ベーリンガーインゲルハイムとEnara Bio社、がん免疫療法の新規共通抗原の発見に向けて、戦略的提携およびライセンス契約を締結

和訳リリース,
  • 提携では、最大3種類の肺がんおよび消化管(GI)がんに注力
  • がんワクチンおよびT-cell Engagerの分野におけるベーリンガーインゲルハイムの地位を強化する一連の戦略的提携、およびパートナーシップの一環
  • ベーリンガーインゲルハイムとの契約およびパートナーシップにより、Enara Bio社のEDAPTプラットフォームおよびDark Antigen創薬をさらに推進し、進行中の細胞療法ベースの治療アプローチをサポート

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が1月12日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。

2021年1月12日 ドイツ/インゲルハイム、英国オックスフォードおよびロンドン
ベーリンガーインゲルハイムとEnara Bio社は本日、新しいがん標的免疫療法の研究開発に関して、Enara Bio社のDark Antigen創薬プラットフォームを活用する戦略的提携およびライセンス契約を締結したことを発表しました。この新たな提携では、腫瘍溶解性ウイルスやがんワクチンなどの革新的ながん免疫プラットフォームと最先端科学を組み合わせてがんに立ち向かうベーリンガーインゲルハイムのアプローチと、がん抗原識別におけるEnara Bio社の専門知識を結集し、治療困難な肺がんおよび消化管がんの患者さんに新たな治療薬を提供することを目指しています。

ベーリンガーインゲルハイムのシニアバイスプレジデント兼がん免疫および免疫制御部門グローバルヘッドのJonathon Sedgwick(Ph.D.)は次のように述べています。「このたび、革新的な治療薬をがん患者さんに提供するという我々の使命の一環として、Enara Bio社と協力することができ、たいへん嬉しく思います。私たちはがんとの闘いに挑むため、がん細胞を直接標的とする独自の治療法のパイプライン、がん免疫療法、理論的な併用アプローチを進めています。Enara Bio社独自の創薬プラットフォームは、高度に差別化された新たなアプローチをもたらします。これにより、既知のプロテオムを超えたDark Antigenの識別、特性化が可能となり、T細胞受容体(TCR)指向性免疫療法や治療ワクチンの開発を支えることができます。これは、がん免疫療法の新たな波に向けた非常に革新的で有望な開発アプローチだと考えています」

Enara Bio社独自のDark Antigen Platform Technology(EDAPT)は、肺がんおよび消化管がん領域で、最大3種類のがんにおける新規Dark Antigenを発見し、検証するために使用されます。共通抗原の発見は、幅広いがん患者さんにすぐに使用できるワクチンの開発につながる可能性があります。

Dark Antigenは、ゲノムのダークマター(ヒトゲノムのうち、普通はタンパク質として発現されない部分)に由来する新しいクラスのがん関連抗原を表します。Dark Antigenのシーケンスは通常、健康な細胞内では抑制されていますが、がん細胞では活性化して発現します。このシークエンスは特定の種類のがんと関連しており、重要な点として、患者さんの間で共通しています。通常は免疫系で発現しないため、新しい免疫療法の標的として開発できる新規抗原候補が多く含まれている可能性があります。

Enara Bio社の社長兼CEO、Kevin Pojasek氏は、次のように述べています。「当社の先駆的なDark Antigenの発見・検証能力を活かした初の大規模案件である、この戦略的ライセンス契約を締結することができ、たいへん嬉しく思います。ベーリンガーインゲルハイムは、特にがんに注目して画期的な治療薬の製造に取り組むイノベーション主導の企業です。新しいがん免疫療法の標的の重要なソースになるというDark Antigenの可能性に関して、同社と良好な協力関係を築き、同じ見解を共有していけることを喜ばしく思います。この契約は、ゲノムのダークマターに由来するがん関連抗原を活用する当社のサイエンスとアプローチの検証を進めるものであり、今後の生産的な提携に大いに期待しています」

Enara Bio社との提携は、ベーリンガーインゲルハイムががんワクチンプラットフォームを構築するために実施した戦略的パートナーシップおよび買収の中での最新案件であり、Enara Bio社のDark Antigenプラットフォームの重要な検証につながります。これまでに買収したViraTherapeutics社やAMAL Therapeutics社のワクチンモダリティをEnara Bio社の能力と統合することにより、ベーリンガーインゲルハイムはプライムブーストワクチンプラットフォーム用に高度なウイルスおよびワクチンモダリティを開発することができます。

この契約に基づき、ベーリンガーインゲルハイムは、Enara Bio社が発見し検証したDark Antigenをライセンスする権利を獲得します。また、ベーリンガーインゲルハイムは、すべての非臨床・臨床開発を担当するとともに、治療ワクチンやT細胞リダイレクション生物学的製剤などの関連するがん免疫療法の実用化も担当します。Enara Bio社は、発見した抗原を細胞療法ベースの製品に使用する権利を保持します。

Enara Bio社は、前払金に加え、研究対象の腫瘍タイプごとに研究/前臨床マイルストーンとライセンス料を受け取る権利を獲得します。またEnara Bio社は、将来的な製品の売上げに対するロイヤリティに加え、臨床・薬事・販売マイルストーンとして8億7,600万ユーロ以上を受け取る権利を有します。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。

ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変えるような画期的な治療法を提供していきます。

ベーリンガーインゲルハイムのがん治療における取り組み
がんは、私たちの人生から多くを、愛する人たちや貴重な時間を奪っていきます。ベーリンガーインゲルハイムオンコロジー部門は、患者さんに希望をもたらすため、がん治療に真摯に取り組み、努力を続けています。がんの治療法を確立するため、多様なサイエンスコミュニティとの連携を通し、患者さんの生活を一変させるためのブレークスルーを目指しています。私たちは、肺および消化器がんに焦点をあて、画期的なファースト・イン・クラスの治療を確立するために尽力しています。イノベーションに対する私たちの取り組みは、これまで肺がん治療に先駆的な進歩をもたらしました。より広範ながんとの闘いに挑むため、がん細胞を直接標的とする治療法の独自パイプライン、免疫腫瘍治療および理論的な併用アプローチを進展させています。

Enara Bio社について
Enara Bio社(旧Ervaxx社)は、T細胞/がん細胞インターフェース(「免疫シナプス」)を研究するサイエンス主導の企業であり、幅広い患者さんの治療を目指して新たながん標的免疫療法を開発しています。Enara Bio社は、がんとT細胞の生物学を深く研究し、Dark AntigenやMR1発現リガンドなど、新しい免疫療法標的の発見と特性化に取り組んでいます。これらの標的をTCR指向性T細胞免疫療法や治療ワクチンに活かすアプローチを開拓しています。この使命を達成するため、英国オックスフォードを拠点とする研究所において、バイオインフォマティクス、免疫ペプチドミクス、メタボロミクス、免疫学を統合し、他と差別化したDark AntigenおよびTCR発見プラットフォームを活用します。Enara Bio社は、SV Health Investorsを含むライフサイエンス分野の主要投資家から支援を受けています。フランシス・クリック研究所、カーディフ大学、ジョンズホプキンス大学医学部、オックスフォード大学などの世界クラスの学術研究機関とパートナーシップを結び、この新しいサイエンス分野の、最先端の研究に取り組んでいます。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

お問い合わせ