ベーリンガーインゲルハイム、A*STARの革新的抗体を用いたがん標的治療の開発および商業化に関するグローバルライセンス契約を締結

和訳リリース,
  • ベーリンガーインゲルハイムは、がん標的治療の開発を可能にする腫瘍特異抗体パネルに対する世界的な独占的実施権を取得
  • これらの抗体は、健常細胞には結合せず、がん細胞を特異的に標的化できる可能性を有する
  • 本提携により、ベーリンガーインゲルハイムはがん細胞を標的とした抗体薬物複合体(ADC)および免疫細胞標的(T細胞エンゲージャー)のポートフォリオを強化

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が6 月2 日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。

2022年6月2日 ドイツ/シンガポール
ベーリンガーインゲルハイムとシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)は本日、ベーリンガーインゲルハイムがA*STARの革新的腫瘍特異抗体パネルを起点とした医薬品の研究開発・商業化を行う世界的な独占的実施権契約を締結したことを発表しました。ベーリンガーインゲルハイムは、これらの抗体を用いて、がん治療効果をもつ抗体薬物複合体(ADC)やT細胞エンゲージャーなどを作製し、標的性の高いがん治療薬を開発することを目指しています。

ベーリンガーインゲルハイムのシニア・コーポレート・バイスプレジデントで創薬研究グローバル責任者のClive R. Woodは、次のように述べています。「ベーリンガーインゲルハイムは、A*STARから導入したこれらの有望な抗体が、がんの主要な標的分子に対する有力な治療薬候補の開発を前進させると確信しています。私たちは、患者さんに画期的な治療機会を提供することを目標に、これらの治療薬候補を幅広いがんに対して開発できるよう取り組んで参ります」


画像:抗体エンジニアリングプロセスの自動化を計画するEDDCスタッフ

ベーリンガーインゲルハイムは、腫瘍を直接標的とする治療法(がん細胞標的療法)や、免疫系が腫瘍を標的とする治療法(免疫細胞標的療法)を開発するために、様々な汎用性の高い治療プラットフォームの開発に取り組んでいます。
がん細胞を標的とした治療法の1つは抗体薬物複合体(ADC)であり、がん細胞に直接毒素を送達することが可能です。もう1つは、T細胞とがん細胞が直接接触するように促進するT細胞エンゲージャーであり、T細胞を介した腫瘍細胞の傷害につなげるものです。いずれの技術も、がん細胞表面にのみ存在するマーカー(がん特異的抗原)を標的とし、がん細胞を攻撃しながら健常な組織を守ることを目的としています。

 

A*STARの革新的な抗体は、がん細胞に多く発現しながら健常な組織には存在しない抗原に選択的に結合するため、より安全で有効な治療法の開発を実現できる可能性があります。

契約条件に基づき、ベーリンガーインゲルハイムはA*STARの抗体を使用した、がん標的治療のさらなる研究、前臨床および臨床開発、ならびに商業化を担うことになります。A*STARは、契約一時金および成功報酬として、総額1億ユーロを超える開発・商業化マイルストーン達成金を受領する可能性があります。

A*STAR独自の抗体を同定するために使用された技術は、シンガポールでの多施設共同研究によってもたらされました。A*STAR傘下のシンガポールゲノム研究所(GIS)とバイオエンジニアリング・バイオイメージング研究所(IBB)は、胃がん細胞から最初に同定された抗原のみを標的とする抗体を作製しました。その後、A*STARが主催するシンガポールの創薬開発の国家機関である実験的薬剤研究開発センター(EDDC)が抗体を最適化し、他の様々な固形がんへの適用性を確認しました。また、EDDCは、これらの抗体が様々な治療法をがん細胞に選択的に誘導する有用性についても実証しました。

EDDCの最高経営責任者であるDamian O'Connell教授は次のように述べています。「EDDCはシンガポールの国家創薬開発機関として、シンガポールの優れた科学から、精度の高いがん治療を可能にする、価値ある医薬品候補が見いだされたことを誇りに思っています。幅広い専門知識と技術を有するベーリンガーインゲルハイムは、これらの抗体の可能性を最大限に広げ、がん患者さんにとってより安全で標的を絞った治療法を開発することができる適切なパートナーであると確信しています」

A*STARのアシスタント・チーフ・エグゼクティブ(法人担当)であるTan Sze Wee教授は、次のように述べています。「これらの抗体は、複数の機関での緊密な協力を通じてシンガポールで開発されました。シンガポール胃がんコンソーシアムからも強力な支援がありました。今回の契約は、シンガポールで最高水準の研究がおこなわれていることを証明するものです。がんは深刻な疾患であり、私たちの研究成果が患者さんにより良い治療効果をもたらすことを願っています」

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。

ベーリンガーインゲルハイムのオンコロジー領域
ベーリンガーインゲルハイムは、がんの中でも特に困難で影響力の大きい領域において、先駆的な治療の開発に取り組んでいる株式を公開しない独立した企業です。私たちの目標は、アンメットメディカルニーズの高い領域において、患者さんの生活の質を向上させるイノベーションを提供することにより、がん患者さんの生活を変革することです。私たちの願いは、今日、明日、そしてその先も、がん患者さんにより早く、より優れた治療選択肢を提供することです。当社が持つ次世代がん治療薬の豊富なパイプラインは、がん細胞を標的とした治療およびがん免疫療法で構成されており、この組み合わせは、多くの患者さんにとって大きなベネフィットをもたらすと考えています。

がん免疫療法においては、抗体薬物複合体(ADC)やT細胞エンゲージャー、腫瘍溶解性ウイルス、がんワクチンなどの相補的なプラットフォームを通じて、非炎症性腫瘍(cold tumor)を炎症性腫瘍(hot tumor)に変換することを目標としています。がん細胞を標的とした治療法においては、長い間待ち望まれていた、KRASやp 53、ßカテニン、MYCなど、がんの増殖に関わる極めて重要な分子の制御に取り組んでいます。

私たちは、患者さんや支援団体、世界をリードする研究機関や企業と積極的に協力しています。私たちは協働することで、がん患者さんの生活を大きく変革することができると考えています。

シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)について
A*STARは、シンガポールを代表する公的研究開発機関です。オープンイノベーションを通じて経済と社会に寄与するために、官民とパートナーを結びコラボレーションを行っています。A*STARは、科学技術研究機関としてアカデミアと産業界の架け橋となっています。その研究は、シンガポールの経済成長と雇用を生み出し、さらにはより効果の高い治療、都市生活、サステナビリティ等の社会的ベネフィットに貢献することにより、生活の向上に寄与しています。またA*STARは、広範な研究機関や産業界における科学的な人材とリーダーを育成する上で重要な役割を果たしています。A*STARの研究開発活動は、生物医学、物理学、エンジニアリングまで多岐にわたり、研究拠点は主にバイオポリスおよびフュージョノポリスに置かれています。A*STARに関する最新の情報は、www.a-star.edu.sgをご覧ください。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

 

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