SGLT2阻害薬 ジャディアンス®錠10㎎ 慢性心不全に対する効能・効果及び用法・用量に係る 国内製造販売承認(一部変更)取得
報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
2021年11月25日 日本/東京
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役 医薬事業ユニット統括社長:シャシャンク・デシュパンデ、以下「日本ベーリンガーインゲルハイム」)と日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:シモーネ・トムセン、以下「日本イーライリリー」)は、SGLT2阻害薬 ジャディアンス®錠10mg(一般名「エンパグリフロジン」)について、2021年11月25日付で、日本ベーリンガーインゲルハイムが、慢性心不全に対する効能・効果及び用法・用量*に係る医薬品製造販売承認事項一部変更承認を、厚生労働省より取得しましたことをお知らせいたします。
今回の製造販売承認(一部変更)は、エンパグリフロジンが心血管死または心不全による入院の複合リスクをプラセボと比較して有意に25%低下させることを示したEMPEROR-Reduced®試験1の結果に基づきます。主要評価項目に関する結果は、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、サブグループ間で同様の結果を示しました。試験の重要な副次評価項目の解析から、エンパグリフロジンは心不全による入院の初回および再発のリスクをプラセボと比較して30%低下させると共に、腎機能の低下を有意に遅らせることが明らかになりました2。また、EMPEROR-Reduced®試験におけるエンパグリフロジンの安全性プロファイルは、これまでに確立されたエンパグリフロジンの安全性プロファイルと同様でした1。
心不全は、多くの場合、2型糖尿病や慢性腎臓病などの心腎代謝系の疾患と関連しています。これらの臓器は相互に関連しているため、ある臓器が改善すると、別の臓器にも好影響をもたらす可能性があります。心不全は、多くの心疾患においてよく見られる重篤な合併症であり3,4、心臓が全身に十分な血液を送り出せない場合に生じます。心不全には、左室駆出率が低下した心不全と左室駆出率が保持された心不全の2つの形態があります。左室駆出率が低下した心不全とは、心臓が正常に収縮できない状態であり、左室駆出率が保持された心不全とは、心臓が十分に血液を溜められない状態を指します。心不全患者さんでは、息切れや疲労感が生じることが多く、QOLや生命予後に大きく影響します5,6。
日本ベーリンガーインゲルハイムならびに日本イーライリリーは、グローバルレベルでのアライアンスのもと、心腎代謝疾患領域におけるアンメットメディカルニーズに対する一層の貢献をしてまいります。
*添付文書における記載は次の通りです。
効能又は効果
<ジャディアンス錠10mg>
慢性心不全
ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
効能又は効果に関連する注意
左室駆出率の保たれた慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。
「臨床成績」の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、左室駆出率等)を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。
用法及び用量
<慢性心不全>
通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。
用法及び用量に関連する注意
2 型糖尿病と慢性心不全を合併する患者では、血糖コントロールが不十分な場合には血糖コントロールの改善を目的として本剤25 mgに増量することができる。ただし、慢性心不全に対して本剤10 mg 1 日1 回を超える用量の有効性は確認されていないため、本剤10 mgを上回る有効性を期待して本剤25 mgを投与しないこと。
参考情報
EMPEROR慢性心不全試験7,8について
EMPEROR(EMPagliflozin outcomE tRial in patients with chrOnic heaRt failure:慢性心不全の患者を対象にしたエンパグリフロジンのアウトカム試験)慢性心不全の臨床試験プログラムは、2型糖尿病合併または非合併の左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)患者または左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者を対象に、エンパグリフロジンの1日1回投与による治療をプラセボと比較検討する以下の2つの第Ⅲ相無作為化二重盲検試験で構成されます。
- EMPEROR-Reduced®試験 [NCT03057977]:左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)の成人患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性を評価しました。
- 主要評価項目:判定心血管死または判定HHF(心不全による入院)の最初の事象までの時間
- 患者数:3,730人
- 試験完了:2020年
- EMPEROR-Preserved®試験[NCT03057951]:左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)の成人患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性を評価しました。
- 主要評価項目:判定心血管死または判定HHF(心不全による入院)の最初の事象までの時間
- 患者数:5,988人
- 試験完了:2021年
- Link to lay summary
EMPOWERプログラムについて
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPOWERプログラムを策定し、幅広い心腎代謝疾患における心血管および腎臓の主要な臨床アウトカムに対するエンパグリフロジンの影響を調べています。心腎代謝疾患は、世界の死因のトップを占め、年間2,000万人がこれらの疾患で死亡しています9。EMPOWERプログラムを通じて、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、相互に関連する心腎代謝疾患に関する知識を進歩させるために取り組んでいます。9つの臨床試験と1つのリアルワールドエビデンス研究から構成されるEMPOWERプログラムは、心腎代謝疾患の患者さんの予後向上を目指す両社のアライアンスによる長期的な取り組みです。世界で40 万人以上の患者さんが参加している同プログラムは、これまでにSGLT2阻害薬について実施された臨床試験プログラムの中で最も幅広く包括的なものとなっています。
心不全について
心不全とは、心臓が体中に十分な血液を送り出すことができず、酸素を含んだ血液の需要を満たせない進行性の状態であり、死亡に至る場合もあります10。酸素を含んだ血液の需要を満たすために、血液量を増やさなければならず、その結果、肺および末梢組織に液体貯留(鬱血)が生じます11。心不全は、世界中で6,000万人以上が罹患しており、高齢化が進むにつれて患者数が増加すると予測されます12,13。心不全は糖尿病患者で大変多く見られますが14、心不全患者全体の約半分は糖尿病に罹患していません15。
心不全には様々な種類があります。 左心不全の患者さんには、左室駆出率が低下している患者さんもいれば、左室駆出率が保たれている患者さんもいます。左室駆出率は、左心室が収縮するごとに送り出される血液量の左心室容積に対する割合です16。 心臓が弛緩すると、心室に血液が満たされます。
- 左室駆出率が保持された心不全は、左心室が十分に弛緩できず、十分な血液が入らないために、身体に送り出される血液量が少なくなる状態です16。
- 左室駆出率が低下した心不全は、左心室が十分に収縮せず、血液を送り出すポンプとしての力が弱くなることで、身体に送り出される血液量が少なくなる状態です16。
多くの心不全患者さんには、息切れや疲労感が現れ、生活の質(QOL)が大きく低下します17。また、心不全患者さんは腎機能障害を有することが多く、これも予後に悪影響を及ぼします18。
心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心腎代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます9,13。
心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては、心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系の健康状態を改善すれば、他の系にも好影響を与えます19,20,21。
両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。
エンパグリフロジンについて
エンパグリフロジン(ジャディアンス®)は、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体(SGLT2)阻害薬であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬です22,23,24。エンパグリフロジンは、血糖コントロール不十分な成人2型糖尿病患者の治療薬として承認されています22,23,24。また、欧州と米国では、成人の左室駆出率が低下した心不全患者の治療薬としても承認されています22,23。
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。 同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。 この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。 心不全や慢性腎臓病へのエンパグリフロジンの影響を検討する臨床試験が進行中です。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。
イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。
日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。
詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
https://www.lilly.co.jp
(日本イーライリリー)
References
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