左室駆出率を問わない成人心不全患者の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)がエンパグリフロジンを承認
- エンパグリフロジンは、幅広い左室駆出率の心不全において統計的有意なベネフィットを示しました。
- FDAの承認は、「心血管領域で最大のアンメットニーズ」とされてきた1,2、米国の約300万人の左室駆出率が保持された成人心不全患者にとって重要な進展です。
- 心不全は、米国と欧州における主な入院の原因となっています。罹病率は上昇しており、世界で6,000万人以上にのぼると推定されます3,4。
報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
当プレスリリースについて
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国 イーライリリー・アンド・カンパニーが2022年2月24日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)であり、心血管イベントおよび腎臓病のリスク減少に関連する効能・効果は取得しておりません。なお、慢性心不全に対する治療薬として承認されているのは、ジャディアンス錠®10㎎です。また、慢性心不全の効能又は効果に関連する注意には次の記載があります。「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。」
2022年2月24日 ドイツ/インゲルハイム、米国/インディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE:LLY)は本日、米国食品医薬品局(FDA)が、成人心不全患者における心血管死および心不全による入院のリスク減少に対して、エンパグリフロジン10 mgを承認したことを発表しました。
エンパグリフロジンは、糖尿病性ケトアシドーシスのリスクを上昇させる可能性があるため、1型糖尿病の患者には使用できません。また、2型糖尿病の成人患者でeGFR 30 mL/分/1.73 m2未満の患者では効果が得られない可能性があるため、血糖コントロール改善の目的では使用できません5。
エンパグリフロジンの対象患者は、eGFRが20 mL/分/1.73 m2以上の成人慢性心不全患者です5。
*日本においてジャディアンス®錠10㎎(一般名:エンパグリフロジン)の腎機能障害患者への投与に関連する注意には次の記載があります。<2型糖尿病>高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者投与しないこと。本剤の効果が期待できない。<慢性心不全>高度腎機能障害患者でeGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者では、投与の必要性を慎重に判断すること。本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがある。eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者又は透析を要する腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
ミシシッピ大学医学部長のJaved Butler博士(M.D.)は、次のように述べています。「第Ⅲ相試験において、エンパグリフロジンは、左室駆出率を問わない心不全患者において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるベネフィットを示しました。本日の承認は、実証されたベネフィットによって、治療選択肢が限られている、左室駆出率が保持された心不全を有する米国の約300万人の成人患者さんの大きなアンメットニーズに対応できることを意味しています。」
米国で、心不全は主な入院の原因となっており、600万人以上に影響を及ぼしています。また、罹患率は高齢化に伴い上昇の一途を辿っています3,6。2021年8月、エンパグリフロジンは左室駆出率(LVEF)が低下した心不全患者の心血管死及び入院のリスクを減少させる治療薬として承認されました。本日の承認により、すべての成人心不全患者に適応が拡大されました。その結果、左室駆出率が保持された成人患者も対象となっています。
エンパグリフロジンや、添加剤に対する過敏症の既往歴(浮腫など)がある患者、および透析を受けている患者は、エンパグリフロジンの使用は禁忌となります。
*日本においてジャディアンス®錠10㎎(一般名:エンパグリフロジン)の禁忌は、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]、重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[糖尿病を有する患者ではインスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]です。
今回の承認は、第Ⅲ相EMPEROR-Preserved®試験の結果に基づいています。この試験では、LVEFが40%を超える成人心不全患者5,988人を対象に、エンパグリフロジン10 mg 1日1回およびプラセボを標準療法に追加し、比較評価しました。今回の承認は、第Ⅲ相EMPEROR-Preserved®試験の結果に基づいています。この試験では、LVEFが40%を超える成人心不全患者5,988人を対象に、エンパグリフロジン10 mg 1日1回およびプラセボを標準療法に追加し、比較評価しました。主要評価項目でエンパグリフロジン群は、心血管死または心不全による入院の相対リスクを21%低下しました(絶対リスク低下3.3%、0.79 HR、0.69-0.90 95% CI)7。EMPEROR-Reduced®試験も含めた解析では、左室駆出率に関わらず一貫したベネフィットが得られました8。
EMPEROR-Preserved®試験の重要な副次評価項目の解析から、エンパグリフロジンが心不全による入院の初回発現および再発の相対リスクを27%減少させることが明らかになりました(エンパグリフロジン407件 vs. プラセボ541件、0.73 HR、0.61-0.88 95% CI)8。
ベーリンガーインゲルハイムの臨床開発・メディカルアフェアーズ、呼吸器・心血管代謝部門、バイスプレジデントのMohamed Eid, M.D., M.P.H., M.H.A.は、次のように述べています。「EMPEROR-Preserved試験は、十分な治療を受けていない心不全患者にとって恩恵をもたらします。この承認を受けて、エンパグリフロジンは左室駆出率に関わらず、心血管死及び心不全による入院のリスクを統計的に大きく減少させた治療薬となります。今後EUで欧州委員会によって同様に承認される見込みで、心血管疾患の患者さんに、より進歩した治療の選択肢を示すものとなり、重要な節目となるでしょう。
イーライリリー・アンド・カンパニーの製品開発部門バイスプレジデントのJeff Emmick(M.D., Ph.D.)は、次のように述べています。「今回の承認により、成人心不全患者さんが必要としている治療の重要な選択肢として、エンパグリフロジンの可能性を強化するものとなります。また、昨年の左室駆出率が低下した成人心不全患者への適応に続き、今回の承認は、EMPOWERプログラムの解析に基づいてエンパグリフロジンが取得した3番目のFDA承認となります。これにより、心血管疾患と2型糖尿病領域のリーダーとして、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリーの遺産となるでしょう。」
参考情報
EMPEROR慢性心不全試験9,10について
EMPEROR(EMPagliflozin outcomE tRial in patients with chrOnic heaRt failure:慢性心不全の患者を対象にしたエンパグリフロジンのアウトカム試験)慢性心不全の臨床試験プログラムは、2型糖尿病合併または非合併の左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)患者または左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者を対象に、エンパグリフロジンの1日1回投与による治療をプラセボと比較検討する以下の2つの第Ⅲ相無作為化二重盲検試験で構成されます。
- EMPEROR-Reduced試験 [NCT03057977]:左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)の成人患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性を評価します。
- 主要評価項目:判定心血管死または判定HHF(心不全による入院)の最初の事象までの時間
- 患者数:3,730人
- 試験完了:2020年
- EMPEROR-Preserved試験 [NCT03057951]:左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)の成人患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性を評価します。
- 主要評価項目:判定心血管死または判定HHF(心不全による入院)の最初の事象までの時間
- 患者数:5,988人
- 試験完了:2021年
EMPOWERプログラムについて
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPOWERプログラムを策定し、幅広い心腎代謝疾患における心血管および腎臓の主要な臨床アウトカムに対するエンパグリフロジンの影響を調べています。心腎代謝疾患は、世界の死因のトップを占め、年間2,000万人がこれらの疾患で死亡しています11。EMPOWERプログラムを通じて、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、相互に関連する心腎代謝疾患に関する知識を進歩させるために取り組んでいます。9つの臨床試験と1つのリアルワールドエビデンス研究から構成されるEMPOWERプログラムは、心腎代謝疾患の患者さんの予後向上を目指す両社のアライアンスによる長期的な取り組みです。世界で40 万人以上の患者さんが参加している同プログラムは、これまでにSGLT2阻害薬について実施された臨床試験プログラムの中で最も幅広く包括的なものとなっています。
心不全について
心不全とは、心臓が体中に十分な血液を送り出すことができず、酸素を含んだ血液の需要を満たせない進行性の状態であり、死亡に至る場合もあり、酸素を含んだ血液の需要を満たすために、血液量を増やさなければならず、その結果、肺および末梢組織に液体貯留(鬱血)が生じます12,13。心不全は、欧州では1,500万人以上14、世界中で6,000万人以上が罹患しており、高齢化が進むにつれて患者数が増加すると予測されます4,15。心不全は糖尿病患者で大変多く見られますが、心不全患者全体の約半分は糖尿病に罹患していません16。
心腎代謝疾患について
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界で10億人以上に影響を及ぼし、主要な死因の1つとなっている相互に関連した一群の病気である心腎代謝疾患の患者ケアを変えるべく取り組んでいます。
心腎代謝系は相互に関連しており、病気にかかわる同じリスク因子と病理学的経路の多くを共有しています。1つの系で機能不全が起こると他の系統での発症が加速され、2型糖尿病、心血管疾患、心不全、腎臓病などの相互に関連した病気が進行し、ひいては、心血管死のリスク上昇につながります。反対に、1つの系の健康状態を改善すれば、他の系にも好影響を与えます17,18,19。
両社は、研究と治療を通じて、より多くの患者さんの健康を守り、相互に関連した心腎代謝系のバランスを回復し、重篤な合併症のリスクを減少させられるようサポートします。心腎代謝疾患によって健康が脅かされている患者さんのための取り組みの一環として、両社は、今後も患者ケアに向けた分野横断的なアプローチを採用し、治療ギャップの充足のための資源を重点的に投資してまいります。
エンパグリフロジンについて
エンパグリフロジン(ジャディアンス®)は、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体(SGLT2)阻害薬であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬です5,20。エンパグリフロジンは、血糖コントロール不十分な成人2型糖尿病患者の治療薬として承認されています20。また、米国では左室駆出率を問わない心不全患者の治療薬として、欧州を含む世界各国で、成人の左室駆出率が低下した心不全患者の治療薬としても承認されています*20。
*日本において慢性心不全に対する治療薬として承認されているのは、ジャディアンス錠®10㎎であり、効能・効果は、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)です。なお、慢性心不全の効能又は効果に関連する注意には次の記載があります。「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。」、「『臨床成績』の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、左室駆出率等)を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。」
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。
イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。
日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。
詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
https://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
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(日本イーライリリー)
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This press release contains forward-looking statements (as that term is defined in the Private Securities Litigation Reform Act of 1995) about Jardiance as a treatment for adults with type 2 diabetes, to reduce the risk of cardiovascular death in adults with type 2 diabetes and known cardiovascular disease, and to reduce the risk of cardiovascular death and hospitalization for heart failure in adults with heart failure, and as a potential treatment for adults with cardio-renal-metabolic conditions and reflects Lilly's current beliefs and expectations. However, as with any pharmaceutical product, there are substantial risks and uncertainties in the process of drug
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