ベーリンガーインゲルハイム・イノベーション・プライズを開催、受賞者が決定
(2022年10月20日)
2022年9月28日(水)にクリエイティブラボ神戸(CLIK)で開催した「ベーリンガーインゲルハイム・イノベーション・プライズ」⦅後援:神戸市/(公財)神戸医療産業都市推進機構⦆では、医療・バイオテクノロジー分野の起業家、スタートアップ企業、大学研究者などの8名により、創薬分野の革新的なアイデア・プロジェクトのプレゼンテーション・コンテストが行われました。ベンチャーキャピタル、コンサルタントなどの支援家、アカデミアやベンチャー企業から多くの視聴者が参加する中、遺伝子治療や再生医療、抗がん剤などに関連するテーマや、ペプチド、核酸などの多様なモダリティに関連する新規創薬技術などが紹介されました。
厳正なる審査の結果、アイデアの独自性や着眼点の良さ等が高く評価され、株式会社ギャップジャンクション(代表取締役社長・神谷和作氏)の「Development of gene therapy and drugs for hearing loss / 聴覚障害への遺伝子治療および薬剤の開発」が第1位とオーディエンス賞のダブル受賞を果たしました。また第2位には、光の照射により遺伝子発現を制御し治療に応用する研究をしている株式会社ミーバイオ(代表取締役・早水建祥氏)の「A photo-controllable gene therapy / 時空間特異的制御が可能な『光スイッチング遺伝子治療』」が選ばれました。受賞者には、賞金として、第1位に 400万円、第2位に100万円、オーディエンス賞に25万円が授与されます。
【受賞者のコメント】
第1位、オーディエンス賞
『聴覚障害への遺伝子治療および薬剤の開発』
株式会社ギャップジャンクション 代表取締役社長 神谷 和作氏
この度は、ベーリンガーインゲルハイムイノベーションプライズ2022にて発表させていただき誠にありがとうございます。そして第1位、更にはオーディエンス賞のご評価いただき大変嬉しく光栄に存じます。弊社は順天堂大学にて開発された難聴へのバイオ医薬品の実用化のために2021年4月に創業しました。
難聴への対策は医療デバイスが主流であり、根本的治療薬がないのが現状です。しかし遺伝性難聴の病態解明が進み、iPS細胞、遺伝子治療、ゲノム編集の技術が発展したことから、バイオ医薬品によって難聴が改善する可能性が示されました。今回の受賞を機に難聴治療薬開発への期待が高まり、実用化に大きく近づくことと思います。これを機に事業会社様との連携や研究開発の加速をお手伝いいただける人材など多くの出会いがありますと幸いです。難聴患者様へ一日も早く医薬品を届けられるよう開発を推進してまいります。
第2位
『時空間特異的制御が可能な「光スイッチング遺伝子治療」』
株式会社ミーバイオ 代表取締役 早水 建祥氏
この度は、「ベーリンガーインゲルハイム・イノベーション・プライズ 2022」で発表の機会をいただき、誠にありがとうございました。ご発表されていたほかの皆様は、技術も素晴らしく、また事業も進捗されているものが多かったため、現在の弊社のアーリーなステージで賞をいただけたことは大変嬉しく思います。
弊社のコア技術である「光スイッチタンパク質」は、東京大学・佐藤守俊教授の研究テーマである「生命現象の光操作」をかなえる基盤技術として生まれました。光を用いて、時間・場所特異的にさまざまな生命現象をコントロールできるという技術は非常にユニークなもので、基礎研究者の皆様に向けてのリサーチツールとしてはもちろん、創薬、バイオ生産などの分野においても広がっていくものと確信しております。ミーバイオでは、光×バイオという新産業の創出に向けて、これからも邁進してまいります。
【審査員のコメント】
中谷国際特許事務所 代表弁理士 中谷 智子氏
今回初めて参加させていただき、発表されたベンチャー及びアカデミア発のシーズがいずれも将来性を感じさせる内容であり、また多様なモダリティやテクノロジーに亘っていることがとても印象的でした。サイエンスのレベルの高さやユニークさを評価の中心に据える本イベントは、真にサイエンスに基づき挑戦しようとしているベンチャーや大学にとって、自らの企業価値等の源泉を再認識する機会となったのではないかと思います。今回のイベントをきっかけに、ベーリンガーインゲルハイム社、発表者及び参加者間に新たなコラボレーションが一つでも多く生み出されることを心より願っております。
ベーリンガーインゲルハイム 事業開発&ライセンシング グローバルヘッド デトレフ・メネリッヒ(Detlev Mennerich)
3年ぶりにオンサイト開催となった第4回ベーリンガーインゲルハイム・イノベーション・プライズは素晴らしいイベントとなりました。過去2回のオンライン開催ももちろん良かったのですが、参加者が実際に顔を合わせることで、アイディアを共有し、フィードバックを収集し、イノベーションを次の次元へと押し上げる機会となりました。私たちは、この流れを止めることなく、サポートを続けていきます。そして、受賞者の皆様おめでとうございます。受賞されなかった登壇者の方々も、日本全国からご参加いただきありがとうございました。残念ながら登壇に至らなかった応募者の皆様全てに感謝の意を表します。皆様のアイデアが育ち大きな成功を収めることを願っています。
【事務局からのメッセージ】
3年ぶりにオンサイト開催となり、ピッチ登壇者、審査員、オーディエンス間で熱気あふれる意見交換が行われたことを嬉しく思います。特に、10分間の休憩時間が終了した後、着席される方が少なく、何度も着席を促すアナウンスをせざるを得なかったことが印象深く、参加者間の熱量を感じました。
今回は初めて神戸市での開催となりました。会場のCLIKから徒歩圏内に神戸医薬研究所(KPRI)を持つ私たちにとって、神戸はホームグラウンドです。神戸市や(公財)神戸医療産業都市推進機構の後援をいただき、国内最大級のバイオクラスターである神戸市の地の利を活かした開催となりました。
更に、今回初めて当社のBI Venture Fundからも審査員が参加することができました。事業開発&ライセンシング、創薬研究アライアンス部と共にExternal Innovationの支援部署がフルセットで参加できたことで、登壇者の方により有益なフィードバックが出来たと考えています。
また、過去3回から大幅に1位とオーディエンス賞の金額を増額したことで、受賞者により力強いサポートとなることを願っております。
(Business Development and Licensing, BD+L)
山下南海子
(Business Development and Licensing, BD+L)
河野剛志
(Research Beyond Borders, RBB)
山口鉄平
[ピッチプレゼンテーション]
Order | Company/institution name | Presentation title |
---|---|---|
1 | C4U Corporation | NextGen CRISPR-Cas3 Gene Editing Technology |
2 | miibio, Inc. | Photo-controllable Gene Therapy - Add novelty to the AAV - |
3 | siDreaMed (The University of Tokyo) | Development and commercialization of siRNAs that suppress only disease-causing genes with single nucleotide mutations |
4 | Celaid Therapeutics Inc. | Ex Vivo Expanded, Cord Blood-derived, Allogeneic product with Hematological malignancies |
5 | Rebirthel Co., Ltd. | Technologies for allogeneic regenerated T cell therapy derived from iPS cells |
6 | FerroptoCure Inc. | Development of Anti-Cancer Drug by inducing “Ferroptosis” |
7 | Department of CNS Drug Innovation, Tohoku University (Ichiro Kawahata) | Development of Peptide Drug for Lewy body diseases |
8 | Gap Junction Therapeutics | Development of gene therapy and drugs for hearing loss |
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お問い合わせ:
ベーリンガーインゲルハイム・イノベーション・プライズ事務局
BIAlliance.JP@boehringer-ingelheim.com