ベーリンガーインゲルハイム、標的タンパク質分解誘導剤の探索に向けてProxygen社と提携-がんに対する新たなアプローチ

和訳リリース,
  • この提携により、肺がんや消化器がんに対する新たな治療オプションの開発を目指すベーリンガーインゲルハイムのがん研究戦略を強化
  • Proxygen社独自の標的タンパク質分解誘導剤の創薬プラットフォームは、従来は創薬が不可能と考えられていたがん誘発たんぱく質の分解を目的とした、タンパク質分解誘導キメラ分子(PROTAC)に対するベーリンガーインゲルハイムの重点的取り組みを補完

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が12月7日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。

2020年12月7日 ドイツ/インゲルハイム、オーストリア・ウィーン
ベーリンガーインゲルハイムとProxygen社は、本日、さまざまながん誘発タンパク質に対する標的タンパク質分解誘導剤の特定を目指し、提携・ライセンス契約を締結したことを発表しました。今回の提携により、Proxygen社の持つ独自の標的タンパク質分解誘導剤の創薬プラットフォームと標的タンパク質分解における専門技術を、ベーリンガーインゲルハイムの長期戦略と融合させることで、ファーストインクラスのブレークスルー治療薬をがん患者さんに提供することが可能となります。

標的タンパク質分解誘導剤やPROTACは、細胞のタンパク質リサイクル機構を利用し、病気の原因タンパク質を選択的に排除します。標的タンパク質分解誘導剤は、標的タンパク質とユビキチンリガーゼをつなぎ、標的タンパク質に印をつけてその迅速な分解を誘導します。この際、標的タンパク質分解誘導剤は高度に協同的な結合を通じて、二つのタンパク質間の距離を調整します。このメカニズムにより、従来の低分子治療薬が作用するための要件であった標的タンパク質表面の薬剤結合ポケットの特定は不要となり、従来は創薬が不可能と考えられていたタンパク質に対しても低分子薬物による作用を可能にします。

ベーリンガーインゲルハイムのグローバルがん研究責任者のNorbert Kraut(Ph.D.)は、次のように述べています。「Proxygen社の標的タンパク質分解誘導剤プラットフォームは、従来は創薬が不可能とされていた、最も頻繁に変異するがん誘発タンパク質を原因とするがんの治療を目指すベーリンガーインゲルハイムのがん研究戦略において貴重な構成要素となる可能性を秘めています。治療困難ながんに対する当社の取り組みを補完してくれるProxygen社と提携することができ、たいへん嬉しく思います」

標的タンパク質分解誘導剤の特定は、これまで偶然に頼るしかありませんでした。Proxygen社の、拡張性と汎用性の高い、標的タンパク質分解誘導剤探索プラットフォームでは、標的タンパク質分解誘導剤候補特定の効率を向上させる目的指向型の包括的な手段が確保されます。

Proxygen社最高経営責任者(CEO)のBernhard Boidol氏は、次のように述べています。「ベーリンガーインゲルハイムと力を合わせて取り組めることを心待ちにしています。革新的がん研究開発におけるリーダーであるベーリンガーインゲルハイムと協力することにより、当社の、標的タンパク質分解誘導剤の探索プラットフォームの応用性の広さが実証されるだけでなく、肺がんや大腸がんの患者さんの重大なアンメットメディカルニーズに応える、新しい治療薬を迅速に開発することができます」

Proxygen社の新たな手法は最近、オーストリア・ウィーンでのGrass Rootsプログラムである「イノベーション・プライズ」で認められました。この「イノベーション・プライズ」は、次世代医薬品のパイプラインを創出、維持する新興のライフサイエンス企業やバイオ起業家のイノベーションの力を称えるものです。2015年に開始されたGrass Rootsプログラムは、「オフィス・アワー」、「アカデミー」、および「イノベーション・プライズ」から構成されます。ベーリンガーインゲルハイムは、健康とクオリティ・オブ・ライフの向上に取り組む企業としてこれらのプログラムを主催することで、初期段階のイノベーションコミュニティに専門知識を提供し、サイエンスに関する指針を示して、次のブレークスルーにつながるアイデアを実現する機会につながります。

Proxygen社は、前払金、研究開発支援、開発マイルストーンペイメントに加え、開発した製品の将来的な販売に基づく段階的ロイヤリティを受け取る権利を獲得します。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。

ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変えるような画期的な治療法を提供していきます。

ベーリンガーインゲルハイムのがん治療における取り組み
がんは、私たちの人生から多くを、愛する人たちや貴重な時間を奪っていきます。ベーリンガーインゲルハイムオンコロジー部門は、患者さんに希望をもたらすため、がん治療に真摯に取り組み、努力を続けています。がんの治療法を確立するため、多様なサイエンスコミュニティとの連携を通し、患者さんの生活を一変させるためのブレークスルーを目指しています。私たちは、肺および消化器がんに焦点をあて、画期的なファースト・イン・クラスの治療を確立するために尽力しています。イノベーションに対する私たちの取り組みは、これまで肺がん治療に先駆的な進歩をもたらしました。より広範ながんとの闘いに挑むため、がん細胞指向性療法の独自パイプライン、免疫腫瘍治療および理論的な併用アプローチを進展させています。

Proxygen社について
Proxygen社は、「分子接着剤分解剤」と呼ばれる特定の薬剤を通じて、細胞タンパク質の品質管理システムをリプログラミングすることにより、がんその他の生命を脅かす病気に対する治療薬を開発しています。これらの分子は、有害タンパク質の作用を阻害するだけでなく、標的を絞って選択的かつ完全に排除します。これは、病気の主な原因として確認されているが、従来の創薬パラダイムでは取り扱えなかったタンパク質を標的とするための明確な手法を示しています。そのため、分子接着剤分解剤は、この数十年間で最も有望な治療イノベーションの1つと考えられています。ウイーンに本社を置き、オーストリア科学アカデミーの分子医学センター(CeMM)のスピンアウト企業として設立されたProxygen社は、独自の創薬エンジンを活かし、新規分子接着剤分解剤を体系的にスクリーニングし、最終的にこれらの分子を臨床診療につなげることを目指しています。
Proxygen社の詳細については、www.proxygen.comをご覧ください。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

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