SGLT2阻害薬 ジャディアンス®錠 慢性心不全に対する適応拡大の国内承認申請
*日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病であり、慢性心不全の治療薬として国内外で承認されていません。
報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役会長兼社長:青野吉晃、以下「日本ベーリンガーインゲルハイム」)と日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:シモーネ・トムセン、以下「日本イーライリリー」)は、このたび、日本ベーリンガーインゲルハイムが、SGLT2阻害薬 ジャディアンス®錠(一般名「エンパグリフロジン」)について、慢性心不全に対する適応拡大の製造販売承認事項一部変更承認申請を厚生労働省へ行いましたことをお知らせいたします。
本申請は、国際共同第Ⅲ相試験 EMPEROR-Reduced試験1の結果に基づくものです。EMPEROR-Reduced試験では、糖尿病合併の有無を問わない左室駆出率が低下した心不全患者において、エンパグリフロジンは心血管死または心不全による入院の相対リスクを25%、心不全による入院の初発および再発の相対リスクを30%低下させ、腎機能の指標であるeGFRの低下を遅らせました1。また、追加の探索的な解析により、エンパグリフロジンの投与は、末期腎不全や重篤な腎機能低下などから成る腎複合評価項目*の相対リスクを50%低下させたことが明らかとなりました。また、EMPEROR-Reduced試験におけるエンパグリフロジンの安全性プロファイルは、これまでに確立されたエンパグリフロジンの安全性プロファイルと同様でした1。
日本ベーリンガーインゲルハイムならびに日本イーライリリーは、グローバルレベルでのアライアンスのもと、心腎代謝疾患領域におけるアンメットメディカルニーズに対する一層の貢献をしてまいります。
*探索的な腎複合評価項目には、慢性的な透析や腎移植、eGFRの40%以上の持続的低下(CKD-EPI)、eGFR 15 mL/分/1.73m2未満への持続的低下(ベースラインのeGFRが30 mL/分/1.73m2以上の患者)、またはeGFR 10 mL/分/1.73m2未満への持続的低下(ベースラインのeGFRが30 mL/分/1.73m2未満の患者)が含まれます。
参考情報
EMPEROR慢性心不全試験2,3について
EMPEROR(EMPagliflozin outcomE tRial in patients with chrOnic heaRt failure:慢性心不全の患者を対象にしたエンパグリフロジンのアウトカム試験)慢性心不全の臨床試験プログラムは、現在心不全の標準治療を受けている2型糖尿病合併または非合併の左室駆出率**が保持された慢性心不全(HFpEF)患者または左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者を対象に、エンパグリフロジンの1日1回投与による治療をプラセボと比較検討する以下の2つの第Ⅲ相無作為化二重盲検試験で構成されます。
- EMPEROR-Reduced試験[NCT03057977]:左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性を評価します。
- 主要評価項目:判定された心血管死または心不全による入院の初回発現までの時間
- 患者数:3,730人
- 試験完了:2020年
- 試験概要へのリンク
- EMPEROR-Preserved試験 [NCT03057977]:左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性を評価します。
- 主要評価項目:判定された心血管死または心不全による入院の初回発現までの時間[最大38カ月]
- 予定患者数:約5,990人
- 試験完了予定:2021年
** 左室駆出率は、左心室が収縮するごとに送り出される血液量のパーセンテージの値です4。心臓が弛緩すると、心室に血液が満たされます。
HFrEFになるのは心筋が効果的に収縮しておらず、心臓が正常に機能している場合と比較して身体に送り出される血液が少ないときです4。
HFpEFになるのは、心筋が正常に収縮するが、心室に十分な血液が満たされていないときです。心臓が正常に機能しているときと比較して、心臓に流れ込む血液が少なくなります4。
EMPOWERプログラムについて
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPOWERプログラムを策定し、幅広い心腎代謝疾患における心血管および腎臓の主要な臨床アウトカムに対するエンパグリフロジンの影響を調べています。心腎代謝疾患は、世界の死因のトップを占め、年間2,000万人がこれらの疾患で死亡しています5。EMPOWERプログラムを通じて、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、相互に関連する心腎代謝疾患に関する知識を進歩させるために取り組んでいます。臨床試験とリアルワールドエビデンス研究を含む9つの試験から構成されるEMPOWERプログラムは、心腎代謝疾患の患者さんの予後向上を目指す両社のアライアンスによる長期的な取り組みです。世界で377,000人以上の患者さんが参加している同プログラムは、これまでにSGLT2阻害薬について実施された臨床試験プログラムの中で最も幅広く包括的なものになります。
EMPOWERプログラムには以下の試験が含まれます。
- EMPEROR-Reduced試験:左室駆出率が低下した慢性心不全の患者を対象とし、心血管死または心不全による入院に対するエンパグリフロジンの有効性と安全性の評価を目的とした試験3。
- EMPEROR-Preserved試験:左室駆出率が保持された慢性心不全の患者を対象とし、心血管死または心不全による入院に対するエンパグリフロジンの有効性と安全性の評価を目的とした試験2。
- EMPULSE試験:急性心不全で入院した患者を対象とし、臨床アウトカムおよび患者報告アウトカムの改善についてエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験6。
- EMPACT-MI試験:2型糖尿病合併の有無を問わない急性心筋梗塞後の患者を対象とし、全死亡および心不全による入院に対するエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験7。
- EMPA-KIDNEY試験:慢性腎疾患の患者を対象とし、腎疾患の進行および心血管死に対するエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験8。
- EMPERIAL-Reduced試験:左室駆出率が低下した慢性心不全の患者を対象とし、運動耐容能と患者報告アウトカムに対するエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験9。
- EMPERIAL-Preserved試験:左室駆出率が保持された慢性心不全の患者を対象とし、運動耐容能と患者報告アウトカムに対するエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験10。
- EMPA-REG OUTCOME®試験:心血管疾患の既往を有する2型糖尿病患者を対象とし、心血管死を含む主要心血管イベントに対するエンパグリフロジンの効果を評価することを目的とした試験11。
- EMPRISE研究:日常診療におけるエンパグリフロジンの心血管イベントリスクに対する有効性、安全性、医療資源利用、医療費をDPP-4阻害薬と比較評価することを目的とした非介入研究12,13。
心不全について
心不全とは、心臓が体中に十分な血液を送り出すことができず、酸素を含んだ血液の需要を満たせない状態、または満たすために血液量を増やさなければならず、肺および末梢組織に液体貯留(鬱血)が生じている状態の進行性の疾患であり、衰弱し、死亡に至る場合もあります14。心不全は、世界中に6,000万人の患者がいる一般的な病気であり、人口の高齢化が進むにつれて患者数が増加すると予測されます15。心不全は糖尿病患者で大変多く見られますが16、心不全患者全体の約半分は糖尿病に罹患していません15,17。
エンパグリフロジンの心不全の臨床試験プログラムは、標準治療にエンパグリフロジン(10 mgまたは25 mg、1日1回投与)を上乗せしたときの効果を、標準治療にプラセボを上乗せした群と比較して評価したEMPA-REG OUTCOME®試験のデータに基づいて開始されました11。
心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心血管代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます5。
心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系統で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては、心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系統の健康状態を改善すれば、他の系統にも好影響を与えます18,19。
両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。
エンパグリフロジンについて
エンパグリフロジン(ジャディアンス®)は、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体(SGLT2)阻害薬であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬です20,21,22。
血糖値が高い2型糖尿病患者にエンパグリフロジンを投与し、SGLT2を阻害することで、過剰な糖を尿中に排出させます。さらに、塩分(ナトリウム)を体外に排出させ、循環血漿量を低下させます。エンパグリフロジンによる体内の糖・塩分・水の代謝変化が、EMPA-REG OUTCOME®試験で確認された心血管死の減少に寄与する可能性が示唆されています23。
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムの中核をなすのは、人と動物のためにより良い医薬品をお届けすることであり、生活を変える画期的な医薬品や治療法を開発していくことが当社の使命です。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。将来のヘルスケアにおける課題を見据え、ベーリンガーインゲルハイムが最大限の力を発揮できる分野で貢献できるよう、長期的な視点をもって邁進していきます。
ベーリンガーインゲルハイムは、世界有数の研究開発主導型の製薬企業として、51,000人以上の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。2019年度、ベーリンガーインゲルハイムは約190億ユーロの純売上高を達成しました。研究開発に約35億ユーロを投じてイノベーションに注力し、生命を救いクオリティオブライフ(生活の質)を向上させる新しい医薬品の創出に注力しています。
ベーリンガーインゲルハイムはパートナーシップを重視し、ライフサイエンス分野における多様な知見を活かして科学的な可能性を広げていきます。様々な協働を通じて、現在そして未来の患者さんの生活を変えるような画期的な治療法を提供していきます。
イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。
日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。
詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
https://www.lilly.co.jp
(日本イーライリリー)
References
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