米国食品医薬品局(FDA)が、左室駆出率に関わらない成人心不全患者の治療薬としてエンパグリフロジンの適応追加申請(sNDA)を受理、優先審査対象に指定

和訳リリース,
  • 承認された場合、エンパグリフロジンは、左室駆出率に関わらず、成人の心不全患者さんに対する臨床的有効性が明らかになった初めての治療薬となります。

報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

当プレスリリースについて
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国 イーライリリー・アンド・カンパニーが2021年11月11日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)であり、心血管イベントおよび腎臓病のリスク減少に関連する効能・効果は取得しておりません。なお、慢性心不全に対する治療薬として承認されているのは、ジャディアンス錠®10mgです。また、慢性心不全の効能又は効果に関連する注意には次の記載があります。「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。」

2021年11月11日 コネチカット州リッジフィールドおよびインディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE:LLY)は、米国食品医薬品局(FDA)が、エンパグリフロジン10 mgの、左室駆出率(LVEF)に関わらない成人心不全患者の心血管死および心不全による入院のリスク減少の適応追加申請(sNDA)を受理し、優先審査対象に指定したことを発表しました。

ベーリンガーインゲルハイムの心血管代謝・呼吸器内科の臨床開発・メディカルアフェアーズ担当バイスプレジデントのMohamed Eid(M.D., M.P.H, M.H.A)は、次のように述べています。「承認された場合、エンパグリフロジンは、左室駆出率が保持された患者さんが大多数を占める心不全集団において、アウトカムを有意に改善することが臨床的に示された初めての治療薬となります。FDAがエンパグリフロジンを左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認したことに加え、今回の適応追加申請(sNDA)を受理したことは、エンパグリフロジンが左室駆出率に関わらず、成人心不全患者さん全体に統計的に有意なベネフィットをもたらす唯一の治療薬となりうるための第一歩となります。FDAの優先審査指定は、新たな心不全治療薬に対する切実なニーズが存在することを改めて強調しています」

今回の適応追加申請は、第III相EMPEROR-Preserved®試験の結果に基づいています。この試験では、エンパグリフロジンは、LVEF 40%超の成人心不全患者における心血管死または心不全による入院の主要評価項目について、プラセボ群と比較して21%のリスク減少(3.3%の絶対リスク減少)と関連していました。この結果は、左室駆出率や糖尿病の状態にかかわらず確認されました。EMPEROR-Preserved®試験の結果は、2021年欧州心臓病学会にて発表され、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌(NEJM)に掲載されました。

FDAによると、優先審査指定とは、承認された場合、重篤な病気に対する治療薬の安全性または有効性に顕著な改善をもたらす可能性があると判断された治療薬の申請評価に対して、優先して審査を行うことを目的としたものです。また、9月にFDAは、左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)の成人患者の治療薬候補として、エンパグリフロジンをブレークスルーセラピーに指定しました。

HFpEFは、600万人を超える米国の心不全患者さんの約半数を占めています。現時点で、特にHFpEF患者さんのアウトカムを臨床的に有意に改善することが証明された治療薬はありません。

イーライリリー・アンド・カンパニーの製品開発部門バイスプレジデントのJeff Emmick(M.D., Ph.D.)は、次のように述べています。「今回の節目により、治療選択肢が特に不足している、左室駆出率が保持された成人心不全患者さんに新たな希望がもたらされます。私たちは、エンパグリフロジンは心不全の治療を変える可能性があると確信しており、来年の承認勧告に向けて、FDAの審査プロセスに協力していきます」

FDAは、心血管死および心不全による入院のリスク減少を目的として、エンパグリフロジンの開発をファストトラック審査の対象に指定していました。ファストトラック指定は、EMPEROR-Reduced®試験とEMPEROR-Preserved®試験から構成される、進行中のEMPERORプログラムが対象です。EMPEROR-Reduced®試験の結果は、FDAによるエンパグリフロジンの左室駆出率が低下した心不全に対する承認の根拠となりました。エンパグリフロジンは、HFpEFの適応を有していません。

参考情報
EMPEROR-Preserved®試験について

EMPEROR-Preserved®試験(NCT03057951)は、2型糖尿病合併の有無を問わず、5,988人の成人を登録した第III相国際無作為化二重盲検試験です。すべての参加者が心不全(ニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類II、III、またはIV)を有しており、LVEFは40%超でした。4,005人の患者(67%)がHFpEF(LVEFが50%以上)、1,983人の患者(33%)がLVEF軽度低下(40%超50%未満)でした。

参加者は、ガイドラインに従った心不全の治療に加え、1日1回エンパグリフロジン10 mg投与群(n=2,997)またはプラセボ投与群(n=2,991)のどちらかに無作為に割り付けられました。追跡期間中央値は、26.2カ月間でした。主要評価項目は、心血管死または心不全による入院の初回発現までの時間と定義されました。

心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心腎代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます1,2

心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては、心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系の健康状態を改善すれば、他の系にも好影響を与えます3,4,5

両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。

エンパグリフロジンについて
エンパグリフロジン(ジャディアンス®)は、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体(SGLT2)阻害薬であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬です6,7,8。エンパグリフロジンは、血糖コントロール不十分な成人2型糖尿病患者の治療薬として承認されています6,7,8。また、欧州と米国では、成人の左室駆出率が低下した心不全患者の治療薬としても承認されています*6,7

*日本において慢性心不全に対する治療薬として承認されているのは、ジャディアンス錠®10mgであり、効能・効果は、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)です。なお、慢性心不全の効能又は効果に関連する注意には次の記載があります。「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。」、「『臨床成績』の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、左室駆出率等)を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。」

ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。

イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。

日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。

詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
https://www.lilly.co.jp
(日本イーライリリー)

This press release contains forward-looking statements (as that term is defined in the Private Securities Litigation Reform Act of 1995) about Jardiance and reflects Lilly's current belief. However, as with any pharmaceutical product, there are substantial risks and uncertainties in the process of drug development and commercialization. Among other things, there can be no guarantee that future study results will be consistent with the results to date or that Jardiance will receive additional regulatory approvals. For a further discussion of these and other risks and uncertainties that could cause actual results to differ from Lilly's expectations, please see Lilly's most recent Forms 10-K and 10-Q filed with the U.S. Securities and Exchange Commission. Lilly undertakes no duty to update forward-looking statements.

References

  1. GBD 2017 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 354 diseases and injuries for 195 countries and territories, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2018;392(10159):1789–858.
  2. GBD 2015 Mortality and Causes of Death Collaborators. Global, regional, and national life expectancy, all-cause mortality, and cause-specific mortality for 249 causes of death, 1980–2015: A systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2015. Lancet. 2016; 388(10053):1459–544.
  3. García-Donaire JA, Ruilope LM. Cardiovascular and Renal Links along the Cardiorenal Continuum. Int J Nephrol. 2011;2011:975782.
  4. Leon BM, Maddox TM. Diabetes and cardiovascular disease: Epidemiology, biological mechanisms, treatment recommendations and future research. World J Diabetes. 2015;6(13):1246–58.
  5. Thomas M, Cooper M, Zimmet P. Changing epidemiology of type 2 diabetes mellitus and associated chronic kidney disease. Nat Rev Nephrol. 2015;12:73–81.
  6. Jardiance® (empagliflozin) tablets. European Product Information, approved April 2020. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/jardiance-epar-product-information_en.pdf. Accessed: October 2021.
  7. Jardiance® (empagliflozin) tablets, U.S. Prescribing Information. Available at: http://docs.boehringer-ingelheim.com/Prescribing%20Information/PIs/Jardiance/jardiance.pdf. Accessed: October 2021.
  8. Jardiance® (Full Prescribing Information). Mexico; Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals, Inc; 2017.

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