米国食品医薬品局(FDA)が左室駆出率が低下した心不全の治療薬として エンパグリフロジンを承認

和訳リリース,
  • 心不全患者の約半数が診断から5年以内に死亡しており、新たな治療選択肢が切望されています。
  • 心不全は、米国における年間100万件以上の入院の原因となっています。

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国 イーライリリー・アンド・カンパニーが2021年8月18日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントおよび慢性心不全、腎臓病のリスク減少に関連する効能・効果は取得しておりません。

2021年8月18日 コネチカット州リッジフィールドおよびインディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE:LLY)は本日、左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)の成人患者における心血管死および心不全による入院のリスク減少に関して、エンパグリフロジンの10 mgが米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得したことを発表しました。

ミシシッピ大学医学部長のJaved Butler氏(M.D.)は、次のように述べています。「心不全は、消耗性の慢性心腎代謝疾患であり、世界で6,000万人以上に影響を及ぼしています。心不全の罹病率は上昇し続けており、新たな治療選択肢が切望されています。エンパグリフロジンは、左室駆出率が低下した慢性心不全の成人患者さんの心血管死および心不全による入院のリスクを減少させる重要な新しい治療選択肢です」

心不全の半数以上を占めるHFrEFは、心臓が効率的に収縮できず、正常に機能している場合と比較して、身体に送り出される血液量が少なくなる状態です。

今回のエンパグリフロジンの承認は、EMPEROR-Reduced第III相試験の結果に基づいています。この試験では、2型糖尿病の有無を問わず、左室駆出率40%以下の幅広い心不全(NYHA機能分類II、III、またはIV)の成人患者3,730人を対象に、エンパグリフロジン10 mgを心不全の標準治療に追加した場合の有効性と安全性をプラセボと比較検討しました。エンパグリフロジンは、主要評価項目である心血管死または心不全による入院の初回発現までの期間をプラセボと比較して有意に25%減少させました(絶対リスク減少率5.3%、0.75 HR、0.65-0.86 95% CI)。これらの結果は、患者さんが服用している心不全の標準治療薬の種類にかかわらず認められました。

EMPEROR-Reduced試験の重要な副次的評価項目の解析から、エンパグリフロジンが心不全による入院の初回および再発のリスクをプラセボと比較して有意に30%減少させ、患者さんの入院を防ぐ上で有用であることが明らかになりました(エンパグリフロジン388件 vs. プラセボ553件、0.70 HR、0.58-0.85 95% CI)。安全性は、エンパグリフロジンの既知の安全性プロファイルと一貫していました。

ベーリンガーインゲルハイムの心血管代謝・呼吸器内科の臨床開発・メディカルアフェアーズ担当バイスプレジデントのMohamed Eid(M.D., M.P.H, M.H.A)は、次のように述べています。「残念ながら、成人心不全患者さんの約半数は診断を受けてから5年以内に死亡すると予測されています。また、心不全の入院回数が増えるほど死亡率が増加します。EMPEROR-Reduced試験において、エンパグリフロジンは、標準治療に追加することで、ベースライン時の心不全治療薬または2型糖尿病合併の有無を問わず、心血管死および心不全による入院のリスクを減少させ、左室駆出率が低下した幅広い成人心不全患者さんに対して有効性を示しました。FDAが本日、左室駆出率が低下した心不全の治療薬として、エンパグリフロジンを承認したことは、6月の欧州委員会によるEUでの承認に続くものであり、成人心不全患者さんの治療の変革を目指す上で重要な節目となります。引き続き、心腎代謝疾患に対するエンパグリフロジンの可能性を評価していきます」

イーライリリー・アンド・カンパニーの糖尿病事業部製品開発部門バイスプレジデントJeff Emmick(M.D.,Ph.D.)は、次のように述べています。「本日の承認は、左室駆出率が低下した心不全と診断され、過去10年間にもわたり治療選択肢が限られてきた多くの患者さんに希望をもたらします。今回の承認は、主要な心血管臨床アウトカムに対するエンパグリフロジンの影響を評価するEMPOWER臨床試験プログラムを基にした米国の規制当局による承認決定として、EMPA-REG OUTCOME®試験に次いで2番目となります。エンパグリフロジンは、心血管疾患を有する2型糖尿病の成人患者さんにとって、すでに重要な治療薬となっています。新しい適応症により、2型糖尿病の有無にかかわらず、左室駆出率が低下した心不全の成人患者さんにとっても、エンパグリフロジンが有用な治療薬として確立されることを期待しています」

参考情報
EMPEROR-Reduced試験について
EMPEROR-Reduced試験(NCT03057977)は、2型糖尿病合併の有無を問わない、3,730人の成人を対象とした国際第III相無作為化二重盲検試験です。すべての参加者が3カ月以上にわたり心不全(ニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類II、III、またはIV)を有しており、直近の診断時の左心室駆出率は40%以下でした。無作為化の時点で、患者さんの75%がNYHA分類II、24%がNYHA分類III、0.5%がNYHA分類IVでした。

患者さんは、ガイドラインに従った心不全の治療に加え、1日1回エンパグリフロジン10 mg投与群(n=1,863)またはプラセボ投与群(n=1,867)のどちらかに無作為に割り付けられました。追跡期間中央値は、16カ月間でした。主要評価項目は、心血管死または心不全による入院の初回発現までの期間と定義されました。

心腎代謝治療への重点的取り組み
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、研究および教育イニシアチブを通じて、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心血管代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます。

心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じ病理学的経路の多くを共有しています。1つの系で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心不全、慢性腎臓病などの相互に関連した病気が進行します。反対に、1つの系の健康状態を改善すれば、他の系にも好影響を与え、さらなる合併症のリスクが低下します。

両社は、各系統の相互に関連した特性を理解し、心腎代謝疾患の患者さん向けの治療薬を進歩させるために取り組んでいます。アウトカムを一変させ、これらの重要な系統のバランスを回復するには、総合的なアプローチでケアにあたる必要があります。

ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。

イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。

日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。

詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com
(ベーリンガーインゲルハイム)
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(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
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(日本イーライリリー)

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