ベーリンガーインゲルハイム、消化器がんを対象に、新規二重特異性TRAILR2/CDH17抗体の第1相臨床試験を開始

和訳リリース,
  • BI 905711はファーストインクラスの二重特異性抗体。TRAILR2及びCDH17共発現腫瘍細胞の経路を活性化し、腫瘍細胞を破壊へと導く
  • TRAILR2を標的とした治療法に一般的に見られる肝毒性を回避し、消化器がんの患者さんに、より忍容性の高い選択的治療がもたらされる可能性
  • がん細胞を直接標的とする治療法と腫瘍免疫を介した治療法の併用アプローチによるベーリンガーインゲルハイムの多面的オンコロジーポートフォリオに有望な候補化合物を追加し、従来は治療困難であったがんに対する新規治療薬を開発

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月10日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。

2020年9月10日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは、二重特異性・四価治療抗体のBI 905711が進行性消化器(GI)がん患者さんを対象とするファーストインヒューマン(FIH)試験に進んだことを発表しました。ファーストインクラスのBI 905711抗体は、アポトーシス促進性腫瘍壊死因子(TNF)関連のアポトーシス誘導リガンド受容体2(TRAILR2)および腫瘍細胞アンカーカドヘリン17(CDH17)の双方を認識し、主に消化管に見られる共発現腫瘍細胞の自己破壊(アポトーシス)経路を活性化させるようデザインされています。このタイプのがんの患者さんにとって、第1相試験への前進は、アンメットニーズが高い疾患に対する忍容性の高い革新的治療薬が継続的に開発されるための重要なマイルストーンとなります。

ベーリンガーインゲルハイムのグローバルがん研究責任者のNorbert Kraut(Ph.D.)は、次のように述べています。「当社は、患者さんの生活を一変させるブレイクスルーを目指してオンコロジーパイプラインの拡充に取り組んでいます。このたび、BI 905711が第1相試験に進んだことをお知らせできるのは大変喜ばしいことです。この二重特異性プラットフォームは、従来の抗体フォーマットでは対処できない複雑な機序を標的とする可能性を秘めています」

消化器がんは、世界のがん関連死の主因の1つとなっています。消化器がんのうち、今回の第1相試験の重点対象である大腸がんは世界で3番目に患者数が多いがんであり、180万人以上が罹患しています。また、死亡者数が2番目に多いがんであり、2018年には88万人以上がこのがんで亡くなっています(Globocan 2018)。これまでのところ、消化器悪性腫瘍と診断された患者さんにとって、革新的な治療選択肢は非常に限られており、重篤な副作用が懸念されているにもかかわらず化学療法が治療の中心となっています。この標的治療は化学療法の併用を必要としないため、毒性の低い革新的な治療選択肢を患者さんに提供できる可能性があります。

米国ニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの早期医薬品開発および消化器がんサービス部門の主任研究員であるJames Harding博士(M.D.)は、次のように述べています。「TRAILR2/CDH17共発現がん細胞の標的化により、前臨床において抗腫瘍活性が示されました。ベーリンガーインゲルハイムと共同で進めている今回の第1相試験で、この分子を評価するのを心待ちにしています」

消化器がんでは、がん治療における近年のイノベーションの恩恵が限定的なため、患者さんは新たな治療オプションを切望しています。ベーリンガーインゲルハイムは、これらの患者さんの生活におけるアンメットニーズに対応するべく、今後も革新的な医薬品候補を開発し、これまでに試されていない有望なアプローチの提供を通じて、がん治療に取り組んでいきます。

ベーリンガーインゲルハイムのオンコロジー部門は、がん細胞を直接標的とする治療法と腫瘍免疫を介した治療法、及びそれらの併用によってサイエンスをリードし、肺がんや消化器がんのアンメットニーズに立ち向かいます。当社は、初期段階の研究に大きな投資を行い、これまでに治療薬が開発されていない未知のがん経路の特定を目指しています。2019年、ベーリンガーインゲルハイムは、Wnt/β-カテニン経路(BI 905681)およびKRAS変異型がん(BI 1701963)を標的とする2つのファーストインクラス化合物を含め、6つの分子をFIH試験へ進めました。これにより、サイエンスをリードし、臨床診療を改善し、そして最終的に、患者さんの生活を一変させるブレイクスルーを生み出すことで、患者さんががんとの闘いに勝利できるよう、長期的な研究開発にコミットメントを示しています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。

ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変えるような画期的な治療法を提供していきます。

詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

お問い合わせ