体(SGLT2)阻害薬であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬です14,15。エンパグリフロジンは、血糖コントロール不十分な成人2型糖尿病患者の治療薬として承認されています14,15。また、米国、欧州、日本などでは成人の左室駆出率を問わない心不全患者の治療薬として、世界各国で、成人の左室駆出率が低下した心不全患者の治療薬としても承認されています。
*日本において慢性心不全に対する治療薬として承認されているのは、ジャディアンス錠®10㎎であり、効能又は効果は、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)です。
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、今日そして次世代にわたり、暮らしを変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的視野を維持しています。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、52,000人以上の社員が世界130ヵ国以上の市場で事業を展開しています。
イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。
日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。
詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
https://www.lilly.co.jp
(日本イーライリリー)
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References
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